
フランス語でシャンテは歌う、歌いましょう、賛歌などを意味していますよね。私はあまり好きではありませんが、ジルベール・ベコーの作曲したシャンソン「シャンテ」はそのもの。
フランスでは「シャンテ」の名を配したゲランの香水シャンダロームがあります。
香気達の讃歌、アロマの賛歌、香りの歌、芳香の聖歌など素晴らしい日本語で表現されるシャンダローム。

香調はフローラル、ウッディ、シプレです。
口コミ https://my.cosme.net/open_entry_review/show/review_id/504044192
ジャン・ポール・ゲランが恋人のために創った香水シャンダロームは、多くの花々とその花言葉をこめた素晴らしいパヒューム。
病床の祖父ジャック・ゲランが試香。安らかに逝ったのはこの不思議な愛のこもった芳香だとも言われてます。

口コミでにご紹介したフランソワーズ・サガンの「ある微笑」の中で、女性は男性の体で自分の香りを知るという名文があります。
ジャン・ポール・ゲランが結婚を夢見ていたというその恋人へ、花嫁の初夜に捧げたい香りだったのかもしれません。
ヴィンテージは美しいバカラのパヒュームボトルに詰められた不思議な香り。販売中止になっても甦り、また中止という繰り返しです。でもゲランの「シャンテ」(シャンダローム)は甦ってくるはず。愛は勝利をもたらすから。

調香はエドアール・フレシエ(Edouard Flechier)、ボトルはジュエリーデザイナーのアンジェラ・カミングス(Angela Cummings)とこの香水にあらゆる魔法を注いだ資生堂。でもこちらの「シャンテ」も魔法は続きませんでした。
なぜならば
創造のインスピレーションといわれたイタロ・カルヴィーノの小説が浮かんでこないからなのです。
「私が探していたのは、かつてどこかで出会った女性の香りではなく、まだ出会っていないようなその人だけの香りを持っている女性だった。」by イタロ・カルヴィーノ
このあらゆる魔法とイタロ・カルヴィーノの小説から造られた香りというのが、資生堂「シャン デュ クール」です。

この誕生秘話は何処に行ったのでしょう。
シャン デュ クールは、「心の聖歌(心の歌)」というフランス語。ヨーロッパでは「聖歌」と例えても良いくらいだと思います。日本には「聖歌」の歴史はありません。ですから賛歌だとか心の歌だとかがわかりやすいのかもしれません。
ゲランのシャンダロームも、香気達の讃歌というように例えています。でも、資生堂はなぜ「シャント」を使用したのか理解しかねます。イタリアの作家からのインスピレーションにフランス語の香水。
エドアール・フレシエはディオールのタンドールブアゾンを生み出し、フレデリック・マルでリス・メディテラネ(地中海の百合)、ユヌ・ローズ(一輪の薔薇)、葉巻のブランド ダビドフ、そしてラクロワのセ・ラ・ヴィがあります。
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