ニューヨークを拠点に活動し、2021年4月に自身の新ブランド「UNMIX」をローンチしたビューティクリエイター・吉川康雄さん。2021年上半期のマイベストコスメと、下半期への期待についてお話をうかがいました。
吉川康雄さんが選んだ、マイベストコスメ
自分を愛することの大切さをいつも発信している、ビューティクリエイターの吉川康雄さん。満を持して自身の新ブランド「UNMIX」をスタートさせた2021年の上半期、どんなことを考え、どんなコスメに注目していたか教えていただきました。
顔で唯一、赤い色素を持つ唇の魅力を知ってほしい
吉川さんが選ぶ2021年上半期のマイベストコスメは、もちろん「UNMIX」のアイテムです。約2年ぶりに待望のプロダクト誕生とあって、吉川さんのファンはもちろん、美容業界でも大きな話題となりました。
コロナ禍でマスク生活を強いられるなか、疎遠になりがちだったリップをあえて提案したかったのは、「唇でしか表現できない華やかさ、人間が持っている赤い唇のいきいきとした美しさを、メイクを通じて感じてほしい」という思いから。
「仕上がり、機能はもちろんのことですが、コロナでマスク生活をしているからこそ唇の魅力をあらためて考えてみました。『つけられない』と思っていた口紅を、プレシャスな気持ちで塗ってもらいたい。そんな思いでみなさんとコミュニケーションできたプロダクトは、僕にとって尊かったです」
メイクの象徴でもある赤をつけることで自分の魅力を再発見してほしい。自分に混じり気のない愛情を注いでほしい…。そんな思いはブランド名の「アンミックス(混じり気のない)」にも込められています。
メイク効果とスキンケアを兼ねる実用的なアイライナー
仕事漬けの毎日をガラリと変えた、職場でのあるひと言
先行きの見えないコロナ禍でも、気分を上げるために吉川さんが習慣にしているのが運動です。
「毎日絶対に1時間半くらい体を動かします。そうすることで『今日は調子がいいな』『今日は疲れているな』と、自分の体調に気づくことができます。精神的なエネルギーも、この習慣からもらっていると思います」
2カ月ぶりに帰ったコネチカットは春が始まっていました。
— yasuoyoshikawa 吉川康雄 (@yasuo_yoshikawa) 2021年4月9日
すぐにジムに直行。ジムの入り口に咲く白いマグノリアが8分咲き。
去年はコロナでジムがクローズして見れなかったので2年ぶり^_^
コネチカットはまだ早春です。 pic.twitter.com/ThhQ4X1UCQ
今となってはなくてはならないものとなった吉川さんの運動習慣ですが、きっかけは撮影の現場でかけられた、あるひと言だったといいます。
ニューヨークに拠点を移してまもない頃、仕事が楽しくて夢中になり、24時間を仕事のためだけに注いでいたという吉川さん。食事をするのは仕事のエネルギーを出すため、眠るのは仕事の興奮から気持ちを切り替えるため。お酒もタバコも、仕事をうまく回すために欠かせないものでした。
「ある時、仕事場で言われました。『ヤスオ、最近太ったね。自分をケアする時間を作ってる?』って。たしかにニューヨークの撮影業界にいる人は、身体をきれいに鍛えていて自分のケアに余念がない。でも当時の僕には自分を大切に扱うという意識がまったくなかったんです。だからその言葉が響いて…。僕の生活の自虐的なストイックさが少しずつ変わるきっかけになった言葉だと思います」
30歳のときに、働きすぎて身体を壊した経験があるという吉川さん。それから約10年後にかけられたこの言葉のおかげで、運動を開始。無理せず時間があるときに、走ったり泳いだり筋トレしたり。
「忙しいとつい言い訳をしてしまいがちですが、自分のメンテナンスだと思って、病院に行くつもりで運動をしています。時には運動で身体を痛めてしまうこともあるのですが、そうすることで自分の身体と向き合えるようになり、少しずつ自分の身体を理解できるようになってきました」
散歩してたら光のなかの新しいグリーンがあまりにもきれいで、、。 pic.twitter.com/6UYKq7TfQm
— yasuoyoshikawa 吉川康雄 (@yasuo_yoshikawa) 2021年5月14日
そうするうちに「自分を大切にしたい」という気持ちは仕事へも伝播。しあわせな気持ちになれないことがあったら、「どうしてだろう」と自分の気持ちを俯瞰して考えられるようになったそう。吉川さんの言葉やプロダクトには愛があり、人を大切にしたいという思いがひしひしと伝わってきますが、それは自身が「自分をケアすることの大切さ」を、身をもって知っているからなのかもしれません。
どれだけ自分を大切にし、自分を楽しめるかが下半期のカギ
「多くの人がつらい思いをしていたり、ストレスや不満を抱えたりしている社会は、ギスギスしていていたたまれない」と吉川さん。拠点としているアメリカでもそう感じることが多く、テレビを見るのもつらくなることがあるのだとか。
「だからこそ、美容は個人個人の内側に向けられたプロダクトやアイテムであってほしいし、それで多くの人が心地よさを感じられたら素晴らしいですね。美容にとってのダイバーシティは作る側にとってのこと。楽しむ人は、あたかも自分のために作られたように錯覚する気分になってくれたらいいなって、僕はいつも思っています。ほっこりした人が増えたら、社会のムードもきっと変わっていくんじゃないかと思っているんですが…」
今日はこれから忙しい日 pic.twitter.com/0SQLmqXRKJ
— yasuoyoshikawa 吉川康雄 (@yasuo_yoshikawa) 2021年5月7日
そんな吉川さんが2021年下半期に発信していきたいのは「自分を楽しもう」ということ。
「長引くコロナ生活の中では、どれだけ自分を楽しくしていられるかっていうことが大切になるんじゃないかな。開放的な屋外で大好きな人と自由な時間を過ごすのもいいかもしれないし、いつもなら寂しくなりそうな一人時間も、密を避けることが良しとされる今なら堂々と楽しめる(笑)。そんなふうに自分を楽しくしてあげること以外、何も考えなくっていいんじゃないかと思います。
自分の心と身体に耳を傾けて、できるだけ自分らしくいられるようにする。それはまさに美容でもやるべきこと。誰かのためじゃなく、自分のための美容であるべき。そうありたいと願う人たちの背中を押せるようなアイテムやアイデアを、どんどん発信していけたらって思います」
ビューティクリエイター・吉川康雄さん
1983年よりメイクアップアーティストとして本格的に活動を開始。東京をベースにファッション誌や広告のフィールドで活躍後、1995年に渡米。半年後には『VOGUE』のカバー担当に抜擢。2008年から2019年3月まで「CHICCA(キッカ)」のブランドクリエイターを務める。現在はニューヨークを拠点に活躍しながら、2021年4月に新ブランド「UNMIX」を立ち上げ。美容情報サイト「unmixlove」にて取材や執筆もこなす。『いくつになってもキレイ!になれる NY発ビューティー・メソッド ツヤ肌メイク12の方法』(世界文化社)他、著書多数。
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文/大森りえ
(アットコスメ編集部)