
この地球で生きていくために、いま私たちにできること。「SDGs(持続可能な開発目標)」と聞くと難しそうに思えるけれど、「社会を少しでも明るくしたい」と願うブランドのアイテムを選ぶ――そんな小さなアクションが、じつはSDGsを前進させる何よりの力です。オーガニックコスメブランド「アルジェラン」の取り組みを取材しました。

サラサラなのにしっとり。「カヤオイル」との出会い
豊かな自然が残る日本の地方には、貴重な植物原料が多数存在しています。
直径1.1メートル程度の大人の木になるまでに、300年以上もかかるという榧(カヤ)の木もそのひとつ。榧材は美しく頑丈で水にも強く、独特のかぐわしい香りを放ちます。オリーブのような緑の実がなり、その種からとれるオイルにはビタミンEがたっぷり。天然油脂にはめずらしい、不飽和脂肪酸であるシアドン酸も多く含んでいます。


「カヤオイルはサラサラとしてベタつかず、軽い使い心地なのに髪をしっかり保湿してくれる、優れた働きがあることがわかりました。水分の蒸発を防ぐ水分蒸散抑制効果も、アルガンオイルやホホバオイルよりも数値が高いという実験データがとれています」(若松さん)
髪によい国産原料をリサーチするなかで、幸運にも巡り会ったというカヤオイル。その過程には、宝探しのような感覚があったそう。

「生産者である農家や加工業の方々は、私たちの大切なパートナーです。日本には優れた原料がたくさんありますが、現状は価格や需要、人員などの関係でビジネスとして成立しにくいという問題点があります。
でも、マツモトキヨシやココカラファインで販売される『アルジェラン』なら、たくさんの原料を安定して使うことができます。まずは私たちが、率先して日本の精油や原料を使っていく。それによって少しずつビジネスを成立させていくことで、地方の産業を元気にできると考えています。
また、地方では後継者がおらず放置されている農地が増えているのですが、オーガニック原料の需要が増えて、このような土地がオーガニック農場になれば、土壌の微生物バランスや周りの生態系が整う、といったよい影響もあるんです」(若松さん)
身体にも環境にも“巡り”を生む、国産ヒノキ精油

「アルジェラン」で使われるのは、三重県の速水林業が営むヒノキ林の精油。このヒノキ林は、日本で初めてFSC認証(生命に対し責任のある森林管理の基準を満たしているという認証)を取得するという、快挙をなしとげた林なのだそう。
「もともとは辻製油さんという会社が、地元高知県のユズを使った精油を抽出する際、環境に優しいバイオマスボイラーを使われていて。そこで燃料として使用されていたのが、速水林業さんのヒノキチップだったんです。
そこで、ヒノキチップから精油を抽出してみたら、とても質の高い精油ができて。抽出後の残渣は燃料として再利用できるので、資源をムダにしない、とてもよい循環ができています。
また、精油の原料として使用することで木材の価値が上がり、林業の活性化にもつながります」(若松さん)

ヒノキ精油の香り成分であるα-ピネンには、副交感神経を優位にして、血行を促したり気分をリラックスさせたりする作用があります。ひと味違う「アルジェラン」の奥行きのある香りには、ヒノキ精油の隠し味が効いています。
「どんなによい素材を使っていても、それで生産者の方がうるおわなければ地方創生にはつながりません。『アルジェラン』は流通量の多さから、手頃な価格でご提供できるのも強み。たくさんの方に手にとっていただけるブランドであることを活かして、日本の植物原料の魅力を発信し、需要をさらに増やしていきたいですね」(若松さん)
“使い続けたくなるオーガニックアイテム”でSDGsを推進
2020年に20周年を迎え、サスティナビリティ・ステートメント「COLOURS NEXT20」を発表したカラーズ株式会社。社会問題をアップデートすることを目指して、世界と日本の6つの問題点――現代人のストレス、地球環境、地方の衰退、日本の貧困、少子高齢化、多様性の欠如――に取り組むことを決めました。


取材・文:田邉愛理
(アットコスメ編集部)