美容業界で働く人の日常に隠された“もう一つの人生ドラマ” 『美容部員のリアル 〜20代編〜 part2』

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美容業界で働く人の日常に隠された“もう一つの人生ドラマ” 『美容部員のリアル 〜20代編〜 part2』
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仕事には“自分自身”が色濃く反映されているもの。どうしてその仕事に辿り着いたのか? 仕事をしながらどんな日常を過ごして、どんなことに幸せを感じているのか? そして今後どう生きていくのか? 本連載は「美容部員」として働く人々にフォーカスし、その人生ストーリーに迫ります。

児童養護施設で育ったB子さん(25歳)。早く自立したいという気持ちから、中学卒業後、箱根の旅館で住み込みの仕事に。仲居さんの仕事を経て、その後はアルバイトを掛け持ちしながら、憧れだったファッションスタイリストを目指すものの途中で断念。そこから美容業界の仕事に興味を持ち、2018年の夏に@cosmeキャリアに登録後、美容部員として働き始める。

有名雑誌でアシスタントができる!と思ったのもつかの間…経済的な理由でスタイリストの夢を断念

———もともとはファッションスタイリストを目指されていたのですね。なぜ途中で挫折してしまったのでしょうか

「経済的な理由ですね。19歳のとき、3つバイトを掛け持ちしながら、奨学金を借りてファッションの専門学校に1年通って、卒業後にスタイリストのアシスタントの仕事に就くことになったんです。やりたかった雑誌で仕事ができる!と舞い上がったのですが、なんと最初はお給料ゼロの休みナシ。実はそのとき、事情があって友人の家で居候している身で…。一刻も早くお金を貯めてひとり暮らしをしなければいけない状況だったので、この仕事をやっていくのは無理だと断念しました。

それまでの努力が打ち消された気持ちになって“世の中って、結局お金なんだなぁ…”と心が荒みました」

“人に何かしてあげたい”という、もともとの動機が仕事に活かされている

———実際に7か月、働いてみてお仕事はいかがですか?

「充実してますね。もちろん職場に不満もありますし、悩みもあります。でも働いてみて “お客様の求めているものを、しっかり紹介してあげたい”という気持ちが原動力になっていることを感じます。

というのも、販売員の仕事は営業的な側面も強いですし、売上に対するインセンティブも発生します。もちろん、『世の中、お金だ!』と思う経験をしたので、お金を稼ぎたいという気持ちはあるんです。でも評価をあげること、お給料をあげることを優先する売り方は私にはできなくて。それ以上に“人と接する”ということを重要視したいと思っていますね。

職場では絶対に言えませんが、人それぞれ個性とかやり方とかがあるから、マニュアル通りがすべてじゃないと思っていて。もっと“人対人”のコミュニケーションを重視した接客を目指しています」

———“人に何かしてあげたい”という、もともとの動機の方が活かされてるってことですね。

「そうですね。先ほどバイトを掛け持ちしていたという話をさせていただきましたが、そのうちのひとつが居酒屋での接客業だったんです。最初は人見知りを克服しようと思って、そのバイトを選んだのですが、ここで働いた約3年の経験も、今の自分に大きく影響していると思います」

———それはどんなふうに影響したのでしょう?

「いくつか店舗を持っている居酒屋さんで、他店にヘルプに行くことが多かったんです。私自身も経験が長くなっていましたから、あちこち行かされてまして。そこで教える側に回ったりすることも多かったのですが、もともとでき上がっているチームに入って仕事をするのが結構大変で…。

批判もされましたし、思うように指導ができないこともたくさんありました。でも、そこでお客さんだけでなく、一緒に働く人と関わりあうことで徐々に人見知りは改善されていきましたし、“人対人”って大事だなって思わされることが多かったような気がします」

苦手な人と向き合うと、自分の足りない部分に気づく

———その居酒屋での経験も、人と接することへの意識を高めてくれたわけですね。そこで具体的に学んだことってありますか?

「そうですね。たとえば、苦手な人っているじゃないですか。でもそういう人って、何が苦手なのかを考えて、それに向き合っていくと、それが自分の持ってないものだったりするんですよね。だから、“苦手な人”ほど成長につながると思って自分から歩みよることが自然と身につきましたね。

あと、そういう思考を持っていると、好き嫌い関係なく、自分以外の人の意見を大切にできるようになりました。自分の意見を押し通すことだけがすべてではないなって。そういうところは成長できたかなぁと思います」

お部屋は黒を基調に。かっこいい中に、少し女性らしさが入っているテイストが好きなのだとか。

遠回りしても、最終的にやりたいことができていればいい

———ちなみに、今後の目標ってあるのでしょうか?

「今はいろいろ悩んでいるところですね。販売の仕事も楽しいですし、メイクの仕事もしてみたい。キャリアアップという面でいうと管理職を目指したいという気持ちもあります。将来的には総合的に美容のアドバイスができる人になりたいとも思っています。

仕事が好き、誰かに何かをしてあげたい、好きなことで稼ぎたいという自分軸はこれから先も変わらないとは思います。でも、私自身、環境や心境の変化が嫌いじゃないので、そのときによってやりたいことは変わっていくだろうなぁと。今のところは美容業界でしばらく働くつもりですが、最終的に飲食業をやっている自分も想像できてしまうというか(笑)。

ただ、“遠回りしても、最終的にやりたいことができてればいいじゃん”っというのが私の今の考えです。私自身もスタイリストという仕事が近くまでいって、ダメになってるわけですし。成長の仕方も事情も人それぞれ。一直線に進むことだけが正解じゃないのかなって思っています」

変わらない自分軸と、どんな変化でも受け入れられる度量を持って生きる

Bさんが、人とのつながりを重視しているのは、「これまで、周りの支えがあったから生きてこれた」という、ご自身の人生経験もあるそう。インタビューの中で“友達の実家に一時的にお世話になっていた”という話が出てきましたが、それは16歳のときに当時の恋人と大阪に行ったものの、彼が家に帰ってこなくなり、途方に暮れていたところを施設時代の友達に助けられたから。

東京に戻ってきたときは、栄養失調状態で、体重も15キロくらい痩せていたのだそうです。そんな波乱万丈な話をあっけらかんと話すBさんから感じたのは、強い信念と器の大きさ。人生経験でさまざまな環境の変化を乗り越えてきたからこそ、変わらない自分軸と、どんな変化でも受け入れられる度量を感じ取ることができました。

これからは「自分らしさ」を大切にしていきたい

今はさまざまな働き方を選べる時代。選択肢がたくさんあるぶん自分の仕事について悩む人も多いのではないでしょうか。私の居場所はここ? もっとやりたいことがあったのでは? もしその疑問が少しでも自分の中にあるなら、答え探しの第一歩は“知ること”から。@cosmeキャリアでは業界のプロによるキャリア相談やセミナーなどのサポートも多数。自分らしい働き方を見つけるきっかけにしてみては?

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