169views

【小説】 「星たちの距離」 - 第1話

【小説】 「星たちの距離」 - 第1話


゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*.。.*.。.*゚

ご訪問ありがとうございます(*^-^*)
コスメへのオマージュを小説に綴っています。
アナタにも、彼や彼女たちのような、素敵なコスメとの出会いがありますように☆

゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*.。.*.。.*゚





「星たちの距離」 - 第1話



 嘘だ、彼が芸能界から引退するなんて……。


「麻央、何て答えればいいの? もうすぐ俺の番が来ちゃう」

「うわっ!」

 耳元でささやく京平の息遣いがくすぐったくて、授業中にもかかわらず、麻央はつい驚きの声を上げてしまった。

 とたんに麻央に集まる様々な国からの生徒の視線、となりでクスクス笑う無邪気な京平。

 「はいはい、私が答えればいいんでしょう? ほんとみんな美少年に甘いんだから」

 麻央のフランス語上級者のクラスは午後からなので、本当は午前中のこの基礎クラスには参加する必要はない。

 でもこの語学学校はネット環境が整っているので、特に用がないときは一日中ここにいることも多いのだ。

 そしていつものように、入学したばかりの京平の助っ人としてクラスに引っ張り込まれてしまうのだった。

 麻央の予想通りに、アジア人男性はキュートでたまらないと言ってはばからないフランス語の先生のサラは、京平にはニッコリと微笑み、順番を大幅に飛ばして麻央を指名した。

 そんなことだから京平は全然フランス語を覚えないんじゃないのと不満に思いつつも、麻央は質問に答えた。
 
 「Vous etes japonaise, mademoiselle?(お嬢さん、あなたは日本人ですか)」
 「Oui, je suis japonaise.(はい、私は日本人です)」
 
 私はマダムではなく、まだマドモアゼルと呼ばれていいのだろうか?

 葉月麻央は、日本ではアラサーと呼ばれる30歳。

 半年前の誕生日に30代という大台に乗ったからなのか、自分より若くて美しい京平がいつもとなりにいるようになったからなのか、麻央は初めて自分の年齢を気にするようになっていた。


(つづく)


 



このブログに関連付けられたワード

このブログを通報する

コメント(0件)

美容その他 カテゴリの最新ブログ

美容その他のブログをもっとみる

投稿ブログランキング

投稿ブログランキングをみる

編集部イチオシ!

HOTタグ

ブランドファンクラブ限定プレゼント

【毎月 1・9・17・24日 開催!】

(応募受付:5/17~5/23)

プレゼントをもっとみる