
化粧品と医学の関係とマーケティング(追記:資生堂のマーケティング改革)
2015/6/17 21:46
「スキンケアが、医学の進歩のスピードに負けてはいけないと思う」というコピー。
正直なところ、資生堂の製品に関して、私は科学を感じることができませんでした。
そんな記事をいくつか書いてきたのですが・・・
医学や科学以前の問題として、
化粧水はコットンでつけると、自社の使用法を押しつけるような企業姿勢に
疑問を感じておりました。
美容部員さんの製品の説明に一貫性がないことから、
教育システムにも疑問を感じていました。
肌診断なども、測定の手技が個々でバラバラ、
おそらくマニュアルはあるとは思うのですが、徹底されていないことも、
医学を語る以前の問題だと思います。
また、当然トラブルの原因なることが容易に想像される
インラインメイクをメイクアップアーティストの方が推奨しているということからも、
よくも恥ずかしげもなく「医学の進歩」なんて言葉を使えるものだと思っていました。
また、エリクシールは、コラーゲンに訴求した商品です。
資生堂では、コラーゲン研究について、いろいろ紹介されています。
○ハリを支えるサイエンス
→http://www.shiseido.co.jp/elixir/aging/index.html
○体内コラーゲンを探査せよ
→http://www.shiseidogroup.jp/technology/detail/30.html
たとえばこの中の
【研究報告2】 からだの中に、コラーゲンを生み出す細胞が!
このグラフの縦軸の単位も、スケールも示されていません。
そんな基本的なことを押さえずに医学を語りますか?
単なるイメージ図にすぎません。
そして、コラーゲンの研究をして、いろいろな賞を受賞してきたようです。
○IFSCC Congress 2000 第21回 ベルリン大会
最優秀賞(口頭発表)
「皮膚基底膜ケアに関する研究」
→http://www.shiseidogroup.jp/rd/ifscc/09.html
○IFSCC Congress 2012 第27回 ヨハネスブルグ大会
最優秀賞(口頭発表・基礎部門)
「新しいコラーゲン可視化技術を用いた光老化に伴うヒト真皮構造変化の非侵襲評価」
→http://www.shiseidogroup.jp/rd/ifscc/20.html
しかし、これらは研究結果が受賞したというだけの話。
確かに他社のコラーゲン製剤と違って、新たな作用機序を発見し、
新知見を打ち出して、進化しています。
しかし、それらに効果があるかどうかという研究ではなく、
医学的な意味の効果研究はされてはいないはずです。
それをあたかも医学的な成果がコラーゲンにはあります。
と言いたげなCMに聞こえてしまいます。
あのCMを見るたびに、よく言うよな・・・と、思っていたのですが、
最近、あることに気づかされました。
スキンケアが、医学の進歩のスピードに負けてはいけないと「思う」
医学のスピードに「負けてはいけない」ではなくて
「負けてはいけない」と「思う」だったのでした。
うまい! うますぎます。
コピーライターの勝利です(笑)
思うことは、自由なんです。
そして、「思う」と言いながらも、
我社の製品は、医学的見地からもアプローチしてしています。
といっているイメージを与えています。
これを考えたマーケッターってすごいなぁ・・・・・
マーケティングの世界は、
セルライトなんてないものをあるように見せて、危機感を煽るし、
「エビデンスがある」なんて言葉を使って、効果があるように思わせちゃう。
そういえば、資生堂の美容部員さん、
マスクがセルライトに効果があるって言ってました。
えっ? セルライトにも効いちゃうんですか? と聴き直したら、
うやむやと、語尾を変え、間接的な効果・・・ と言い換えていました。
セルライトということを持ち出すこと自体が、もう医学ではありません。
そして、最近のマーケティングは商品を直接訴求せずに、
ライフスタイル提案をしたり、知識を売って、
間接的に商品を打ち込む手法がとられたりします。
コスメではありませんが、薬では、病気を売れと言われているそうです。
何年か前に、欝病は心の風邪。といったCMが流れていたことを覚えていないでしょうか?
薬を全面に出すのではなく、病気を広く認知させ、
医者にかかることをすすめれば、薬はあとから自然についてきます。
コレステロールのコマーシャルも、薬を全面に出さず、
心臓を患った有名アナを起用し、LDLコレステロールの認知に
主眼が置かれていました。
そして、ジェネリック推進のCMも・・・・
ジェネリックの浸透が目的。
そして、ライフスタイルを売るという手法もとられています。
これがうまいのが花王だと思っています。
除菌、消臭といった清潔嗜好、新たな生活習慣を作って商品を販売しています。
他社もそうですが・・・
化粧品も、これからはライフスタイルを売るという形になってくるかもしれません。
年をとってシワだらけは恥ずかしいこと。
という風潮、価値観を植え付け、そのための対策を今からしておくべき・・・・
民放では、プラセンタのCMを見たことがありませんが、
BS関係では、ガンガン流れているそうです。
プラセンタなんて使っていたら死ぬぞ!
と注意喚起する医師がいるほどのものです。
しかし、ライフスタイルを売るという方法で、
年をとって、シワシワ状態は恥ずかしい。
プラセンタを使って対策をという世の中になってしまったら・・・
「プラセンタは結局、儲かるってことなんです。
50代、60代の人口比率がこれから増えていくわけでしょ。
その年代をターゲットにして、若さを維持できるっていえば売れるわけです。」
と話す医師もいます。
コスメも、ライフスタイルを売る時代に突入する予感が・・・・
医学的に根拠のないことでも、根拠があるかのように、
ぎりぎりのところで、訴求するのが、マーケッターの腕のみせどころ。
それに載せられない知恵や知識も必要な時代になってくると思います。
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【追記】2015.6.19
資生堂のマーケティングについて書かれていたニュースがありました。
そういえば、資生堂はアイテム数を増やしすぎて、
散漫になっていると報じられていました。
新社長になり、それらの整理をしつつ、重点強化ブランドのしょっぱなが、
エリクシールだったようです。
シナクティフなどの新たな海外向けは、これらの改革の一貫だったのでしょうか。
○資生堂、コラーゲン研究を結集したエイジングケアブランド新世代
「エリクシール」を発売
→http://www.mylifenews.net/cosme/2014/07/post-232.html (2014.07.29)
以下上記より抜粋まとめ
ーーーーーーーーー
資生堂のマーケティングは、2014年度から新社長のもと、
マーケティング改革が行われてブランド力・マーケティング力を強化に取り組まれている。
その第2弾として、「エリクシール」を、最新コラーゲン研究を結集した
エイジングケアブランドへ進化させた新世代「エリクシール」として発売。
常に変化する消費者のニーズに応えるため、
「技術依存型」から「顧客インサイト」に基づき
先端の技術を結集した「顧客価値創造型」のマーケティングへと変革。
「ブランドマネジメント制」を導入。
商品企画・開発から生産、販売までブランドマネージャーが
すべての責任と権限を持ち統括。ブランド別収益管理を徹底。
これにより「一気通貫型」のマーケティングを実行。
国内スキンケアNO.1 ブランドとしての地位の確立を目指す。
2013年5月、魚谷社長はマーケティング統括顧問に就任。
資生堂の新しい時代の姿を見据えたブランド力・マーケティング力の強化に取り組む。
資生堂ブランドの再定義と重点ブランドの明確化を実行し、
資生堂を代表するコアブランドを、6つに絞り込み、順次イノベーション。
「エリクシール」
1983年:肌とコラーゲンの関係に着目して誕生したエイジングケアブランド。
発売以来、常に先端のテクノロジーと時代背景を踏まえた
新しいソリューションを提案。日本女性の前向きな生き方を応援。
2006年:環境や年齢による肌変化を実感する女性に向けて、みずみずしいつやと
豊かなハリのある肌へ導く「エリクシール シュペリエル」にリニューアル。
2010年:ハリを与える効果をさらに進化。また、同年に、
肌本来の透明純度を引き出す「エリクシール ホワイト」ラインを発売。
2013年:ブランド誕生30周年年。ブランド価値を体現した“美容濃密液”
「エンリッチドセラム」を発売し、発売後1年で70万個売上を記録。
今回「エリクシール」は、「いつまでも若わかしくきれいでありたい」という
女性の普遍的なニーズとエイジングケア効果への期待に応え、イノベーション。
代表的な商品である「エリクシール シュペリエル リフトモイスト ローション W」は、
独自成分を配合し、ハリの手ごたえを感じるまったく新しい高機能化粧水に。
使用感が異なる3タイプを配置し、それぞれ独自の浸透技術を取り入れた。「肌なじみ技術」によって、肌タイプや好みに合わせて、この3つの感触から選べる。
プロモーションでは、篠原涼子さんを継続起用、新たに滝川クリステルさんを起用。
「400万人体感キャンペーン」と銘打って、店頭とウェブサイトで大規模な
サンプリング等を実施し、消費者との接点を広げていく。
販売は、ドラッグストア、量販店、および化粧品専門店など約2万店と
資生堂ウェブサイト「ワタシプラス」で展開。
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私は、この時に行われていた発売のキャンペーンを全く知りませんでしたが、
エリクスクールといった半年間の美容スクール(?)のようなものや、
「400万人体感キャンペーン」と名打った
商品のばらまき(改め)提供がされていたようです。
確かにあの形の容器、よく店頭では、見た記憶はありました。
コラーゲンを大体的に謳たっちゃって、まあまあ・・・・
ぐらいにしか思っていませんでした。
その頃、化粧品にコラーゲンなんて入れたって意味がないって言われていました。
だから、それをプッシュして売るようなメーカーは信用できないと思ってました。
しかも、医学を匂わすような宣伝までして・・・
(資生堂は、別のアプローチをしていた事は知らなかったので、
資生堂は3流会社なんだと思っていました。)
そうは言っても試しに・・・とかすめはしたのですが、
店頭で、本品手渡しでいただけるのなら、いただいたかたかもしれないですが、
応募してまで欲しいと思えませんでした。
デパート商品では扱わないラインということで、なんとなく、
格下アイテムの印象を持ってしまい、
「コラーゲン」なんて万人受けするキーワードで、
釣ってる商品というイメージしか私にはありませんでした。
コラーゲンは入れても、肌には浸透しない。
だから小さくして、浸透できるようにしました。
それが世の中の流れてでした。
しかし小さくしても、そのコラーゲン(アミノ酸)は、
必ずしも有効にお肌のハリのために使われるわけではない。
これが、コラーゲンのことをある程度、
理解している人たちの常識です。
だったら、資生堂のコラーゲンの作用は、その考え方とは全く違うんです。
コラーゲンを作り出す細胞にアプローチしています。
そこを訴求しないと、コラーゲンを入れれば、
お客さんは買うと思って作っている会社と同じと思われてしまうのに・・・
とあとになって、資生堂のコラーゲン研究の内容を知って思ったのでした。
【関連】
○【SkinCare】エリクシールシュペリエルリフトモイスト ローション&エマルジョン
そんなことを思っていたら、資生堂の方がALL Aboutのガイドになっていて、
コラーゲンのことについて、解説されていました。
○コラーゲンは自分の力で生み出せる!
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