困ったことに、フレグランスに対する物欲が年々減退している。
というよりも、欲しい香りに出会える確率が年々低くなってきているという表現が正しいと思う。
もちろん、フレグランスに対する興味が薄れていることはなくて、アットコスメなどをチェックし、店頭に足を運び、イベントなどにもできる限り参加し、一定のレベルを超えた香りであれば購入してしまうけど、本当に少ない。
例えば、
似たような香りでもっとも良い香りを持っている。
一瞬良いと思っていても、思ったほどでもなかった。
良い香りだけど、使用するシーンやシチュエーションが思い浮かばない。まだ敷居が高い。
そもそも買うレベルに至っていない。
値段が高くて手を出せない。
この量は絶対に使い切れる自信がない。
家族から猛クレームが想像される。
など、購入まで至らない香りのなんて多いこと!
一方で、欲しい香りへの執着や、あの時買っておけばよかったといった後悔は年々増していている。
なかでも、どうしても手に入れたいメンズフレグランスの筆頭格が、ゲランのメンズ エクスクルーシブラインのアルセーヌ ルパン ダンディだ。
ゲラン エクスクルーシブ ラインのなかでも、このダンディとダービー(1985年)は特に傑作で、ダービーも一度廃盤になった後に復活しているが、2010年に発売されたダンディはすでに2015年頃には店頭から消えていた。
アルセーヌ ルパン ダンディは気品溢れるウッディシプレの香り。似た香りを色々と探してみたものの、出会ったことがない。
かなり鋭いスパイシーと、スモーキーなウッディシプレの男らしい力強い香りを、徐々に存在感を増していくオリバナムのまろやかなコクで上品に包み込まれている。
この懐の深さを感じる香りの核となっているのはオリバナム(フランキンセンス)だ。
オリバナムを抜けば、苦辛いウッディシプレの香りで、この香りであれば近い香りは多い。
ところが時間が経つにつれて強くなるオリバナムが、ビターなウッディに酸味とミルキーなコクを加えることで、男らしい色気を全面に出さない、情緒ある柔らかな香りに仕上げられている。ジャン=ポール ゲラン作。ゲランにおいて最晩年の作品で、熟練された調香が光る。
キーとなるのはオリバナムであるが、オリバナムがはっきり香るフレグランスをあまり知らない。
同じゲランであれば、中東シリーズのオンソン ミティック ドリオン、手持ちでは、ルラボのガイアック10が思い浮かぶ。
オンソン ミティック ドリオンは華やかなサフランローズと、アンバーグリスの動物的なぬくもりを、オリバナムで融合させた香りような香りで、まるで異文化に触れたような、独特の世界観がある。キラキラとしたオリバナムのイメージが強く、まだ使いこなせる自信がない。
ガイアック10はたまに使用する、とっておきの香り。清潔で柔らかなガイアックウッドとムスクを、オリバナムがより肌に寄り添わせるような香り。まさに乳香というイメージにぴったりなオリバナムの使われ方だ。
実は、ゲラン公式ホームページには、このブログのタイトル背景の写真がまだ使われており、さらに「ゲランのフレグランスを愛するファンのための、贅沢なメンズコレクション。アーカイブから復刻したゲランの伝統の香りをはじめ、世界的に知られる「アルセーヌ・ルパン」をテーマにした、現代的な香り2種も取り揃えました」という説明が残されている。
このホームページを見るたびに、淡い期待を抱いてしまうのだ。
いずれアルセーヌ ルパン ダンディが復活するのではないか!と。

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