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化粧品を最初は持ち歩いていたが、気がついたら全部なくなっていた。
宿代を負けてもらうために、ヘレナの口紅のちびたのを
宿のおかみさんに渡したこともあったっけ。
日焼け止めは立ち寄った場所で買ったことは買ったが、
日焼け止めはなぜかイギリスから輸入していたり、
日本製が流れてきていたりで、ふるいものが多く、
分離して使い物にならないことが多く、ふたをあけて
「チキショウ」ってことも多々あった。
一応インドの高級化粧品と呼ばれているヒマラヤ化粧品という
アーユルベーダを元にした化粧品がある。
そこの日焼け止めをつけていたが、無添加でＳＰＦ１５という
「きいているのかどーか全くわからない」というシロモノだった。
そこの上からベビーパウダーをはたいて日焼けを防いでいた。
インド人って普段からすっぴんですが、
あの人たちは顔が濃いので化粧顔に見える。
それでもお化粧をしている人たちはアイラインを入れ、
割にパープルっぽい口紅をつけていた。
で、眉間にビンディってあのビーズのようなものをつけていたっけね。
日本人はもうそんな強い顔の人の間にいると
のっぺらぼうもいいところだった。
放浪していると、だんだん鼻が利いてきて、
旅行者が固まっている集落や、ホテルがわかるようになる。
私はその時によく一緒に旅行したおじさんは銀行員でイスラエル人、
日本語が仕事上必要だったらしく、カタコトを話す人で、
普段は日本語と英語のちゃんぽんで話していた。
考えてみれば、うちの母親と年が似たりよったりで、
なんであんなおじさんと知り合ったのかも今はよく思い出せない。
気の利いたおじさんで、夜は必ず、
こじゃれた酒場に連れて行ってくれてエスコートしてくれた。
おじさんを恥かかせたくなくって、
しょうがないなからすっぴんなのに化粧風メイクを編み出した。
旅行中、私はインドの楽器シタールをずっと持ち歩いていた。
あたらしい土地につくとすぐ楽器の先生を探し、
3000円くらい払って1週間くらい一日3時間マンツーで習っていたりした。
これ、弦を直接指で弾くので（ピックがあることはあるが、
ミズラヒといいますが、ミズラヒなしで教える先生もいたっけね。）
指のすべりをよくするために「バセリン」が欠かせなかった。
おじさんのために精いっぱいの化粧のつもりでバセリンを唇に
塗りぬりして、眉毛や瞼にもぬったっけね。
それなりに化粧しているように見えて面白かった。
おじさんはいつも「きれいですね」って言ってくれるんだよ。
その言葉が聴きたくて、あの時は
メイクに頭使った。
別に男女の仲でもなんでもなかったけど、
ほめられるのがうれしかった。
今ではおじさんはテルアビブの郊外にアトリエを建て、
彫刻家として生計をたてているらしい。
芸術家だったのね。
すっぴん風メイクに欠かせないものと言ったら
バセリンだと思います。
眉にちょっと、唇にちょこっとです。
もしかしたらキールというメーカーのリップバームを
おすすめします。
ちょうどいい黄色みで唇が健康的に見えて
それがセクシーでいい感じです。
かさついているところにつけても肌にツヤが出て
いいかもしれません。
なかなかに重宝するバームです。
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