はっきりさせない、見えない方が幸せ。
2021/1/10 14:01
芸能人の見た目によく見かける。
もともとネガティヴな言葉を、人に対して使うのはどうかと思う。
ある芸人さんが「歳をとるのは罪か」と発言した。
年末特番のゲーム対決での反応の遅さに冒頭の「劣化」と揶揄されたことが発端らしい。
私は件の番組は見ていないが、同年代ゆえ場面は想像できる。
もし見ていたら、夫と二人で「あるある」と笑ったと思う。
そう言えばかなり前にジムのスタジオでコリオ(振り付け)覚えられないと嘆いた人が、
「頭ではわかってるけど、心と体が一致しない」と笑ったその意味がよくわかる。
ひとは平等に歳をとる。
若い頃に簡単だったことが難しくなったり、イメージする自分と実際の自分との差は開いていく。
例えば子どもの運動会で若い父親がいきなり走って転んだりする。
気持ちは10代のまま残っているのに、そのイメージに体がついていかない。
小学生の頃に通ったスイミングで、バタフライの選手コースに誘われたことがある次男。
27歳になって運動不足解消に何年かぶりに泳ぎはじめた。
バタフライをやってみたら、「ほとんど溺れてる状態」だったらしい。
そう、イメージする「差」というのは「タイムラグ」である。
記憶はあるのに、体だけが大きくなって対応できない。
一方で歳をとると新しいことは覚えるのにも、思い出すのにも、時間がかかる。
記憶力が持続しない、つまり忘れてしまう。
はじめのうちは意地で思い出そうとするが、頻繁になると慣れてくる。
家の中でなくなったものは、だんだん「そのうち出てくる」と思うようになる。
日常は過ぎていくからそうするしかない。
諦めているわけでもない、受け入れるしか方法がないからだ。
それを「劣化」と言う人は、実感したことがまだないからだろう。
白内障の手術をした義母が、鏡の中の自分に愕然としたと言っていた。
「こんなにお婆さんだったのか」
大丈夫、まわりはみんなそのまま見てるから、と笑ったけど。
老いて見えなくなって、幸せだったこともあるかもしれない。
見えない方が、部屋の隅にあるホコリも気にならないかもしれないし、
洗い残しのシミも、パッキンのカビも、気づかなかった。
私はもともと完璧主義で、グレーなことが嫌いだった。
仕事のミスはありえないから、人の失敗が信じられなかった。
(最近それをトリガーされる、と言うのだと知った)
忘れ物が許せないから事前準備に時間を費やし、チェックを怠らなかった。
それが母親になり、息子たちを追い回す中で少しずつ変わった。
いや、変わらないと子育てはできなかったからだ。
仕事と家事と育児に追われ、時間はいくらあっても足りなかった。
部屋が散らかっていても、お弁当が手抜きになっても、睡眠時間を優先して笑顔でいられる方を選んだ。
優先すべきものだけをこなし、あとは「ま、いいか」となっていった。
そして世の中は白黒ハッキリさせなくても済むことが多いと学んだ。
なんなら、その方が幸せだと知った。
例えば、パートナーの携帯をチェックする人がいるが、私にはありえない。
夫の携帯の中に、私の知りたい情報があるとは思えないからだ。
(例えば私の誕生日にプレゼントを選んでいるとか)
声を大にして言いたい。
パートナーの携帯に、自分を幸せにする要素は絶対に存在しない。
怪しいと思ってそれをはっきりさせたところで不信感を募らせるだけなら、はじめから気づかないことにした方がいい。
いや、本音はめんどくさいのかもしれないし、多少怪しくてもどうせ大したことできやしないと思ってるのかもしれない。
だって何より私自身が、完璧な妻ではないからだ。
芸能人の不倫が世間を賑わせているけど、くだらないなと心底思う。
大手アイドル事務所の大御所のスキャンダルをネットで見た。
芸能人の問題を暴露して儲ける仕事があるのだから致し方無いけど、大きなお世話だ。
想像するにパートナーである妻は薄々知っていたはずだ。
そこまで女は鈍感じゃない。
アイドルの妻である以上覚悟はあるだろうし、長年一緒に暮らしていれば感じるはず。
それでも家庭の中の、一般とは比較できないレベルの暮らしを与えてくれる夫を尊重していた。
それなのに知りたくもない事実を暴露され、夫は仕事を干され収入は激減。
残るのは夫への不信感だけになった妻が、いちばんの被害者だ。
世の中には、見えないことが幸せなこともある。
はっきりさせない方が良いこともある。
若い頃は見て見ぬフリなど我慢できなかったのに、歳を取ったらはじめから見えなくなった。
自分もミスをするようになって、人のミスを笑って許せる自分になった。
年老いた人の言動も、いつか自分も行く道なんだと思うようになった。
忘れるのって、気づかないのってある意味幸せなんだ。
まわりに迷惑をかけないように、努力は必須だけど。
頑張って覚えて、頑張って思い出すのも、大切だけど。
私は歳をとって、いろんなことが気にならなくなって、楽になった。
人生、何もかも知らなくても、だいたいが見えていたら幸せだと心から思う。
親友が、私は母親になって丸くなったという。
そりゃ完璧な母親になれなかった自分が、回りに厳しくいられるわけがない。
病院の予約も、粗大ゴミの日も、全部アラーム設定しなくちゃならないと言うと、
「そんなの普通。私なんか干したつもりの洗濯物がそのままだったのよ」と。
いや、アナタは昔からそうだったけどね。
だから彼女はいつも幸せそうだ。
心の中の目は、半分くらいでじゅうぶん。
笑顔で過ごせる日常を、歳とともに得られた気がする。
人の言葉の真意をあれこれ考えることも、すぐモノを無くす上司のフォローも、靴を片付けない夫も、見過ごしていられる。
そう思うと鏡の中の「劣化した」私も、さほど変わっていない気がしてきた。
いや、もしかしたら白内障かも?
(+_+)
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