前回のトラキチ電車(何:阪神電車)で関西大手私鉄5社のご案内が全部出揃ったから、次はどこをご案内しようかと考えてたんやけど、今回は

西日本旅客鉄道。

JR西日本の、とくに近畿圏の路線の特徴は、私鉄との競合にある。
京阪神間は阪急、京阪、阪神。
大阪ー和歌山間は南海。
大阪、京都ー奈良県内は近鉄。
大阪は「関西私鉄王国」と呼ばれてて、各社とも独自の沿線文化を築き、しかもシェア争いで常に私鉄優位だった。
そこでJR西日本は、民営化と同時に関西私鉄王国の切り崩しに挑む。
JR民営化後、各社は国鉄の再出発を印象付けるように、まずは新型車輌の開発の着手に入る。ただ、JR東日本などが特急車輌の開発をしたなか、JR西日本だけは違ってた。いちばん最初にてがけたのは、通勤型車輌やったんや。



JR西日本の対私鉄施策としては、とにかく「速度重視」。

しかしその施策は余裕時分のないダイヤ設定、遅延等が許されない「日勤教育」に代表される社内風土を生み出し、2005年4月25日、

この事故をきっかけに、余裕を持たせたダイヤが組まれるようになり、さらなる高速化を目指した新快速の最高速140km/h引き上げの計画も消え、競合私鉄への乗客の流出も起こった。
ただ、実質のスピードダウンとなったものの、それでも私鉄と比較しても速達性は優位に立ってて、それが多くの支持を集めてるのも事実。
新快速以外では、







↓参考動画
ちなみにフルコーラスで72回飛ぶんやで笑
国鉄時代は民業を圧迫するとして展開できなかった旅客運輸関連以外の事業にも、民営化後手を広げていくようになる。



もちろん不動産事業もやってて、マンション戸建てともに全国展開してる。
ほかでは、古民家再生事業に出資したり、あるいは海産物の養殖事業とそのブランド化を通じて地域の活性化にも注力してる。新たな観光資源の開発の手法として興味深い。
ただ、昨今の日本の取り巻く状況は、旅客運輸を担う会社にとっては厳しいものがある。2020年度決算において、JR西日本はグループ全体で約2400億円の営業赤字を計上した。
利用低迷にともなって持ち上がったのが、各路線での減便、そして、路線そのものの存続。

ほかにも3路線ぐらいが俎上にあがると言われてて、主要路線の収益や他事業での儲けで補えるのであればともかく、グループとしてあれだけの赤字が出てるのであれば、さすがに看過できない。実際には、こんなご時世になるより先、3年前に三江線(さんこうせん、三次ー江津)が廃線となってる。
この情勢が収まったとしても、すべての旅客が戻るわけではないと予測されてて、2021年度売上予想では純利益30億円程度という控えめな数字をJR西日本は挙げてる。
そして同時に、これはわれわれに突きつけられた課題として、公共交通機関との向き合いかたも問われることになる。
公共交通機関と、沿線民たるわれわれとの関係は、対等なものであって主従ではない。赤字とわかってて一方的に存続を訴えるばかりじゃいかんと思うんや。
ローカル線でも駅近くに学校や役所などの施設を移転させて利便性を向上させた例もあるし、ただ声を上げるだけじゃなくて自治体も何らかの手段を講じる必要がある。
値上げもそのひとつ、受益者負担として求められるやろう(ちなみに東日本、東海、西日本の本州3社は、JRが発足してから消費税増税にともなうもの以外で値上げをしたことは一度もない)。
それでもどうにもならないなら廃線、バス転換もやむを得ないし、甘受しないといけなくなる。よりよい公共交通の体系とそれに合わせたまちづくりに、自治体沿線住民とも問題意識を持たないといけない。
一方で、なくすのは簡単でも復活させるのははるかに困難というのも事実。廃線になるのは単純に寂しい、ただ、当地の沿線住民はその思いをもっと強く持ってるはず。
だからこそ「鉄道が活きる」まちづくりと「乗って残す」道を進んでいってほしいと思うんや……。
というわけで……
最後は重い話になってしもた、でも言っとかなあかんことやからね。鉄道という贅沢品は、無条件にもたらされるものではないということを。
ただ、
鉄道は、われわれの帰りを待ってくれてる、そして、帰る場所を残すためにも、これからもがんばってくれるはず。人それぞれのデスティネーションキャンペーンが、ふたたび鉄路を賑わすその日まで。そんな願いを終着駅に、本日の運行を終了するやで。
ご乗車ありがとうございましたやで。
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