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本州の西を担う、てつどう

本州の西を担う、てつどう

ご乗車ありがとうございますやで。


前回のトラキチ電車(何:阪神電車)で関西大手私鉄5社のご案内が全部出揃ったから、次はどこをご案内しようかと考えてたんやけど、今回は
JR西日本、大阪駅からの出発とするやで。発車後スマホ画面が揺れますのでご注意くださいやで(何)



西日本旅客鉄道。
国鉄の分割民営化にともない1987年4月1日発足。主な継承路線は山陽新幹線、東海道本線(米原ー神戸)、山陽本線、山陰本線、大阪環状線、阪和線、関西本線(亀山ー湊町:現JR難波)など。

JR西日本の、とくに近畿圏の路線の特徴は、私鉄との競合にある。
京阪神間は阪急、京阪、阪神。
大阪ー和歌山間は南海。
大阪、京都ー奈良県内は近鉄。
大阪は「関西私鉄王国」と呼ばれてて、各社とも独自の沿線文化を築き、しかもシェア争いで常に私鉄優位だった。
そこでJR西日本は、民営化と同時に関西私鉄王国の切り崩しに挑む。


JR民営化後、各社は国鉄の再出発を印象付けるように、まずは新型車輌の開発の着手に入る。ただ、JR東日本などが特急車輌の開発をしたなか、JR西日本だけは違ってた。いちばん最初にてがけたのは、通勤型車輌やったんや。
JR西日本製第一号となったこの221系電車を、東海道本線の主力列車である新快速に投入。最高速120km/hという速さと転換クロスシートを採用した座席の快適性で私鉄に対抗。
また、京阪神地区とその近郊区間を「アーバンネットワーク」と称してその路線網の広さをアピールし、じりじりとシェア争いに迫る。

1995年1月17日、阪神淡路大震災によってJR私鉄ともども各路線が壊滅的なダメージを受けるも、そのなかでもJRは資本的に有利なのもあっていち早く全線復旧させたことで旅客も流入。

JR西日本の対私鉄施策としては、とにかく「速度重視」。
223系が新快速に投入されて最高速は130km/hに引き上げられ、大阪ー京都間は28分、大阪ー三ノ宮間は19分で結ばれるようになった。
しかしその施策は余裕時分のないダイヤ設定、遅延等が許されない「日勤教育」に代表される社内風土を生み出し、2005年4月25日、
乗客運転士あわせて死者107名、重軽傷者562名を出した福知山線脱線事故が発生した。日本の鉄道史上最悪レベルのこの事故、当時の負傷やあるいはPTSDなどの後遺症で未だに苦しんでる人もいるという。

この事故をきっかけに、余裕を持たせたダイヤが組まれるようになり、さらなる高速化を目指した新快速の最高速140km/h引き上げの計画も消え、競合私鉄への乗客の流出も起こった。
ただ、実質のスピードダウンとなったものの、それでも私鉄と比較しても速達性は優位に立ってて、それが多くの支持を集めてるのも事実。


新快速以外では、
日本最速の在来線特急、大阪ー金沢のサンダーバード、
史上初、300km/hを叩き出したワイ(何)、500系新幹線、
大阪ー札幌を結んだ、日本海と北海道のパノラマを映し出した寝台特急「トワイライトエクスプレス」と、その後継たるクルーズトレイン「トワイライトエクスプレス瑞風」、
かつて新快速に起用された117系を改造した新しい寝台列車「WEST EXPRESS銀河」などが活躍。

また、大阪環状線のド汚いイメージ(笑)を一新すべく、「大阪環状線改造プロジェクト」を発動。新型車輌323系の導入や駅の美化、やしきたかじんや和田アキ子、aiko、とんでのオッサン(何:円広志)などの大阪ゆかりのアーティストの楽曲を発車メロディに採用するなど、イメージチェンジに成功。
なおヤイコはハブられた模様(何)
↓参考動画
ちなみにフルコーラスで72回飛ぶんやで笑


国鉄時代は民業を圧迫するとして展開できなかった旅客運輸関連以外の事業にも、民営化後手を広げていくようになる。
駅ビルでは伊勢丹と組んで「ジェイアール西日本伊勢丹」として大阪駅に「LUKUA」を開業、百貨店激戦区の梅田においてライバルが多いなかでも健闘。
ホテルではヴィアイングループと、その最高級ブランド・グランヴィアを展開。
戦後、国鉄職員人員整理による退職者に対する救済事業として始まった「新梅田食道街」には飲食店約100店舗が軒を連ねる。
もちろん不動産事業もやってて、マンション戸建てともに全国展開してる。

ほかでは、古民家再生事業に出資したり、あるいは海産物の養殖事業とそのブランド化を通じて地域の活性化にも注力してる。新たな観光資源の開発の手法として興味深い。


ただ、昨今の日本の取り巻く状況は、旅客運輸を担う会社にとっては厳しいものがある。2020年度決算において、JR西日本はグループ全体で約2400億円の営業赤字を計上した。
利用低迷にともなって持ち上がったのが、各路線での減便、そして、路線そのものの存続。
とりわけ中国地方の山間部の路線はそもそもの利用客が少ない。とくに、今回いちばん取りざたされるであろう芸備線(げいびせん、備中神代ー三次ー広島)では、区間によっては100円の売上を上げるためにかかる経費は10万円(!)とまで言われてる。
ほかにも3路線ぐらいが俎上にあがると言われてて、主要路線の収益や他事業での儲けで補えるのであればともかく、グループとしてあれだけの赤字が出てるのであれば、さすがに看過できない。実際には、こんなご時世になるより先、3年前に三江線(さんこうせん、三次ー江津)が廃線となってる。

この情勢が収まったとしても、すべての旅客が戻るわけではないと予測されてて、2021年度売上予想では純利益30億円程度という控えめな数字をJR西日本は挙げてる。


そして同時に、これはわれわれに突きつけられた課題として、公共交通機関との向き合いかたも問われることになる。

公共交通機関と、沿線民たるわれわれとの関係は、対等なものであって主従ではない。赤字とわかってて一方的に存続を訴えるばかりじゃいかんと思うんや。
ローカル線でも駅近くに学校や役所などの施設を移転させて利便性を向上させた例もあるし、ただ声を上げるだけじゃなくて自治体も何らかの手段を講じる必要がある。
値上げもそのひとつ、受益者負担として求められるやろう(ちなみに東日本、東海、西日本の本州3社は、JRが発足してから消費税増税にともなうもの以外で値上げをしたことは一度もない)。

それでもどうにもならないなら廃線、バス転換もやむを得ないし、甘受しないといけなくなる。よりよい公共交通の体系とそれに合わせたまちづくりに、自治体沿線住民とも問題意識を持たないといけない。

一方で、なくすのは簡単でも復活させるのははるかに困難というのも事実。廃線になるのは単純に寂しい、ただ、当地の沿線住民はその思いをもっと強く持ってるはず。
だからこそ「鉄道が活きる」まちづくりと「乗って残す」道を進んでいってほしいと思うんや……。


というわけで……
最後は重い話になってしもた、でも言っとかなあかんことやからね。鉄道という贅沢品は、無条件にもたらされるものではないということを。

ただ、
鉄道は、われわれの帰りを待ってくれてる、そして、帰る場所を残すためにも、これからもがんばってくれるはず。人それぞれのデスティネーションキャンペーンが、ふたたび鉄路を賑わすその日まで。そんな願いを終着駅に、本日の運行を終了するやで。


ご乗車ありがとうございましたやで。










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