
思い出は思い出のままで取っておくべきかと悩みに悩み、
でも30余年の歳月を経てやっぱりリピートした
CHANEL N°19 パルファム。
(EDP以下ではない、最高濃度のエクストラクト)CHANEL N°19は、N°5と並ぶ位有名かと思うので、
長々と解説するのは野暮かと思いますが・・・
私は20代前半に出会って、衝撃を受けた香りのひとつで簡単には言い表せないほど思い出深いです。
ガルバナムの鮮烈なグリーンから始まる、媚というものが全く感じられない力強いフローラル。Pはことのほか気品があり、大好きな香りです。

時の流れってスゴいですが、3周回って?今の自分に相応しい(似合うかどうかは別として)時期に再会、というところで喜ぶべき事なのかもしれません。
※なお、二つ前の記事でちらっと書いた、「真打ち」はもちろんN°19の事でした。

1970年発表、
調香師はアンリ・ロベール。
ココ・シャネルの最晩年に、彼女自身のプライベートフレグランスとして創られた、
【ココ・シャネル本人を顕した香り】。
19はもちろん、シャネルの誕生日8月19日から採られています。
7月の大幅値上げの報を知った時に、やはり購入しておこうと早々に入手。
同じアンリ・ロベール作のクリスタルの方は店舗から早々にテスターさえ姿を消していたので焦ったけど、無事買えました。
シャネルの公式サイトから引用
製品説明
大胆なほどに自らの意思を感じさせる、凛とした香り。
伝統的なボトルの密封方法“ボード リュシャージュ”を施したボトルに包まれた、フローラル・グリーン・ウッディ ノート。
マドモアゼル シャネルのイメージのクリエイションへの姿勢と同様、一切の妥協を排した調香が完璧な調和をもたらす香り。
フォーミュラ
鮮やかなコントラストが織りなす、大胆なフローラル・ウッディ・グリーン ノート。
ガルバナムのいきいきとしたグリーンノートと、アイリス パリダの優しいパウダリー ノートとの、完璧なバランス。グラースのネロリ、ローズ ドゥ メ、そして、もっとも稀少でクオリティの高いグラースのアイリス パリダが彩る、多面的な魅力を放つ香り。
今どきのたいていのフレグランスの解説は、高級ラインとされるものでさえ私は「話半分以下」で読み流しますが、本物の香料芸術作品が凄まじいボリューム(質も物量も)で存在し、新しい試みも次々となされていた時代から存続する伝統的な香水なので、一言一言が真に迫って感じられます。

個人的な具体的思い出を語るのは割愛して、
本当に躊躇いながら(買ってしばらく、封を開けられず置いてありました)、
ボトルを開けると付ける前から鼻腔に広がる芳醇な香り。
やっぱり、本当に買って良かったと思いました。
なお、値上げの肩を持つわけではないですが、
特にPに関しては値上げ後の価格(15ml 31500円)ですら安い位と思ってます。
クリスタルを記事に取り上げた時も書きましたが、むしろどんなにお金を積んでも取り戻せないものがこのボトルには詰まっていて、いまだに生産されている事自体が奇跡に近い。
70年代の香水など、ほぼほぼ廃番になっているのが当たり前なので。特にP。
パルファム(エクストラクト)は、EDP以下よりも原料の品質を奢っているのも特徴。
グラースのネロリ、ローズ、アイリスが使われていると書かれているのはPだけですしね。
他の種類においても、たいていそうです。
Pの希少性というのは、EDP以下に比べて突如、幾何級数的に上がるのも特徴かと思います。量産できるものではないので非正規ルート(並行輸入・小分け・サブスク)で出回ることがほぼなく、ある意味【正規ルートのみで常に販売している限定品】のような側面があり、やはり大変価値あるものではないでしょうか。

まぁとにかく、Pの香りの素晴らしさをどんなに訴えようとも、
Pが存在するのはほとんどがそもそも古典香、
本当に一部の好事家だけが愛好するものになっています。(現在は香水ファンの中でも限られているでしょう。)
存在自体が風前の灯のPですが、この貴重な文化遺産ともいうべき存在が、少しでも長く販売される事を切に願います。
でもそういえば、ガブリエルも店舗限定とオンラインでPが発売となりました。
(30ml 44000円 ヴァポリザターと書かれてるのでフラコンではなくスプレーですね)
実際使った、試した方の感想が聞いてみたいです。
(ガブリエルが発表された時、「ついに新作においてPが作られなくなった」とクチコミで文句を言ってた(苦笑)のをご存じの方もいらっしゃると思いますが、数年後にこのような形で発表されたのが驚きです。シャネルの香水事業への熱意が感じられます。

N°19の発表から数週間後にココ・シャネルは永眠。
シャネルが存命中に発表された、最後のシャネルフレグランスとなりました。
その事実がまた、この香水をドラマチックに彩っているわけですが、
シャネルの晩年にも思いを馳せつつ、本日はこの香りを付けて過ごしたいと思います。
ranmaruさん
しべたんさん
AtIiさん
しべたんさん