3004views

CHANEL N°19 8月19日という日に寄せて

CHANEL N°19 8月19日という日に寄せて

今日という日にどうしても上げておきたい記事。

思い出は思い出のままで取っておくべきかと悩みに悩み、
でも30余年の歳月を経てやっぱりリピートした

CHANEL N°19 パルファム。

(EDP以下ではない、最高濃度のエクストラクト)
CHANEL N°19は、N°5と並ぶ位有名かと思うので、
長々と解説するのは野暮かと思いますが・・・

私は20代前半に出会って、衝撃を受けた香りのひとつで簡単には言い表せないほど思い出深いです。
ガルバナムの鮮烈なグリーンから始まる、媚というものが全く感じられない力強いフローラル。Pはことのほか気品があり、大好きな香りです。
1980年代~1990年代初頭くらいまでは、N°19は「若々しい香り」の部類でしたが、いまやすっかり古典香、マダム香の部類。
時の流れってスゴいですが、3周回って?今の自分に相応しい(似合うかどうかは別として)時期に再会、というところで喜ぶべき事なのかもしれません。

※なお、二つ前の記事でちらっと書いた、「真打ち」はもちろんN°19の事でした。

1970年発表、
調香師はアンリ・ロベール。
ココ・シャネルの最晩年に、彼女自身のプライベートフレグランスとして創られた、
【ココ・シャネル本人を顕した香り】。
19はもちろん、シャネルの誕生日8月19日から採られています。

7月の大幅値上げの報を知った時に、やはり購入しておこうと早々に入手。
同じアンリ・ロベール作のクリスタルの方は店舗から早々にテスターさえ姿を消していたので焦ったけど、無事買えました。

シャネルの公式サイトから引用
製品説明
大胆なほどに自らの意思を感じさせる、凛とした香り。
伝統的なボトルの密封方法“ボード リュシャージュ”を施したボトルに包まれた、フローラル・グリーン・ウッディ ノート。
マドモアゼル シャネルのイメージのクリエイションへの姿勢と同様、一切の妥協を排した調香が完璧な調和をもたらす香り。

フォーミュラ
鮮やかなコントラストが織りなす、大胆なフローラル・ウッディ・グリーン ノート。
ガルバナムのいきいきとしたグリーンノートと、アイリス パリダの優しいパウダリー ノートとの、完璧なバランス。グラースのネロリ、ローズ ドゥ メ、そして、もっとも稀少でクオリティの高いグラースのアイリス パリダが彩る、多面的な魅力を放つ香り。


今どきのたいていのフレグランスの解説は、高級ラインとされるものでさえ私は「話半分以下」で読み流しますが、本物の香料芸術作品が凄まじいボリューム(質も物量も)で存在し、新しい試みも次々となされていた時代から存続する伝統的な香水なので、一言一言が真に迫って感じられます。

個人的な具体的思い出を語るのは割愛して、
本当に躊躇いながら(買ってしばらく、封を開けられず置いてありました)、
ボトルを開けると付ける前から鼻腔に広がる芳醇な香り。
やっぱり、本当に買って良かったと思いました。
なお、値上げの肩を持つわけではないですが、
特にPに関しては値上げ後の価格(15ml 31500円)ですら安い位と思ってます。
クリスタルを記事に取り上げた時も書きましたが、むしろどんなにお金を積んでも取り戻せないものがこのボトルには詰まっていて、いまだに生産されている事自体が奇跡に近い。
70年代の香水など、ほぼほぼ廃番になっているのが当たり前なので。特にP。

パルファム(エクストラクト)は、EDP以下よりも原料の品質を奢っているのも特徴。
グラースのネロリ、ローズ、アイリスが使われていると書かれているのはPだけですしね。
他の種類においても、たいていそうです。
Pの希少性というのは、EDP以下に比べて突如、幾何級数的に上がるのも特徴かと思います。量産できるものではないので非正規ルート(並行輸入・小分け・サブスク)で出回ることがほぼなく、ある意味【正規ルートのみで常に販売している限定品】のような側面があり、やはり大変価値あるものではないでしょうか。

   シャネルの製品デザインへの偏愛は度々語っていますが、とにかくどの角度から見ても完璧。ボードリュシャージュを外していない状態で撮っているので、黒紐が写り込んでます

まぁとにかく、Pの香りの素晴らしさをどんなに訴えようとも、
Pが存在するのはほとんどがそもそも古典香、
本当に一部の好事家だけが愛好するものになっています。(現在は香水ファンの中でも限られているでしょう。)
存在自体が風前の灯のPですが、この貴重な文化遺産ともいうべき存在が、少しでも長く販売される事を切に願います。

でもそういえば、ガブリエルも店舗限定とオンラインでPが発売となりました。
(30ml 44000円 ヴァポリザターと書かれてるのでフラコンではなくスプレーですね)
実際使った、試した方の感想が聞いてみたいです。
(ガブリエルが発表された時、「ついに新作においてPが作られなくなった」とクチコミで文句を言ってた(苦笑)のをご存じの方もいらっしゃると思いますが、数年後にこのような形で発表されたのが驚きです。シャネルの香水事業への熱意が感じられます。



N°19の発表から数週間後にココ・シャネルは永眠。
シャネルが存命中に発表された、最後のシャネルフレグランスとなりました。
その事実がまた、この香水をドラマチックに彩っているわけですが、
シャネルの晩年にも思いを馳せつつ、本日はこの香りを付けて過ごしたいと思います。



このブログに関連付けられたワード

このブログを通報する

コメント(2件)

  • こんにちは。
    毎回、素敵な写真でうっとりしています。

    思い入れのある香りを身にまとって過ごすことは、とっても充実した一日となったことでしょうと、こちらまで嬉しくなってしまいました。
    まだ、シャネルの香水は持っていませんが、いつかはと思っています。
    ボトルもすごくシンプルですが、そこがかえって正当さを感じます。

    0/500

    • 更新する

    2022/8/20 11:05

    0/500

    • 返信する

    ranmaruさん、こんにちは。
    写真をお褒め頂きいつもありがとうございます。
    特に今回は、思い入れがある香水なので、ココ・シャネルの孤高さを表せるように撮ろうと思いました。

    久しぶりに付けてみたら、やはり感慨深かったです。
    特に、こういう昔の香りは、今の香水とは違う深みがあって、やはり年齢的にも「香水って元来こういうものだよなぁ」と改めて思ってしまいます。
    シャネルも香水のラインナップは本当に多いですし、古典から、今風の爽やか系まで色々と揃っているので、ぜひお勧めです。
    ボトルのデザイン、本当に素敵だと思います。シンプルなのにとても格好いい、シャネルならではの境地ですね。

    0/500

    • 更新する

    2022/8/21 13:09
  • やはり購入されたのは予想通りC社でしたね^^
    N°19は私も20代に出会いました。N°5よりもグリーンノートであることから好みです。若々しいイメージが私にもありますが、今嗅いだらマダム香に感じるのかしら?
    たぶん以前にお話ししたと思いますが、クリスタルは若き日出会って何度もリピートした思い出深い香りで今も大好きです(徐々に定番アイテムのバリエーションが少なくなっていることを危惧していましたがそんな状況でしたか。今は纏えないので残念と言うしかないのですが)。
    仰るようにどれだけ一世を風靡した人気の香りでもほぼ廃番になっている中、N°19(N°5も)が未だに製品として(パルファムとして)存在していること自体非常に希少価値があると思います。
    私も香水(パルファム)を入手したのは数えるくらいしかないため、すぐ開封はできずにしばらく置いておく派です(笑)
    このシンプルで端正なボトル、美しいですよね!密閉する技術はボードリュシャージュと言うのですね(流石です!私も初めて知りました)。
    思い入れ深い香りを纏って今日は心地良く、そして感慨深い一日を過ごされたのではないかと思います。

    0/500

    • 更新する

    2022/8/19 19:58

    0/500

    • 返信する

    AtIiさん、こんにちは。
    予測がお見事でございました(^^)!
    N°19は、昔からN°5よりも我が国における受けは断然良かったと思います。日本の気候や一般的嗜好に合うのは納得ですし私もそうでした。
    が、そうこう言ってる内に時の立つのは早い(笑)。ここに書込みを始めた頃にN°19のクチコミを見てすっかりマダム香扱いになってるのに吃驚、でも冷静に考えればそりゃそうです。これも処方改変はされてると思いますが、ザ70年代の香りですね(N°5に比べればずっと現代寄りですが)。
    クリスタルは2年前には50mlもありましたが今は100mlのみで今回価格も2万に迫りました。ここまで値上げとなるとそりゃ品切れしますね。
    シャネルは大手の中では伝統の香水を維持する気概が一番感じられるブランドです。コングロマリットの一部ではない独立体制もプラスに働いてるのかも。
    でももう少なくともお手頃には提供できない、というご時世になっていく一方ですね。
    Pは本当に香水の真髄ですし、恐れ多くてしかも思い出深いと簡単に開封できませんね^^;。
    密閉技術は本当に限られた人数の職人さんの手作業らしいです。そこも貴重ですよね。

    0/500

    • 更新する

    2022/8/21 13:01

香水 カテゴリの最新ブログ

香水のブログをもっとみる

投稿ブログランキング

投稿ブログランキングをみる

編集部イチオシ!

HOTタグ

ブランドファンクラブ限定プレゼント

【毎月 1・9・17・24日 開催!】

(応募受付:8/1~8/8)

プレゼントをもっとみる