2023年は春頃より、外出の機会も増え、対面での仕事や会食なども増えましたが、それでも家の充実度は欠かせない存在。とはいえ、「ホームフレグランス」はどこから着手すべきなのか、どの程度行うべきかなど、意外と迷われる方も多いもの。ご自宅のホームフレグランスをこだわりたいなら、まずはベッドルームの香りを整えるのがおすすめです。ベッドルームは、自身の疲れを癒し、明日への活力を養う大切な場所。そこに心地よいと思える香りを漂わせることで、より深いリラックスや睡眠を得るサポートとなります。こまめな方も、面倒がりな方も、予算を抑え目にしたい方も、一番ご自身が無理なく続けられるアイテムを選ぶのがポイントです。
【ルーム&ファブリックミストで、お部屋全体の香りを瞬時にチェンジ】
ベッドルーム全体や、寝具の香りを一瞬でリフレッシュするならば、ルームミストやファブリックミストが便利です。起床時に、ドアや窓を開けて換気しながら、スプレーしましょう。就寝前に行うと、香りを強く感じることがありますので、朝のルーティンに入れ込んでみてください。朝起きるのが苦手でない方におすすめのアイテムです。悪臭が気になる方は、先に消臭スプレーを使用して、乾いてから使用しましょう。もしくは、置き型の消臭剤と併用を。写真左から...
①SABON『ファブリックミスト ジェントルマン』
(300mL ¥3,300)https://www.sabon.co.jp/ecproduct/FabricMist_Gentleman
メンズとシェアしやすい、ユニセックスなシトラスウッディノート。柑橘やグリーン、シダーウッド、パチュリ、サンダルウッドなどがクールな温かみを感じさせ、ホワイトフラワーがほんのりと柔らかい余韻。寝具の他、洋服にも使用可能。たっぷり300mLで3000円台と、コストパフォーマンスも良いですよ。
②Coqui Coqui『リネンスプレー FLOR DE NARANJO(フロル・デ・ナランホ)』
(100ml ¥9,020)https://koalabeauty.jp/products/detail.php?product_id=1451
メキシコ/ユカタン半島の原生林や、南太平洋に浮かぶポリネシアの島々から届く、香り高い南国のそよ風をイメージしたリネンスプレー。フレッシュで太陽を感じるような柑橘の花の香りは、リゾートへ遊びに来たような明るさを感じます。寝具の他、布類にスプレー可能。我が家では、洗濯物を取り込んだ後に、この香りをふわっとミストしてから衣類をかき混ぜて使っていたりもします。
③ann fragrance『ファブリックミスト MIDNIGHT OSMANTHUS』
(50mL ¥4,400)https://annfragrance.com/products/14-midnightosmanthus
どこか郷愁を誘う金木犀の香りのファブリックミスト。夜道でふと遠くから感じる花の香りに引き寄せられて角を曲がれば、そこには満開の金木犀が咲いているような風景が閉じ込められた一本。こちらも布地製品へスプレー可能。コートの内側などにミストするのもおすすめ。
④アスレティア『スイッチング アロマルームミスト N / GREEN RAY』
(100mL ¥5.500)※私物のため旧ボトルで、新製品を詰め替えて使っております
https://onlineshop.athletia-beauty.com/
フランキンセンス、高知ヒノキ、ヒノキリーフ、ヒバなどのウッディーレジン系の香りが、アイテム共通の精油であるセダーウッド、ユーカリプタス、スギリーフと重なり、より深みのある森の香りに。荘厳な山の息吹が感じられ、神聖な眠りの空間も浄化していきます。窓を開けて風を入れながらミストし、家全体に香りを通してあげるのもおすすめ。
⑤コンフォートゾーン『スキンレギメン ルームスプレー』
(100mL ¥7350)https://davines.co.jp/shop/brand/comfortzone/
スキンケアに定評のあるコンフォートゾーンより、人気のスキンレギメンのシリーズから発売されていたルームスプレー。ジュニパー、ローズウッド、シダーウッドの他、コパイバの香りが使われている珍しいアイテム。廃盤になってしまったけれど、ぜひ再販してほしいアイテムの1つ。ルームスプレーは購入できませんが、同シリーズのスキンケアで香りは試せますので、ぜひ店頭で。
⑥ラボントゥザムーン『ベッドルーム&ファブリックミスト』
(300mL ¥657)https://www.lavons.jp/moon/
50回以上の試作を重ね、就寝時の鼻通りのよさ、ベッドに横たわった時の心地よさにこだわって作られたというルームスプレーとしても、ファブリックスプレーとしても使用できるアイテム。左側は、昼から夜へ移り変わる美しい一瞬をイメージした、トワイライトマジックの香り。アンバーウッディーノートをベースに、すみれやジャスミン、ラベンダーのフローラルノートが、少しパウダリックに緊張を解きほぐします。右側は、フワフワと雲の上で眠るかのような優しさと心地よさをイメージした、ノクターナルブルーの香り。ラベンダーとアルモワーズ(白ヨモギ)のハーバルなトップノートから、清潔感のあるミュゲやローズのミドル、落ち着きのあるサンダルウッドへと遷移していきます。どちらもアンダー1000円と、初心者もトライしやすい価格帯です。
【ほのかに常時香らせることが可能な、ルームディフューザーはギフトにもおすすめ】
ルームスプレーや、ファブリックミストをこまめに使うのは面倒で無理…という方は、基本はルームディフューザーを置いて、お休みの日にルーム&ファブリックスプレーをプラスして行うのはいかがでしょうか。ルームディフューザーはほのかに香りを常時漂わせてくれるため、強い香りを一気に感じるのが苦手な方にも難易度が低く、またギフトとても大人気ですね。私も友人や離れて住む家族に、ディフューザーをプレゼントしたりしています。実は、ベッドルームでリラックスできる香りは、意外と人によって違います。ある人にとってはベッドルームに置きたいけれど、ある人にとっては仕事スペースに置きたいなど、嗅覚の好みは千差万別。ディフューザーはギフトとして贈る場合も、家のどこに置くかを個人でアレンジしやすいのも良いところです。写真左から...
①モルトンブラウン『サイプレス&シーフェンネル アロマリード』
(150mL ¥8,800)https://www.moltonbrown.co.jp/collections/aroma-reed-diffusers/products/dif253hr
まさに我が家のベッドルームのディフューザーはこちらを愛用しています。オーストラリアのシーフェンネルとソルティなサイプレスにカルダモンがブレンドされた、マリンノートです。私自身は、ちょっと海辺の香りやリゾート地のホテルの香りのような匂いが、特にリラックス度高いのでお気に入りです。シエスタのような安らぎを与え、自然を感じさせてくれる香りです。約4か月間使用でき、レフィルは150mLで¥6,380とお得で、私もレフィルをリピートして使っています。
②SCENT OF THE ONE『ディフューザー "L'EAU"』
(200mL ¥13,970)https://scentoftheone.com/collections/products/products/leau
透明感のあるフルーティフローラルな香りにリラックスする方は、こちらの"L'EAU”がおすすめです。リンゴ、ラズベリー、フランス産のブラックカラント、柑橘類のみずみずしいトップノートから始まり、バラやジャスミン、スミレのフローラルブーケの中に、ミントの清涼感とシダーウッドやサンダルウッドのプレシャスな香りが重なります。この香りは、私にとってはベッドルームよりダイニングに置きたい香りのため、そのような使い方をしていますが、みずみずしいフルーティーな香りがお好きな方は、ベッドルームへぜひ。
③ラリック『ディフューザー ソレイユ/チェンマイ』
(250mL ¥16,500)https://lalique.jp/fragrance/homefragrance/diffuser/soleil/
情熱的なタイ北部の都市チェンマイへの旅をイメージした、エキゾチックで魅惑的なソーラーアコードが魅力です。香調はウッディ フローラル バニリック。洋ナシやコルシカ産のマンダリン、イタリア産のベルガモットのすっきりとしたフルーティーなアロマ、それと対極にスパイシーなサフランや野性的なインド産ジャスミンサンバックのセンシュアルなファセットが、クリーミーなサンダルウッドとマダガスカル産のパーボンバニラによって柔らかく包まれています。温かみのある甘い香り、センシュアル寄りの香りがリラックスできる方におすすめ。シックなビジュアルは、成熟した雰囲気のインテリアともマッチします。
【眠りの質を左右するピローミストは、"眠れる" を最優先に選ぶ】
ピローミストは枕や枕カバーにスプレーして使用するため、実際に眠る時の嗅覚に距離的に近いため、慎重に選んでください。特に睡眠に何かしらお悩みを抱えている方、例えば寝つきが悪い、眠りが浅い、目覚めが悪いなどあれば、それに適したピローミストを選ぶことをおすすめします。私の場合は寝つきは悪くないのですが、眠りが浅いのが悩みなので、できるだけ深く眠れる香りを探すようにしています。また、顔や髪に直接触れることが多いピローミストは、肌に優しいものを選ぶのもポイントです。
写真左から...
①ザ パブリック オーガニック『RESTFUL SLEEP - PILLOW MIST』
(60mL ¥3,080)https://shop.colours.co.jp/products/tp_restful-sleep-pmist?_gl=1*a6v9c7*_ga*MTE1MDg1NDI1NC4xNjk4NzQ2NzYx*_ga_Q2NNKEPX62*MTcwMDkxMDEzMi4yLjAuMTcwMDkxMDEzMi42MC4wLjA.&variant=20210284593225
睡眠専門医 × 精油専門家 × 植物療法士の共同開発による、頼れる精油ピローミスト。私は「寝ても疲れがとれない人」向きのRESTFUL SLEEPを愛用。私自身は、仕事のアイデアや、こうやってやったらいいんじゃないかということを、終日グルグル考えているタイプなため、眠りの前に全てを忘れてリラックスが出来ないワーカホリックなタイプなため、同じ属性の人はこちらをぜひ。爽やかなベルガモット精油と清涼感のあるユーカリ精油のハーバルシトラス調の香りです。朝すっきり起きられない方向けの香りや、眠りが浅い人・睡眠時間が短い人向けの香りなどもあるので、ぜひサイトをチェックしてみて。
②バンフォード『ピローミスト』
(50mL ¥4,180)https://bamford.jp/products/pillowmist-50ml
英国発のナチュラルオーガニックプロダクツとライフスタイルを提案するバンフォードの、人気アイテムであるピローミスト。ラベンダーやマジョラム、フランキンセンスの香りで、ハーバルなリラクゼーションが楽しめます。季節や時間を問わずに使いやすいのも良い点で、旅行などにもおすすめの小さいサイズも展開されています。
③ダイアンボヌール『おやすみピローミスト』
(各95mL 各¥1,540)https://www.diane-bonheur.com/
ピローミストを試してみたいけれど、なかなか勇気が出ない方は、プチプラからチャレンジを。ヘアケアブランドのダイアンボヌールから当初は限定だったものの、人気のため昨年定番化となった『おやすみピローミスト』。ラベンダーピンク色のボトルは、ベルガモットとラベンダーが香るハーブティーをベースに調合された「ナイトドリームティーの香り」。さらに、今年新しい香りが2つ登場。イエローのボトルは、グリーンノートの漂うフルーティーフローラル「フレンチミモザの香り」。ブルーのボトルは、ジャスミンを主役にグレープフルーツの爽やかさと、ローズやアンバーが香る「ジャスミンブルーの香り」。グラース産の香料を使用した質の良さにもこだわられています。
【おやすみフレグランス(寝香水)は、季節や気分によってアレンジ。迷ったらスキンノートを。】
SNSで「今夜はこれにする!」と投稿しあうフレグランスファンも多い、「寝香水」のジャンル。日本のユニークな文化の1つになりつつあり、メディアや販売店でも「寝香水」というワードが使われるほどになりました。フレグランスに詳しい方は、各々に季節や気分によって香りを変えて楽しんでますが(人によっては毎日違う方も)、初心者にとってはどんな香りからトライすればいいんだろう?と思うこともあるようで、私のところにもおすすめを質問される方が多いことの1つのです。初心者の方は「寝香水」に使える香りを選ぼうとは思わずに、「日中も使えて、リラックス時にも使える香り」を選んでみることをおすすめします。持っている香水の数が少ない頃は、そのような万能タイプの香りと、万能ではないけれど物凄く好きと思えた香りを揃えてみると、豊かな香りライフにつながるのではないでしょうか。
写真左から...
①OBVIOUS(オブヴィアス)『UNE FIGUE(ユヌ フィグ)』
(100mL ¥17,600)https://arteau.jp/collections/obvious/products/une-figue-%E3%83%A6%E3%83%8C-%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%B0
"白いTシャツのような香水"を目指して作られたフレグランスメゾン・OBVIOUS(オブヴィアス)は、メゾン&ニッチ系フレグランス初心者にとっても手に取りやすく、ファッションブランドのフレグランスや大手コスメメーカーのフレグランスが好きな方にとっても、トライしやすいブランドだと思います。一見シンプルな雰囲気の香りと、リーズナブルな価格帯。一見シンプルという表現をしましたが、タイトルもシンプルゆえシングルノートのような雰囲気があるかもしれませんが、実は香りの構成としては結構凝った造りになっているのもユニークなポイントです。この「ユヌ フィグ」は、コルシカ島のフィグ(イチジク)がある風景をイメージしたこの香りは、フィグだけでなく、イモーテルの花や、マリンノートも含まれ、どこか牧歌的な雰囲気を纏っているように思います。安心して眠りにつけそうな、優しい香りです。
②D’ORSAY(ドルセー)『あなたの唇で E.Q. ボディフレグランス』
(90mL ¥30,800)https://dorsay.jp/products/eq-body-fragrances
眠りにつく時も、どこかエレガントな官能性を纏っていたい方におすすめの、今年発売された香り。マスターパフューマーであるドミニク・ロピオン氏が調香を手掛け、無限の愛とキスの余韻さえも感じられる香りをフローラルムスキーの世界で創造した作品となっています。アイリスの魅力を多面的に感じることができる秘密は、フランス産のアイリス・パリダとLMR香料のアイリス・ゲルマニカから抽出されたコンクリートとレジノイドが贅沢に使われていること。(LMRとは、ラボラトリーモニークレミーのこと。モニーク・レミー氏によって1983年に設立された厳しい理念と環境保護を優先させた施設で、独自のナチュラル抽出法は化学薬品を一切使用せず100%純正で厳選された原材料を提供。) モダンながら、どこかクラシカルな印象もあります。ジャスミンやカシュメランと共に、たおやかなオーラを放ち、眠りの中のあなたまでも包み込んでくれるでしょう。
③CARON(キャロン)『ムスク・オリ』
(30mL ¥16,500)https://www.forte-tyo.co.jp/shopping/caron/13260/
1904年にパリで誕生した、歴史あるフレグランスメゾンのCARON(キャロン)。今年の春先に発売された「ムスク・オリ」は、合成のコンポジションである、"FF?カシュメラン"と"ジャヴァノール"をメインとしたフレグランス。繭の中に入って自分だけのパーソナルな時間を過ごすようなイメージで創られており、自分自身のためだけに纏う香りとして生まれました。ウッド、ムスク、フレッシュのハーモニーは、とても静かで就寝前に纏うことにも適していますよ。オーロラのように輝くラベルと、乳白色のジュース(香水の液体のこと)にも癒されます。
初心者にもマニアにも楽しんでいただけるような、寝室のためにおすすめのアイテムと香りをご紹介して参りました。これでもまだ一部ですので、また機会があれば特集いたします。まもなく12月で誰しも多忙を極める時期と存じますが、体調崩されませんよう、充実して睡眠をとって年末乗り切っていきましょう!
【執筆者】
美容・香水ジャーナリスト YUKIRIN日本で唯一の香水ジャーナリストとして、メディアで香りの情報を発信。2003年より10年間美容インフルエンサーを経て、2013年にプロへ転向、今年10年目を迎えた。これまで2,000種類以上の香水や、500ブランド以上の化粧品に触れ、新製品や国内市場の動向を網羅するブランドコンサルティング、顧問として活動中。香りの良いコスメでの美容や、香りとメイクのコーディネートなど、美容?香りの提案も多数行い、多くのビューティ&ファッションメディアでの連載や、香水に関する記事監修に携わる。また、近年は大手百貨店や商業施設で「香りのパーソナルカウンセリング」を実施。一般ユーザーに向けて、肌の匂いと香水をコーディネートする提案も行っている。その他、コピーライティング、メディアリレーション、イベント考案、ウェブディレクション、SNSコーディネート、広告用写真提供など、携わる業務の幅は広い。
https://ja.wikipedia.org/wiki/YUKIRIN
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