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美和子のためにも、チェリオ!

美和子のためにも、チェリオ!


「美和子のためにも、チェリオ!」美和子は、自分で盃をあげた。
「美和子ちゃんも、何かお祝いすることがあるのかい。」と、青年の一人が云った。
「大有りさ。美和子、今に結婚するかもしれないのよ。」
「おや。誰とさ。」
「誰とだって、いいじゃないか。今に分るさ。」美和子は、男の子のような口をきいていた。
 だんだん客が、立てこんで来た。
 八時近く前川が、友達二人と、客のようにすまして、はいって来た。そして、音楽や、若々しい笑い声や、酒の香りに、濁りかすみながら、陽気な空気の渦巻いている容子に、満悦しながら、美和子達のグループのすぐ隣に、腰をおろした。
 新子は、前川がはいって来たのを、目ざとく見つけたが、ちょうど他の客に、サービスしていたし、よし子も妙子も、物を運んでいたので、誰もすぐには註文を訊きに行かなかった。
 それを知ると、美和子は、お友達に、
「美和子の女給ぶりを、ちょっと見せるわよ。」と耳語すると、たちまち自分の座席から立ち上って、前川の卓子に行き、
「いらっしゃいませ。何をお持ちしましょうか?」と、訊いた。
「ウィスキイ。オールド・パーがいいね。」
「皆さん?」
「ああ。」
 前川は、こんな可愛い少女を、いつの間に新子が見つけたのだろうと、驚きながら答えた。

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