「ティッシュといえばネピア」とティッシュブランドとして名高い「ネピア」。なかでも、かわいい動物たちの顔が四面を飾る「鼻セレブシリーズ」は、一度見たら忘れないほどのインパクトを放っています。
鼻セレブの誕生は2004年9月。「このデザインに至るまで、何度も案を出したんですよ」と語るのは、マーケティング担当の平川淳子さん。「デザインもそうですが、『鼻セレブ』というネーミングにおいては、100を超える中から選ばれました」。鼻セレブシリーズはボックス型のティッシュをメインに、ポケットティッシュ、鼻セレブITSUMO、大人の鼻セレブなどアイテムを拡充し、2011年にはトイレタリーアイテムとして、おしりセレブシリーズも登場しています。
初めて「鼻セレブ」を耳にしたとき、こんなにわかりやすく、洒落っ気の利いたネーミングに“なるほどね”と納得してしまった人も多いのでは? 鼻セレブというネーミングは誰がどのように決定したのでしょうか?
「まずはこの商品を『鼻』に使うものだということを理解していただく必要がありました。反対意見もあったようなのですが、『鼻』という漢字をあえて使用することで、インパクトを狙いました。
また、セレブというとちょっと高級でリッチなイメージを抱きますよね。そこで、“鼻に使うセレブ(高級)ティッシュ”という意味をもった『鼻セレブ』というネーミングが決定したのです。社内では反対されたのですが、当時の商品企画部長が説得を重ね、商品化までこぎつけたそうです」と平川さん。
今では「無くてはならない」と言われ、“ティッシュ業界の革命児”と呼ばれる鼻セレブですが、セレブ感を味わえる“エッジ”となる商品コンセプトを決めるのが一番大変だったハズ。「鼻セレブをつくるなら他のティッシュにはない、圧倒的な使い心地の良さを追求したい、と考えていました」(平川さん)。
ですが、鼻セレブの構想はすでにあり、モデル商品があったといいます。鼻セレブの誕生を語るうえで避けて通ることのできない、鼻セレブの前衛アイテム「ネピア モイスチャーティシュ」についてお話を聞いてみました。
「“ティッシュで鼻をかみすぎると赤くなる”というのがティッシュの常識ですよね。ドライティッシュが主流だった時代、鼻が赤くならないティッシュをつくりたい、という想いで保湿ティッシュの開発はスタートしました」と平川さん。
「実際、春先の花粉症やハウスダストなどのアレルギーで悩む方は年々増えているということもあり、そんな時代の変化に対応した“お客様目線のモノづくり”をしようと開発が進められたのが『ネピア モイスチャーティシュ』だったのです」(平川さん)。
1996年にデビューした「ネピア モイスチャーティシュ」は、その名のとおり紙がしっとりと“湿気のある”ティッシュ。「保湿ティッシュなんて今でこそ認知はありますが、当時は、濡れている(=ウェット)ティッシュに間違われたり…思うように認知は広まりませんでした」。
そんな「ネピア モイスチャーティシュ」を鼻セレブのモデルに起用したのはナゼ?
「『ネピア モイスチャーティシュ』は爆発的なヒットはしませんでしたが、コアなターゲットには評判が良く、熱烈に支持されたアイテムだったのです。手に取ればウェットティッシュとの差は明らかですし、しっとりとした質感と手触りの良さはドライティッシュにない技術です。この技術こそ、“これからの時代に必要なモノなのでは?” と考えました。そのノウハウをブラッシュアップして“究極の使用感の良さ”にこだわった新しいティッシュ。鼻セレブは『ネピア モイスチャーティシュ』の存在無くては完成しませんでした」。
“鼻をかんでも赤くならないティッシュ”の最大の武器は使用感と満足度の高さ。これがのちのティッシュの常識になる、というのがネピアの出した答えだった。
「保湿ティッシュのニーズは必ずくる、というのが私たちの読みでした。鼻をかむと赤くなることに悩む人がいる限り、その悩みを少しでも取り除く究極のティッシュをつくりたいというのが当時の開発チームの夢でした」と平川さん。
究極のティッシュとなれば、開発コストもかかるし原価に跳ね返るリスクも伴うことになるが、その心配は?
「仕様も素材も高級な“上級のティッシュ”で悩みを解決できるなら、買い求めてくれるお客様は必ずいるはずです」。目指すべきものは、シルクのような肌ざわりだったとか。