鼻セレブがデビューした後も「もっと良いものを!」という探求心は続き、次々とヒット商品を生み出すきっかけになりました。王子ネピアハウスホールド開発センター副センター長の相馬治子さんは「もっと身近でもっと手軽に鼻セレブを使っていただくために、『ネビア 鼻セレブITSUMO』の開発を思いついた」そう。
「鼻セレブを使うと“もう、ドライティッシュは使えない”とおっしゃるお客様がいます(笑)。そのためにポケットティッシュもつくっていたのですが、“ポケットティッシュでは少ない。かといって、鼻セレブ本体を持ち運ぶわけにはいかない”という女性たちの悩みの声が結構多いことに気づきました。そこで考えたのが、“いつも(ITSUMO)持っていてね”という意味も込めた、大きめサイズのポケットティッシュでした」。
鼻セレブのティッシュのサイズはそのままに、さらに、バッグに入れてもかさばらないサイズ…。当初、携帯する利便性を考え、パッケージサイズを小さくすることを考えていたが、サイズを小さくするにはティッシュを折りたたむことになる。
「鼻をかむ前にティッシュを大きく広げなければならない手間は、できることなら避けたい。そうなると、取り出し口に工夫をするしかありませんでした」(相馬さん)。
大判のティッシュを持ち運ぶと取り出し口が全開し、ティッシュが乾燥してしまう懸念がある。ローションティッシュの乾燥を防ぎ、携帯してもティッシュが無駄にならない方法。相馬さんは、取り出し口の切り込みを半分の長さにする、ことを考えた。
「間口を狭くすれば、乾燥やティッシュの保護も可能になる。ですが、切り込み口を狭くするだけでは次のティッシュが袋からはみ出してしまい、“携帯しづらい”という新たな懸念も表面化してきたのです」。
次々と出てくる難関をどのようにクリアしたのでしょうか?
「保湿ティッシュの特徴は湿り気があること。必要なときに必要な分だけ取り出せばいい。“連続してティッシュが出てくるような仕様”でなく、1組ずつ取り出すたたみ方に変更したのです」。
1枚だけ取り出せる仕様とは!目からウロコの発想ですね。
「はい。ティッシュを1組ずつ観音開きにして、中央にすき間が生まれるように折りたたみました。このすき間に指を入れると、スムーズに取り出すことができます。デザインもお腹の部分がパカっと開くようにしてもらいました(笑)」。
完成した「ネピア 鼻セレブITSUMO」の使い勝手はまさにストレスフリー。「当初は若い女性をターゲットにつくられた商品でしたが、風邪を引いたお子さん用にとママの所持率も高くなりました」(相馬さん)。
ティッシュ1箱1,500円!?この金額に驚かれた人も多いでしょうが、この最高級のプレミアム保湿ティッシュ「超鼻セレブ」をご存知の方はかなりの“鼻セレブ通”。ティッシュの常識をことごとく打ち破る施策に、「おもしろい!」「使ってみたい!」という声が続出したというから、さらに驚きますよね。
企画に携わったマーケティング本部 コンシューマーマーケティング部 部長代理の岡広憲さんは、「プレミアムな保湿ティッシュの需要は必ずあると信じていました」と当時を振り返ります。
「僕らが手掛けた『超鼻セレブ』のコンセプトは、今までにない“究極の保湿ティッシュ”、つまり“鼻セレブを超える鼻セレブ”をつくることでした。“もっとゴージャスに鼻を優しく包めるように”、“もっと優美な鼻が美しくいられるように”という想いを込めた商品です」。
(2007年超鼻セレブ第1弾)
Q1:ボックスのエンボス加工やティッシュに印刷するなど、今までにない“超・レア”仕様ですよね?
A1:はい。「超しっとり」「超やわらか」そして「超うっとり」な“鼻ざわり”を感じていただくために、前代未聞の“ティッシュの3枚重ね”にも挑みました。さらに、初回はティッシュの香りづけ、その次の企画ではティッシュへのプリントを施しました」。
Q2:社内の反響はいかがでしたか?
A2:自社のオンラインショップのみで販売することがほとんどなかったため、受注状況の予測を立てるのが難しかったですね。ですが、リリースを出すとたくさんの媒体に記事として取り上げていただき、限定数量を販売することができました。
(2007年超鼻セレブ第2弾black編)
Q3:具体的なプロモーションは?
A3:第1弾、第2弾はWeb限定での販売でした。第3弾はキャンペーンの当選者へのプレゼントとして使用されました。販売する際には必ずリリースを配信していました。ティッシュでもおもしろいことをやっている、とみんなが関心を寄せてくださったので、そのあとは自然と広まっていった感じです。
(2007年超鼻セレブ第2弾white編)
Q4:通常の鼻セレブに比べて原価が高いため、採算はとれたのでしょうか?
A4:「超鼻セレブ」は通常の生産方法と異なるため、さまざまな費用を費やしました。ですが、私たちが求めるのは鼻セレブブランドとしての価値を上げること。多くの媒体に紹介していただき、話題性喚起につながったと感じています。