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いわゆるシャネルらしい香りは、1984年に発表された「COCO」までかなと感じている。
語弊がないように伝えるのならば、ココ シャネルらしい香りはココまでで、その後のアリュール、ココマド、チャンスもとても素敵な香りには間違いないが、やはり個人的にはココ シャネルらしくはないと感じてしまう。
ようやく最近になって、山口路子著「ココ・シャネルの言葉」を読んだ。女の生き方革命を成し遂げただけあって、そのバイタリティと、潔癖さ、嫌悪の精神は凄まじい。
「醜さは許せるけれど、だらしなさは絶対に許せない」
「香水で仕上げをしない女に未来はない」
「秩序にはうんざりする。無秩序こそが、ラグジュアリーなのだ」
「かけがえのない人間であるためには、人と違っていなければならない」
「傲慢さは私の性格の鍵であり、成功の鍵でもある」
(山口路子著「ココ・シャネルの言葉」より)
ココは、ご存知、シャネルの創業者ガブリエル シャネルの愛称。
3代目専属調香師となったジャック ポルジュは、まずメンズのアンテウス(1981年)を手がけた後、ココの創作に取り掛かったと思われる。
彼は、実際にパリのカンボン通りにあるココ シャネルのアパルトマンを訪れ、足を踏み入れた時に得たインスピレーションをそのままに、相反する要素を内包する香りで表現したとのこと。
トップはスパイシー-シトラス。かなり攻撃的なコリアンダーと、フレッシュなマンダリンオレンジを軸に、ピーチ、オレンジフラワーやローズ ドゥ メイが薄っすらと香ることで、女性らしい華を添える。とはいえ、スパイシー感が強烈で、とても個性的な香り立ち。
ミドルはフローラル-スパイシー。スパイシーな香りを引き連れて、一気にフローラル感が広がる。まず、ローズとオレンジフラワーやジャスミンの華やかなフローラルな香りから、セクシーなイランイランの重厚な香り、合わせて辛めのクローブの存在感が増す。特にローズとクローブの組み合わせは、アーシーなローズのようで、存在感がある。さらにスパイシー感が抜けてくると、ミモザの軽やかなフローラルと、オポポナックスの甘酸っぱいバルサミックな香りが顔を出す。
ベースはバルサミック-アンバー。ローズやジャスミン、オポポナックスのツンとしたフローラルの残香に、ドライアンバーとシベットのアニマリックなコクが加わる。最後の最後にラブダナムやトンカビーンやバニラとサンダルウッドのオリエンタルらしい香りになる。
スパイシー、フローラル、アニマリー、オリエンタルと香りの変化が激しい。キャラクターがしっかりしており、強度もある。好き嫌いがはっきり分かれる香りだと思う。
女性らしい香りの中に、強いスパイシーの芯が効いた、攻めのフロリエンタルの香り。
シャネルらしい香り。
「シャネルにとって香水は「究極のアクセサリー」だからこそ、強い主張がなければならない」(前述)
逆に、出生名から取った新作ガブリエルの、嗜好性重視の変化の乏しい香りは、なんてシャネルらしくない香りだろうか。ガブリエルは、情熱にあふれ、自分の信念に従ってどこまでも自由に、なりたい自分になることを追い求めた香りとのこと。失礼を承知でいえば、全然真逆な香りじゃないかと感じてしまう。
シャネルらしい香りの復活が待ち遠しい。
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