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クチコミ
日本に手作り石鹸を広めたパイオニアの一人、前田京子先生ですが、本書では石鹸をいったん離れ、その後のフェイスケアについて解説されています。
…私は石鹸を作り始めて幾とせ…という話にかなりの枚数を割いてから、「石鹸作りたい人は前著をヨロ!」とのこと。
「たっぷりの水」「16のオイル」「4つの花」という、まあ前田先生らしい麗しい言葉で夢のように語られるシンプルスキンケア。
ようは、手作り化粧水と手作り美容オイルをつければ、それでいいのよ、ということかな。花、というのは花の精油を活用しようということです。
特筆すべきはやはり、16のオイルの特性の解説でしょう。
前田式は見る人が見ればいい加減らしいんですが、私のようなアフォからすると、「よく調べたなあ」って感じ。
自分の肌にはどんな成分が足りていて、どんな成分が不足しているのか。本書を参考にいろいろなオイルを買って試していけば、それが判るようになっています。
アロマテラピーを基本とした手作りコスメではあまり見かけないようなオイルも含まれています。
前田式の特徴は、「肌に合うならば、食用油も化粧用に使えばいい」というところ。アロマテラピーでは、専用に精製し、不純物を取り除いた油を使用するよう指導されますけどね。私は敏感肌の方は不純物に反応することが多いので、化粧油のほうがより安全だとは思うのですが、食用油のこってりとした油分をつけたときの補油感と、化粧油と比べて安価な点には惹かれるものがあります。
16のオイルすべてを試しても、物足りなく感じる方もいらっしゃると思います。オイルは重みが無いため、場合によっては肌の上に長く留まってくれないらしいのです。そういう場合はクリームのほうが、重量とテクスチャの関係で肌に留まってくれるそうです。
ところで…前田式からきたのかなあ、「市販のグリセリンは鉱物性なので、植物性を取り寄せろ」ってのは。
これ、実は間違いらしい。
現在、日本で流通しているグリセリンのうち、化粧品に配合されているものと、薬局で小売されているものは
99.9%が植物性
らしいですよ。
化粧品処方担当者の方や薬剤師さんがそう仰っています。
鉱物性は「より不純物の少ない、より安全なグリセリン」なのだそうで、医薬品や爆発物の製造に回されます。
また、「グリセリンを石油で安価に大量生産しているのではないか」と危惧なさってる方もいらっしゃるようですが、石油からわざわざプラントを作るほうがコストがかなり高くなります。たぶん、植物性合成洗剤あたりの副産物が市場に溢れてると思うんだけど。
手作りコスメ屋さんやアロマ屋さんで買ったグリセリンのほうが使用感がいいのは、濃度が高かったり、純分以外の成分が水でなくて遊離脂肪酸だったりするからであって、薬局のが鉱物性で良くないグリセリンだからではないのです。
「薬剤師の中にはグリセリンに鉱物性と植物性があることを知らない人がいる」という言い回しもどうかと思われます。このように言われると、「植物性なんていいものがあることを知らない」とか「グリセリンの原料について考えてみたことも無い」という意味に取れてしまいますが、
私の調べでは、「は?鉱物性?そんなの普通に売ってるの?うちのは全部植物性だよ。その本、動物性じゃなくて鉱物性って書いてあったの?」って感じみたいですよ。
て〜か、鉱物性を使っても大丈夫ですよ。医療の世界では、鉱物性のほうが安全とされてるそうです。
しかし本当に、一番危険性が高いと思われる動物性について言及されないのが不思議です。
なんか、前田先生を含めたこの業界の意図を感じちゃうかも。こう説明しておいて、「植物性グリセリン」と書いて売っていれば、儲かりますもんね。
ともあれ、なんか憎めないというか、前田先生の語り口が、優しくて好きなんですよね。
でも、もっと「シンプル」に纏めることもできるよなあ〜。
いつも研究書とエッセイの中間的な書き方だけれど、私はもっと研究書よりでもいいと思いますね。ちょっとエッセイ部分が多い。
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