ディオール / ディオレラ 口コミ

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doggyhonzawaさん
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5購入品

2014/10/19 01:45:08

遠く半島の方まで続く砂浜。ライトグレイにくすんだ空。藍色のシルエットに銀を散らした海。白く一直線に砕けていく波頭。砂浜の縁に沿って、まっすぐに敷かれた板張りのボードウォーク。髪を巻き上げる風。宙で重なり合うカモメたちの細い声。その下で、行儀よく空を向いて並んでいるパラソルの支柱。海沿いに建つ、クラシカルなホテルのたたずまい。

ディオレラの香りを身に付けるとき、そんなイメージが心に浮かぶ。それは、フランスの北部、ノルマンディー地方の避暑地ドーヴィルのビーチ。夏もあまり気温が上がらず、平均2週間はバカンスを楽しむというフランス人にとって、大切なリラグゼーションプレイスだそうだ。

ドーヴィルと言えば、「ダバダバダー」で有名な映画、「男と女」の舞台になった地として有名だ。「男と女」は、過去の重さを心に沈めている者どうしが、戸惑いながらも惹かれ合い、光の方へ向かっていく姿をスタイリッシュな映像で魅せる。50年以上前に制作された映像でありながら、今なお新鮮に心に映る。

ディオレラもまた然り。ジャン・クロード・エレナらも師と仰ぐ偉大な調香師、エドモン・ルドニツカが、1972年(一説に1970年)に作ったこの香りは、強い主張が感じられるクラシカルな趣が強いものの、今なお、心惹かれる人は多い。

トップ。酸味の効いたレモンとライムの苦み、それがグリーンノートと渾然一体となって出てくる感じ。シャネルのNo.5トワレの出だしにも似ている。ただ柑橘オンリーではなく、グリーンな香りとともに、次第にジャスミン様のすっきりしたフローラルも立ち上ってきて、出だしから主張は強い。

ミドル。シトラスが減衰してくると、フローラルとグリーンノートが中音域で甲高い声を出し始める。ジャスミンやハニーサックルのほんのり甘くグリーンな香りという感じがする。ただ若干、イランイランのオイルなんかで感じるような、重たいフローラルの底から出るローストした肉のような香りというか、少し違和感のある香りがじわりと出ている気も。それを感じると、何とはなしに落ち着かないような、そわそわした気分になる。そして次第にその男っぽい体臭のような、低いウッディ系の香りは強くなってくる。

ラスト。気が付くと、あれ?なんでこんな香りになったの?というような激変のラスト。要チェック。ベチバーやオークモスがクレジットされており、シャネルのクリスタルに構成は似ている。実際、付け比べもしたが、ラストの印象は近いかと。ただ、クリスタルが前半からオークモスの苦みや渋みがガンガン出てくるに対し、ディオレラはモッシーではなく、やはりグリーンノートとベチバーの重さといった風情。したがって、女性がディオレラをつけた場合、メインアコードは女性っぽいフローラルに感じられても、ラストは男性っぽい香りと受け取られても不思議ではないかも。このへん、ラストまでライトなまま終息しやすい昨今のフレグランスとは一番異なるポイントかもしれない。

ディオールと言えば、世界初のグリーン・シプレとも言われたミス・ディオールからフレグランスラインがスタートしている。そんな中、スズランをテーマにした女性用のディオリッシモ、メンズシトラスを切り開いたオー・ソバージュと、立て続けに名香を世に送り出してきたルドニツカ。彼がこのディオレラを作った背景には、もしかしたら「女と男の両方を行き来できる、自由な精神」というテーマがあったのかもしれない。←勝手な予想ね

そういう意味でも、女性的な華やかさ、高貴さを前段で主張し、それがやがて、男性的な強さ、孤高な精神、のように変化する面白さを味わえる人向きの、香水上級者よりの香りだと思う。

晩秋〜初冬など、木々の葉が色づきながら変化していく時期、風の向きや冷たさ、空の透明感が変わっていく頃に、自分では使う。TPOで考えるなら、やはり凛とした自分を主張したいとき、カッチリしたフォーマルな装い、仕立てのいいコートなどを着ているときに似つかわしいと思う。逆に、ラフな格好やカジュアルな服にこの香りをもってくると、なんだか派手で自堕落なイメージにとらえられるかもしれない。自分にとっても、香りに対するリスペクトはあっても、なかなか付けどきが難しいなあと感じている作品の1つだ。←男として未熟

「たちきれぬ過去の想いに濡れながら 愛を求める永遠のさすらい・・・その姿は男と女」

映画「男と女」のキャッチフレーズはこんな言葉だった。揺れ動くのは男女の心模様だけではない。名香もまた、そのはざ間を表現しようとしていたのかもしれない。

女と男のはざ間を行きかう香り、心に沈めた重いイカリを、波に洗い流すディオレラ。

  • ドーヴィル by doggyhonzawaさん
  • 男と女 by doggyhonzawaさん
  • ディオレラ by doggyhonzawaさん
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