エイト アンド ボブ / エイト アンド ボブ オリジナル オーデパルファム 口コミ

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doggyhonzawaさん
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4購入品

2017/10/7 14:10:00

一冊の分厚い本がある。だが、それは本であって本ではない。その表紙を開くと、中から1本の香水が出てくる。本のページの真ん中がくり抜かれ、そこにボトルが隠されているのだ。それは、かつてナチスによって貴族の邸宅が占拠されたとき、亡き主と共に作った大切な香りを没収されないよう、老執事が本の中に潜ませたもの。まるでアンネ・フランクが過ごした隠し部屋のように。

エイト&ボブ。2016年に日本でも販売されるようになったフレグランス・ブランド。「8とボブ」とは、一体何を意味するのか?そこには、1930年代に旅先で知り合ったフランス貴族とアメリカ青年との友情の物語が込められているという。

1937年、フランス社交界。貴族のアルバート・フーケは、執事のフィリップと共に自身のためだけに質の良いフレグランスを作っていた。彼はある日、バカンスで訪れたコートダジュールで、アメリカから来た青年と出会う。派手なコンバーチブルを乗り回すその青年の名は、ジョン・F・ケネディ。後に第35代アメリカ合衆国大統領となる男。

このとき、アルバートがつけていた香りに魅了されたケネディは、彼に懇願し、宿泊先のホテルにボトルを送ってもらった。さらに、アメリカに帰国後、手紙で次のように知らせてきたという。「新しく8本のボトルと、そして弟のボブにも!」と。アルバートがケネディの依頼を受けて、彼の友人のために送ったその「8本とボブ用」。それがこのブランド名の由来だ。その香りはケーリー・グラントをはじめとするアメリカの有名人にもてはやされたという。

ジョン・F・ケネディが愛した香り。一体それはどんな香りだろうか?

シンプルなスクゥエアボトルからスプレーすると、一瞬ツンと広がるヴァイオレットリーフの苦み、すぐに追いかけてくるのは、わずかな柑橘とクールなヴァニラ。冷たくてクリーミー。それでもあっさりしている。何かしら低音のフローラルとハーブの香りも感じられる。クレジットにはカルダモンとあるけれど、スパイシーさは感じない。ここまで2分。

やがてそれは落ち着いて、どこか白い陶器のようなひんやり感と硬さを思わせる香りとなる。これがミドル。初めてかいだときには、ディオールのファーレンハイト32に似ていると感じた。(←白い方ね)ただ実際につけ比べてみると、ファーレンハイト32はシダー系のウッディの香りが強く、エイト&ボブはそれよりも透明感を保っていて低音でしっとりしている。この冷たくてほんのり甘いヴァニラ様の香りが心地よく、気持ちを落ち着かせてくれる。

クレジットにはフローラル表記はなく、バイオレットリーフ、カルダモン、琥珀などがのっているが、実際にはわずかに甘いパウダリーフローラルの香料も入っているように思う。アイリスだろうか。そこにヴァニラのクリーミーなベールをそっとのせたような。さらに、アンブロキサンみたいな海っぽさを思わせる香料が使用されている感じも。香りの持続時間は長く、ミドルからずっと出ているヴァニラにシダーっぽい清涼感が混じりながら、大体6〜8時間で減衰していく。香りはミドルから大きな変化はないものの、ラストにしたがって、ウッディの温かい感じが少し増して減衰していく。

全体に、冷たくてやや甘いしっとりしたヴァニラといった印象。みずみずしくマイルドな香りだと思う。大人の男の冷静さや落ち着き、スマートな身のこなしを感じさせる。まさにJFKのイメージだろうか。季節で言えば、初夏などの暑くなり始めたシーズンに似合う温度感だと思う。春や秋の比較的陽ざしが強くあたたかい日に付けると、スッキリした清涼感を演出してくれるだろう。

ネックはサイズと値段か。この香りで100mlサイズのみで19000円前後。できれば50mlで半額も欲しいところ。持続時間も長いので使い切れるサイズがいい。

フランスの貴族であったアルバート・フーケは、ケネディとの親交を深めつつも、やがて自身は交通事故で早逝してしまう。だが、執事のフィリップがその跡を引き継ぎ、主人の創ったレシピと香りは、ナチスの占領状態にあっても、彼の機転によって略奪の難を逃れたのだという。

そして近年、フィリップが遺したレシピが彼の子孫により発見された。それは3年かけて復元され、エイト&ボブ・オリジナルとして再び日の目を見ることになった。消える香りが多い中、この香りは時をこえて再び命を宿した。

美しい香りには、それにふさわしい物語がある。秋の夜長、一冊の書物に心を酔わせて過ごすのは至福の時間だ。この香りはそんな時間に似合う。ページをめくるたび、冷たくまろやかなヴァニラの香りがそっと心に寄り添うだろう。それは若き日のJFKが惚れこんで、8人の友と弟のボブへ贈った香り。

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