フレデリック マル / ローズ & キュイール 口コミ

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新真昼さん
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4購入品

2020/3/25 18:41:16

エルメスの専属調香師の座をクリスティーヌ・ナジェルに譲り、完全に引退したと思われたジャン・クロード・エレナが2019年にフレデリック・マルで発表した(マルはエレナがエルメスを退くのを待っていたのか?)「ローズ&キュイール」は、名前に「薔薇」「革」とあるものの、本物のローズもレザーも入ってないトロンプルイユ(だまし絵)のようなフレグランス。エレナのFMでの既存の作品は「アンジェリークスーラプリュイ(2000)」「コロンビガラード(2001)」「ビガラードコンサントレ(2002)」「ローディヴェール(2003)」で、「ローズ&キュイール」は16年ぶりの五作品目にあたる。


付けるとまず、フルーティーな辛味のあるスパイシーノート(ティムットペッパーだそうだ)とゼラニウムのザラザラしたグリーンが香る。ゼラニウムの香りが一瞬薔薇の茎や葉を思わせるものの、鼻を近づけるとベースのビターなレザーアコードと混ざってフローラル要素は感じられない。鼻から放すと、また少しローズのような香りがしなくもない。不思議な出だしだ。

ゼラニウムのグリーンが減衰すると苦い苦いレザーの香りが強くなる。このレザーの香りはイソブチルキノリンが使われているようだ。ミドルにクレジットされているベチバーやシダーはレザーアコードと一体化してほぼわからず、付けているとトップからいきなりベースに移行したように感じられる。ゼラニウムのグリーン香が二時間ほど、ベースノートはかなり長く八時間は残る。全体的にレザーアコードが強いためメンズ寄りな香りだ。この香水は15の要素で出来ているらしく(15種類の香料という意味ではない)、ミニマリストと呼ばれたエレナらしいシンプルな構成の香りだと思う。


「ローズ&キュイール」には、薔薇も皮も一切使われていない。ローズもレザーもありはしないのに、遠目には存在するような気がし、近づけば無いことがわかる。トロンプルイユは目を騙すが、この香りは鼻を騙す。ゼラニウムとスパイス、ウッディとレザーアコードでエレナが描いた騙し絵。
この香りがジャン・クロード・エレナ完全復活の狼煙となるのだろうか。

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