アムアージュ(Amouage) / ゴールド プール オム 口コミ

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doggyhonzawaさん
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7購入品

2020/6/6 12:19:13

「金は必要ならいくらでも出す。ただし、作ってもらいたいのは本当に最高の香水だ。」そんな注文をされたら、あなたならどうするだろう?かつて石油王国オマーン王家の長老からそんな命を受けて、世界最高の香水作りに挑んだ一人の名調香師がいた。彼の名はギ・ロベール。

このオファーに対して、ギ・ロベールは世界中の高価な精油を集め、それらにオマーン名産のフランキンセンスをオーバードーズした超贅沢な香水を作ろうと考えた。そして生まれたのが、アムアージュゴールドウーマンとアムアージュゴールドマンの2つの香水。ゴールドウーマンのモスクを型どった重厚なボトルには特注の24金メッキが施され、当時「世界で最も高価な香水」と呼ばれ、話題となった。ときに1984年。ここに香水ブランド、アムアージュが誕生した。

ゴールドウーマンは、クラシカルなフランスの名香のイメージをベースにしつつ、オマーンの乳香を効かせるという手法で作られたフローラルアルデハイディックな香水。これに対し、ゴールドマンは男性用としながら、女性ユースで何も問題ない豪華な香水だ。この2つは性別で使用を分ける必要を感じない。ではどんな香りなのか?

ゴールドマンをスプレーする。最初に立ちのぼるのはパウダリックなヴェールに包まれたアルデハイドの香り。やや鼻の奥にツンとくる拡散系ワクシーなオープニング。このアルデハイド香は、シャネルカウンターに行ってN°5を手首にのせて一番最初にガツンと拡散してくる香りを拾ってみると分かりやすい。ややクラシカルなタイプ。

2分もせずに、アルデハイドの下からドライで爽やかな酸味が立ちのぼってくる。レモン様の高い酸味だが、果実ではない。わずかにスモーキーさを伴った樹脂系の香りだ。これがオマーン名産のシルバーフランキンセンスだろう。アルデハイドの拡散の後にスッと煙のように立ちのぼるかん高い酸味だ。さらにラブダナム系の清涼感のあるくぐもった甘さも感じられてオリエンタルな印象全開。

5分ほどすると香りが落ち着いてくる。さすがギ・ロベール。めまぐるしく変化して観客の心をガッチリつかむ舞台のプロローグのようなトップ。そのあとは、古典的な3段階変化の律にしたがって、深く広がりのある物語の本編に突入していく展開。

ミドルで最も印象的なのは、トップから続いている爽やかなバルサムミックスの清涼感に下から出てくるジャスミンのふくよかな香りだ。かなりインドールが効いているジャスミンで、わずかに冷たい樟脳のような風をはらんでいる。舞台にヒロイン登場といった雰囲気。スパイシーバルサム&ジャスミンが続くミドル。これは確かにメンズというより、ハンサムレディのための香りだ。そう思う。

さらに驚くべきは、このスパイシーバルサム&ジャスミンの脇からさらに多くの香料がふわりふわりとその姿をちらつかせることだ。舞台の重要なキーとなる脇役がたくさんいる。不意に感じるパチュリの土っぽさ、シダーの冷たいウッディなど。そして何よりも驚くのは、全体の香りを大きく包みこむパウダリックなヴェール、アイリス香がほの暗いヴァイオレット調に傾いて、とてもいい照明効果を与えていることだ。

主役のスパイシーバルサムがまろやかになっていくにつれ、インドールジャスミンのヒロインが登場。さらにシダーやパチュリ、モスといったウッディ系ベースがいい味を出して物語の脇をガッチリ固め、そしてパウダリーアイリスが常に変幻自在の照明で各香料の表情を際だたせている。どれもが突出することなく、それぞれの持ち味を出して一体となって重層的に香り続けるイメージ。刻々と変わり続けるミドルは物語そのもの。これは本当によくまとまったオペラの舞台のような香水だ。

ラストは穏やかなパチュリ&モスのスパイシー土っぽさ、軽やかなウッディミックスとジャスミン、ソーピーなムスクの残香でドライダウン。持続時間は6〜8時間程度。全ての香料がどれもいいところに収まり、それらの調和がすばらしい香り。

目指したのは世界一の香水。ゴールドマンには、ギ・ロベールがもつ当時の香料知識と調香技術の全てが惜しみなく注がれている。「生半可な物は許されない」というプレッシャーとの闘いが、この複雑で重厚で、けれど全体に1つにまとまった豪華絢爛な香りを生み出したのだろう。それは、何百人もの出演者と舞台を支える裏方たちが自分の持ち場で100%を出し切ったときに味わう一体感や高揚感のように、今なお、この香りを体験する者の心に光を与えている。

舞台のクライマックス。主役が最後の歌を歌いきる。演者たちがまばゆい光に包まれる。鳴りやまない喝采。そのとき、物語は完成する。

本当にすばらしい香水には、ドラマティックな金色の物語が紡がれている。

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