
アメリカの光は、シチリアなまりが抜けない貧乏な少年に当たることはなかった。少年は次第に仲間と手を組み、生きるために犯罪に手を染めていった。彼は、アメリカのビルの影を縫うように生きていった。
少年の名は、ヴィトー。シチリアのコルレオーネ村出身だというだけで、移民局から「ヴィトー・コルレオーネ」と命名され、自由の国の旗の下にすべりこんだ。
「ゴッドファーザーpart2」は、マフィアのボス、ヴィトー・コルレオーネがいかにしてアメリカの裏社会でのしあがっていったか、その過程が描かれている。それは、シチリアの影の歴史だ。

サンタ・マリア・ノヴェッラの「シチリア」もまた、美しいシトラスの光と、心安らぐハーブの陰影をもっているという点で、極めて対比的な香りだ。

これまでシトラスと言えば、コストパフォーマンスの点からも歴史的な側面からも、4711オリジナル・オーデ・コロンを軸にすえて、それと比較する形で香りの造形をとらえてきたが、個人的にシチリアの香りは4711を軽く凌駕している印象だ。
ただ、わりに強く主張するハーブの香りと、値段と、そして入手しづらさ、この点を考えると、「誰にでも」と強く推せる代物ではない。個人的には、オーデ・コロンはバシャバシャ使えるように、もっと求めやすい価格にすべきだと思っている。体温高めでしかも汗もかいたりしていると、香りの付け替えも頻繁になるからだ。
サンタ・マリア・ノヴェッラの香りは、どれも1万円を超える価格設定だが、アロマテラピー的に効果の高い香り、という点がポイントだ。世界最古の薬局であり、心と体の癒しを求めて長年研究を続けてきた実績と信用がある点も魅力だ。そういう意味で、自分で使うだけでなく、贈答用として贈っても喜ばれるだろう。シチリアは、選んだ人のセンスを感じさせる逸品にもなりうる香りだ。
映画「ゴッドファーザーpart2」では、アメリカでマフィアとしてのしあがったヴィトーが、シチリア島に戻るシーンがある。そこで彼は、ビジネス目的ではあったが、たまたま自分の父母を殺した地元の小物マフィアに再会し、見事復讐を果たす。彼はもう少年ではなかったのだ。
地中海のまばゆい空の下、血のような赤いワインと、豊かなオリーブの木々が風にざわめいている。あふれんばかりのレモンやオレンジの香り、ハーブの香りの中、男は、再びアメリカへと足を向ける。自分のファミリーが待つ、巨大な灰色の街へ。

その男。シチリアから来た男。
「香水ドラマストーリー」サンタ・マリア・ノヴェッラ シチリア
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