美味しいグルメや文化的なイベントなど、豊かな時季を味わえるようになった今日この頃。
今年も残すところあと3か月となりました、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて今月、数多くのファッション誌で特集が組まれ、当店の旅行ガイドで最も人気な国といえば…そう、イギリスです。
そして、秋のイギリスのトラッドといえば、なんといってもタータンチェックですね。
代表的なあのファッションブランドといえば…
些か前置きが長くなりました。
本日ご紹介いたしますのは、こちらの書籍です。
「VOGUE ON ヴィヴィアン ウエストウッド」(リンダ・ワトソン 著/ガイアブックス)

デイム・ヴィヴィアン・ウエストウッドというひとりのカントリーガールが、英国ファッション界の女王となるまで。
その軌跡と功績を、挑発的で華麗なコレクションシューティングと共に紹介しています。
服が大好きで、十代の頃から身にまとう服はすべて作っていたという彼女。
30歳のとき、パートナーと共にチェルシーに店を開き、自作の服の販売をはじめます。
伝説のショップ「ワールズ・エンド」です。
かのセックス・ピストルズもこの店で誕生したといっても過言ではありません。
その過激で反体制の思想を語るスタイルが、”パンク”の産みの親となり、ロンドン、ひいては世界を巻き込むひとつの時代の幕開けとなるのです。
読みすすめてゆくなかで私が最もエキサイトしたのは、
”創造的洗練”へと移行していくていく90年代の章です。
18世紀フランスの貴重な芸術品が多分野に渡り収蔵されている美術館〈ウォレス・コレクション〉にインスピレーションを受けた後、
それまでのあからさまなグラフィックやとげとげしさ、肌の露出を消し、
あくまでヴィヴィアンウエストウッドの世界が体現する”エレガント”を世に送り出すのです。
いかにも英国らしい素材やアイテムーーーツイード、ウール、ツインセット、ブレザー…伝統を愛しながらも、全く別のものを作りあげる、というその発想の柔軟性が発揮されています。
挑発的で反体制なスタイルで一時代を築き、世界中に多くのファンを獲得した彼女が、
そこに固執し甘んじることなく、次々と新しいアイデアを開花させてゆく歴史を追うことは、
私にとって、とても刺激的な体験となりました。
世界でトップの地位を築き年齢を重ねてもなお、ウエストウッドの一番の広告塔は、相変わらず彼女自身である、という事実。
先月、イングランド北部のシェールガス採掘計画に対する抗議パフォーマンスも話題となりました。
御年74歳の彼女は、ハイショルダーなジャケット姿で白い戦車に乗り、抗議の姿勢を毅然と表現したのです。
積極的に仕事をこなし、人生を楽しみ、周囲から常に刺激を受けて行動に移す女性。
若々しく、情熱的で、そして絶大の影響力をもつ彼女は、誰も追いつくことのできない偉大なデザイナーなのです。
彼女は語ります。
「女性には、重要人物のように装ってもらいたいの。そのパワーを失ってほしくないのよ。」と。
ファッションの饒舌さ、そしてその力を活かしていかに人生を楽しむか。
いかにアクティブに、世界に向け自分を開いてゆくか。
まるでウエストウッドの洋服のように、自由な感性をもった自分になれそうな予感に、胸がわくわくしています。
秋のお洒落を、そしてみなさまの女性としての人生を、楽しむきっかけとなれば、幸いです。
この本からエネルギーがみなぎるのを、皆様にも感じて頂けると思います。
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