新製品情報をキャッチするために海外のコスメブログを見ているうち、さまざまなジャンルのインディーズブランドが気になるようになってきました。@コスメでも愛用者の多いMMUブランドのMeowや、海外のネイルブログでよくレビューされているCult Nailもインディーズですよね。
もとはといえば、昨年ホリデイに日本でも売られたルラボの「世界の都市限定香水」を買おうと思っていたのですが、2012年は都市限定の発売がないことが判明。
ではそのかわりにもっと小さなビジネスをしているインディーズ香水で何か冒険をしよう、ということで選んだのがsmell bentでした。
■smell bentってどんなブランド?
smell bentは最近注目を集めている北米のインディーズ香水ブランド。
ラインナップはパフュームオイルとオードトワレで、底抜けに明るく陽気な手書きイラストのビジュアルと、ビジュアルやネーミングに負けない個性豊かな香りが特徴です。
インディーズブランドの中には、素人がちょっと本で学んで誰でも手に入る精油を混ぜただけ、という雰囲気のものもあるのですが、smell bentはそれらとは一線を画す本気度を感じるブランドです。
マジメに香水の専門家としての勉強をし、市場やメガブランド品を分析し、マジメに良質な香料を仕入れて作った結果、「ふざけたパッケージだけど、中身はとても上等な匂い」という製品ができているのです。
(ときどきひっくり返るような変わった香りもあるようですが……)
その製品作りが評価され、メディアに取り上げられたり、さまざまな賞をもらったりして、今は限りなくメジャーに近そうなインディーズというポジションに。

■開けてびっくり、「本気の香料」のパワフルさ
笑っちゃうような面白い香りでもいいよ、ホームフレグランスオイルぐらいの品質でもいいよ、というつもりで頼んだのですが、実際届いてみるとパッケージやネーミングのポップさからは想像できないぐらいに肌馴染みがよくウェアラブルで、気に入った香りはつい何度もかぎたくなるいい香り。
香りの構成センスも面白いですが、特筆すべきは香料のクオリティ。花や樹木の香り方はけっこうリアルで、考える前にぱっと記憶や感情を掘り起こされるよう。
今回購入した中では、Franken Smellie 920bのローズ、Floralの「白い花連合軍」、Ice Station Zebraのもみの木の香りがとてもフレッシュで、香水に調合されてもディテールのつぶれない繊細でパワフルな特徴を持っていたと思います。
パフューマーのBrentさん(インタビュームービーで見ると、なんともオシャレで表情のチャーミングなお兄さんです)はもともとアートの一環としてパフュームオイルを作りはじめたそうですが、「ああ、たしかに香水にも絵や音楽みたいな力があるかも」と共感できる香りになっています。
本物の香りを使えば香水は感情や記憶に訴える力があるのだ、というメッセージを感じられる製品です。
中には「この香料、こんなにたくさん入れられるだけの量が市場にあるわけないよね」というものもあるので、うまく代替香料で補った構成で再現している部分はあるのでしょうが、たとえば天然のアンバーグリスを加えるぐらいの気合は入っています。
結局、パフューマー本人が市場を分析し、パッケージイラストを描き、カスタマーサービスもやり(!)、シンプルなガラス容器を採用し、これらのコストを圧縮した分が相当中身の香料に回っているので「フルボトル45ドルでけっこう本気の香り」が実現できているのだと思います。(ボトルの外側ではなく中身にお金をかけたい、とあちこちで語っています)
スモール・ビジネスならではの成功例というか、才能のある人が良心的にがんばった結果がダイレクトに製品に反映されている実感があります。
今回、フルボトル1本、サンプル5本を購入し、オマケを1本いただいたので、個別にクチコミをアップしていきます。(現在レビュー残り2本、シャネルNo.5をパラフレーズしたとおぼしき1本のミドルパートがムムムな仕上がりでちょっと書き方に困惑中!)
■どんな人におすすめ?
バリエーションは豊富で、古典的名作香水をパラフレーズした高級感ある香りもあれば、ディメーターのようにカジュアルな雰囲気を出した香りもあり、モード系アパレルブランドの香水にも目配りした形跡もあって、守備範囲の広さに驚かされます。
smell bentにはほんとうにアーティスティックに振り切った個性の香りもあるので、「感情に訴える」方向性が必ずしも可読性の高いもの(※)、使いやすいものとは限らない点は要注意。パワフルな香料を使うこと、ブランドのキャラクターからしても、個性的な香りに手加減がないことは容易に推測できます。故意にチープに作ってあったりするものもあるので、こういうコンセプトの幅広さを許容できる方向けです。
(※香りの可読性…わたしが勝手に使ってしまっている言葉ですが、いわゆる「香りマニア」ではない人、年齢や性別、文化グループの違う人にも「ああ、これはお菓子の香りだね」とか「これは花の匂いかな?」とおよその特徴やイメージが伝わるかどうかということです。可読性が高すぎてもわかりやすすぎてチープになりますが、可読性が低すぎると「嗅ぎなれないけどいったいなんの匂い?」となって「マニア以外お断り」の奇妙な印象を与えてしまうので難しいと思います。smell bentには、可読性が低い-ちょうどいい-高いと、全部そろっているというのが現時点での印象です)
ムスクの多彩さ柔らかさ、ウッド系の絶妙さでは、ルラボが好きな方にもおすすめです。ルラボよりもうちょっと実際の香りのバリエーションが広いので、「ルラボはたしかに好きだけど、もう欲しいものが無くなっちゃった」という方が楽しく目先を変えられそう。
ラストはどうしても甘めのムスク系でまとめてくることが多そうなので(それでも比較すると香りによってけっこう個性を変えていますが)、柔軟剤っぽいと感じる方はいるかも。
Brentさんの使うムスクはムエットの上ではやたらとソーピーに感じますが、肌に乗せるとソフトでなじみがいいものが多いですよ。
気に入った構成の香りが見つかれば、心地よくつきあえる品質だと思います。
守備範囲が広い分当たりハズレが大きいとは思うので、サンプルからの購入が安全です。

■購入にまつわるあれこれ
廃番品の在庫確認とその購入手順をメールで問い合わせ→即日Brentさんから在庫ありの返信
Paypal支払いで注文→USPS追跡なし、10日間で到着(名前入りの手書きメッセージカードつき、新製品のサンプルサイズが1本オマケ。梱包は問題なく破損・香りの漏れなし)
対応は親切ですが、一度注文を通してしまうと発送連絡などは無いのでご注意を。
公式サイトにはあまり詳細なことが書かれていないので、商品情報や購入手順の疑問点はばんばんメールしてしまっていいと思います。
廃番商品も在庫があれば買えます。
全ての香りにお試し用のミニサイズを定番商品として持っていて、安価なうえに世界中どこにでもぽんぽん送ってくれるのが嬉しいです。(外資ブランドの国内代理店や国内ブランドももっとサンプルサイズを積極的に売ればフルボトルも売れると思うのですが)

価格:(国際送料追跡なしで5.50 USD~)
パフュームオイルサンプル 3.75 USD
5mlロールオンパフュームオイル 15.00 USD
8mlパフュームオイル 20.00 USD
4mlオードトワレサンプル 6.50 USD
50mlオードトワレフルボトル 45.00 USD
※一部の香りにはパフュームオイルが存在しません
※選べるまとめ買い割引
パフュームオイルサンプル5本 15.00 USD
オードトワレサンプル5本 25.00 USD
5mlロールオンパフュームオイル2本 27.00 USD
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