
『天然成分だけで化粧品をつくることはできないのか? -間違いだらけの「化粧品批判」に反論!』/中央書院 2600円です。高い。
著者の角谷貴斗氏は化粧品開発者(技術者)の方で、かなり有名な方らしい(存じ上げませんでした…失礼しました)。今は自身のコスメブランドを持っていらっしゃるようです。詳しいことはわからないけど。
この本は、角谷氏のブログ記事をそのまま本にしたもので、はっきり言ってちょっと読みにくい。「EDTA-2Na」とか「ココイルメチルタウリンNa」とかのカタカナ化学成分名がたくさん出てくるし、バラバラとしたコラムなので(ブログ記事がベースなので)、話題があちこちに飛んでいます。スラスラ楽しんで読む本じゃないです。
でも、成分や化粧品について目利きになるのは確か。
・高濃度有効成分ほど効果は高いのか→濃度だけで判断できず、デリバリーシステムや購入者の使い方次第で変わるそう
・全成分表示の上手な活用法→特に「石けんで落とせる日焼け止め」の見分け方は参考になります!
・植物エキスの効果は本当か?→メーカーの検証方法はスゴい。どの植物エキスが何に効くのか、すごーく詳細に解説しています
・合成界面活性剤の解説→ないにこしたことはないけど、安全性を高めるためにどういう界面活性剤があるか、その種類と安全性についていろいろ
・防腐剤について→全成分表示でわかる、防腐剤の配合率を抑えるメーカー努力の処方。「複数のパラベンを組み合わせる」なんて基本じゃなく、全体のバランスを考え、ちょっぴりの防腐剤で効果を上げる工夫をしているんだ~と理解できました。成分ひとつひとつの毒性判断をするのって、実は無意味かも……
・注目の最新成分→もっと詳細なリサーチが必要なもの、お勧め最新成分などいろいろ
ただ、注意しないといけないのは、2007年に出版された本であること。なので最新成分については、ちょっと情報が古くなっている(最新ではなくなっている)ところがあります。
ま、「自然派コスメもケミカルコスメも両方楽しみたい」という方にはお勧めの本です。自然派の方は、合成界面活性剤や防腐剤などの化学成分を必要以上に避けなくてもいいとわかりますし(要は選び方)、そもそも「完全に自然成分だけでできたコスメはない」ということも、よーくわかります。
一方、自然派コスメの効果について疑問がある方は、植物エキスのスゴさについて再認識できるかも。2600円と、ちょっとお値段張るので、図書館とかにあったら読んでみるのがお勧めでしょうかね。
購入したい方は、街の本屋さんにはまず置いていないと思うので(出版年も古いし)、ネットがお勧め。