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「透明なルール」が不自由にしている

「透明なルール」が不自由にしている



人を美しく見せるのは、顔の作りそのものよりも表情なのだと思う
もって生まれた顔立ちが同じでも、表情でまるで別人のようになる
老健に入所しているお年寄りの中には
シワシワだけどきれいなおばあちゃんがいる
この女性は穏やかで優しい言葉と表情をしているのだ
その一方で、いい顔立ちなのに険しい表情で文句ばかりいうおばあちゃんは
おブスちゃんに見えてしまう

人間、年をとると穏やかに丸くなるというのは
私たちの思い込みに過ぎないと思う
入浴介護の女性にセクハラをするおじいちゃんや
食事が気にいらないと、延々と文句を言い続けるおばあちゃんもいる

私がこの施設に就職したばかりの頃に比べると
このように、町中でも老健でも困った老人を見かける機会が多くなった
どうして困った老人が増えたんだろう?
世の中の進歩についていけなくなったり
情報社会を受け入れられなかったり、そんな疎外感を感じてイラついているのかな?

そんな思いを抱いている時に読んだのが、藤原智美さんの『暴走老人』
本屋でタイトルを見て、思わず手に取ってしまった
過激なタイトルの付け方はウマイなあと感心する、さすが芥川賞作家!

本を読み始める前は、いったいどんな事例があるのかと
変な期待感が大きかったんだけど、暴走老人の話は冒頭だけで
あとは著者の社会文化論が展開されている
社会のルールに適応できない老人たちの社会背景にまで切り込んでいるけど
私が想像していたのとは、ちょっと内容が違っていた
もっと沢山の暴走老人のケースが読みたかったのに、それが残念

この本の「透明なルール」という言葉がとても印象に残った
日常生活を送る上での「暗黙のご了解」という秩序に順応できなかったり
そういうルールを理解できずにまごついている老人が多い

エスカレータでは左に立ち右側は歩く人用に開ける
エレベータに乗ったらボタンに一番近い所にいる人がボタンを操作する義務を負う
スーパーのレジでは小銭を用意して待つ
スタバに入ったら列に並んでいる間に自分の注文するものを決めておく

この「透明なルール」が老人たちを不自由にし、ストレスを与えているのだから
レジでマゴマゴしてるお年寄りがいても
『チッ!』なんて舌打ちしちゃいけませんよ
だって、自分達の未来の姿なんだもん





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コメント(1件)

  • ◆blue-moonさん◆世の中のルールを守るのは大切なことだけど、それを弱者が守れなくても、おおらかに見てあげたり、待ってあげられる余裕があると、みんなが暮らしやすくなりますよね。暴走老人を読んで「透明なルール」という言葉に出会って、なるほどなあと思うことがいっぱいありました

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    2011/10/13 23:28

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