美白が大好きな日本女子にとって、やっぱり気になるのは“お手入れの成果”。資生堂のユニークな研究から判明した、驚きの事実とは?
(資生堂 化粧情報開発センター・臼杵裕代さん)
ひと昔前は“ガングロメイク”、最近だと“血色チーク”など、肌色のトレンドは時代とともに変化していきます。
「その一方で、“素肌そのものの色”はどう変わったかというと、ほとんど肌色変遷データが存在しないのが実情です。なぜなら、肌の計測機器が進化していて、古い機器と新しい機器のデータを同じ土俵で比較できないためです」(資生堂 化粧情報開発センター・臼杵裕代さん)
な、なるほど…!
そこで資生堂は、新旧の機器で診断した肌データを、均一に比較する研究に挑みます。
「指標のひとつとして注目したのは、メラニン色素とヘモグロビンです。表皮に存在するメラニン色素は、日本人本来の黄みを帯びた肌色に関与し、真皮の毛細血管に存在するヘモグロビンは、肌の赤みに関与しています」(臼杵さん)
これらふたつに注目し、合計3,638名の女性の約25年に及ぶ肌データを検証したところ…?判明したのは驚くべき結果でした。
「まずメラニン色素の量は、2001年から2015年にかけて優位に低下していることが分かりました」と、臼杵さん。メラニンの量が減って、黄ぐすんだ印象の肌から、日本人本来の明るいオークルトーンに変化したということですね。
「ヘモグロビンの量は1991年から2001年にかけて優位に低下し、その後2015年にかけて少しずつ上昇しています」(臼杵さん)
2001年まで肌の赤濃さが減少し、その後また赤みが上昇しているのは、メラニン色素が減ることで、“肌本来の健康的な赤み”が見えてきたのではと推測されます。
さらに、肌色を決定づける“明度(明るさ)”“彩度(鮮やかさ)”“色相(色合い)”の平均値を加え総合的に検証すると、“日本人の肌トーンは25年の間に透明感を増し、ほんのり赤みを帯びた健康的な色味”にシフトしていることが分かりました。この変化を平均顔でシミュレートしたのが下の写真です。
25年の間に、確かに日本女性の肌は明るさを増しているのが見てとれます…!
「90年代以降“美白ブーム”が起こり、美白ケアを取り入れる女性が増えたこと、また紫外線ダメージが広く知られ、UVケアが一般化したことが関係しているように思われます」(臼杵さん)
美白好きな日本女性にとって、お手入れの成果がこんな形で証明されたのは、嬉しいですよね。ちなみにその美白ケア、世界においてはどうかというと…?
「世界規模で肌悩みの調査をすると、日本及びアジアにおいては“シミ・ソバカス”が必ず上位にあがります。一方、欧米を含む他国では、シワなど目周りのお悩みをあげる女性が多いですね」(池田さん)
肌色に関していうと、欧米では赤みや色ムラに悩む女性が多く、“アンイーブン(不均一)”という表現をされるそう。対して、日本女性が気にするのは“スポットのシミ”。HAKUがシミひとすじに研究を重ねてきたのも、このお悩みを解消したいという願いからです。
【大木 敏行(おおき としゆき)】
資生堂 企業文化部マネージャー。長らく医薬品部門に従事後、静岡県掛川市にある資生堂企業資料館・アートハウスに勤務。資生堂の企業文化の伝承・発信のほか、アート活動支援に尽力している。芸術祭「かけがわ茶エンナーレ」の実行委員長としても活躍。
【唐川 舞奈(からかわ まいな)】
資生堂ジャパン コミュニケーション統括部 PR担当。資生堂のブランドや商品に関する情報を、女性誌やWEB媒体に広く発信。スキンケアからメイクアップまで、資生堂が有する数多くの製品やその背景にあるエピソードを熟知している。
【柴田 貴子(しばた たかこ)】
資生堂 アドバンストリサーチセンター 皮膚形態研究グループ所属。入社以来14年にわたり、美白薬剤の開発やシミ形成メカニズムの研究を行う皮膚科学のスペシャリスト。HAKUの美白テクノロジーや最先端の研究法に詳しい。
【池田 恵子(いけだ けいこ)】
資生堂 化粧情報開発センター コスメティクス ブランド情報開発グループ。皮膚科学の研究に加え、消費者の美容行動などを幅広くリサーチ。美白コスメの魅力を伝えるために尽力する、HAKUブランドの研究コーディネーター。
【臼杵 裕代(うすき ひろよ)】
資生堂 化粧情報開発センター 商品解析グループ。市場のトレンドや消費者意識の調査に加え、色彩研究を通してメーキャップ製品の美容情報開発に携わっている。幅広い視点から、日本女性の美について分析するスペシャリスト。
撮影/斎藤大地
取材・文/宇野ナミコ
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