- クチコミ 4件
- 注目人数 人
- 購入者のクチコミで絞り込む
クチコミ
変化の大きい時期には、自分を見つめ直せる香水が1本あるといい。そんなときおすすめしたいのが、エラ・ケイのメモワール・ド・ダイセンインだ。70ml税込28600円。
卒業、入学、そして進級や就職。そのたびの出会いと別れ。とかく春は環境の変化が大きい季節だ。そしてそれに伴って心が揺れやすくなる時期でもある。だからこそ、心をメンテナンスしてくれる香りが必要だ。
メモワール・ド・ダイセンイン。「大仙院の記憶」と題したこの香水は、ジボダン社の女性調香師、ソニア・コンスタンが2018年にパリで興したエラ・ケイ・パルファムから2019年にリリースされた。
ダイセンインとは、京都にある臨済宗、大徳寺内にある寺院の名前。臨済宗は禅宗なので、座禅によって自然や自分と向き合い、悟りを得んとするタイプのお寺だ。名物は、なんといっても、室町時代を代表する枯山水庭園として名高い「大仙院書院庭園」。こちらは方丈(本堂)の北東から東にかけて築かれた石庭であり、そそり立つ岩の間から流れ落ちる滝が、次第に河となって大海に流れ込む様を表現し、滝、橋、舟などをすべて石で表している。狭い面積に広大な景観を具象表現したのも見事で、座禅体験や抹茶体験と合わせて、特に外国の方に人気を博している。
この寺院を訪れたソニアは、この枯山水の石庭から得られたインスピレーションを基に、ダイセンインをつくりあげた。ブランドが出している香りイメージは次のとおり。
「枯山水の美しい庭園。静けさと深い瞑想の場を満たす、花、木、植物、岩、優しい光。」
【砂利のミネラル感】アンブロクサン、ナツメグ、ベンゾイン
【木】メイプルウッド、ケファリス
【花、植物】グリーンノート、ホワイトローズ、日本の芍薬、日本の金柑
心が不安になりやすい時期に、この香水をすすめる理由は主に次の2点だ。
〇上記香料が、トップ〜ミドル〜ラストと変化するのでなく、シンクロしながらそれぞれの表情をかいま見せる柔らかな香り立ちであること。したがって変化が少ない展開をするので、心が落ち着きやすい。
〇キーとなるノートは、シトラス、フローラル、ウッディ、ウォータリーの4つ。これらは、寺界隈の四季の花や果実、石庭を彩る樹木、そして白砂や小石を用いて表現した滝から海に至るまでの水の流れを「香り化」していて、まるで大仙院の石庭そのものといった幽玄さと穏やかさに満ちていること。
実際に付けてみると。
付けた瞬間は、やや金属的なタッチの硬さと苦みがあるシトラスムーブがある。朝の太陽のようなキンカンの強さに、ティー風味のあるベルガモットがミックスされ、ホワイトティー香水にも感じられるトップ。石庭の朝、晴れやかな白砂が目にまばゆいイメージ。
次第にウォータリーなベースノートが下からせりあがってくる。深山幽谷、巨岩の間から流れ出る滝が思い浮かぶ。同時に、酸味とシャープさの効いた白薔薇の香り、ピンクのふんわりした甘さを伴った芍薬の香りが広がってくる。大仙院の庭に植えられた花々が、水の流れとともに香をたなびかせるような印象。
つけて4〜5時間までフローラル&ウォータリーが続き、最後は乾いたウッディアンバーの香りで終息する。大海原。白砂の浜と緑の松林がどこまでも続く。そんな壮大なイメージ。心は研ぎ澄まされ、こうした流れの変化にこそ、命は巡り巡っているのだということを実感させられるラスト。
考えてみれば
人は日々、流れていくもの。生々流転。日々同じルーティンの繰り返しと思っていても、万物は少しずつ千変万化している。そのことに気付いた時、心はスッと軽くなる。そうだ。誰もが毎日、変化し続けているのだ。
人はみな、大河を泳ぐ一匹の魚のようなもの。
ゴーゴーと滝の流れ落ちる音がする。雨のような水蒸気が身体を包み込む。深山の新緑が、日の光をいっぱいに浴びようと枝を伸ばす。花が咲いている。鳥がさえずっている。巨岩を削りながら、水しぶきをあげて水が下流へと流れてゆく。やがて広大な海へと注ぐ。
それが自分の進んだ道になる。
変化の大きい時期は心が不安に陥りやすい。そんなときは、家族や旧知の友人、大好きな物にふれたり、心落ち着く場所を訪れたり、ちょっとした自然の中に身を置いてみる。すると、不変と思われた物も少しずつ変化していることが感じられるはずだ。そうすれば、不安は少しだけ安心に変わってゆく。その心の水の流れを少しずつ広げていけばいい。
大仙院の石庭はそれを静かに物語る。
枯山水の記憶をトレースする、花々と水と木の香り。メモワール・ド・ダイセンイン。
- 使用した商品
- 現品
- 購入品
この商品を高評価している人のオススメ商品をCheck!
戻る
次へ
ELLA Kについて
メーカー関係者の皆様へ
より多くの方に商品やブランドの魅力を伝えるために、情報掲載を希望されるメーカー様はぜひこちらをご覧ください。詳細はこちら