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何てカッコいい女性の香り!
トップで目立つのは目が覚めるように鮮やかで高貴なブラジリアンローズウッド。乱伐されて貴重品となってしまい、欲しくてもなかなか手に入らない香料だ。花でありながら木、木でありながら花という考えれば考えるほど訳がわからなくなる神秘的な香り。
暫く嗅いでいるとベルガモット、マンダリンオレンジ、ピオニーがローズウッドを陰で支えているのがよく分かる。光が当たると控えめにキラキラする、洗練されたデザイナーブランドのドレスの生地のラメみたい。それにアルデハイドが加わって更に華やかなイメージになる。
私の肌の上ではミドルで百合がかなり強めに出る。それがウッディさと相まって研ぎ澄まされた感性の女性を連想させる。本来はディオール一族の避暑地の情景を元に作られている筈なのに、何故か大都会を闊歩する時につけたい。殺伐とした都会のグレーの風景に突然パッと薄ピンクの花が咲いているような気がして。
そして不思議なくらいの透明感。外国製のウィンドウチャイムで金属のパイプで作られたものがあるが、その高く澄み切った音色を香りに閉じ込めたような。かなりキンキンした高音なのだが不思議と安らぎを感じる。擬人化すると自分をしっかり持った美女といったところか。
これのイメージにピッタリの女性を知っている。確かデューンを愛用していたと思う。その女性、同僚のMはモデル並みのルックスで、タクシーに乗ったところあまりの美しさに誘拐されそうになったという逸話を持つ。陶器のようなきめ細かい白い肌、何もつけなくても赤い唇、風になびく長いブルネットのストレートの髪。道を歩いていて振り向かない男がいないほどの美しさ。彼女の周りだけ凛とした煌びやかな空気が漂う。それはデューンの香りのように。
ある時Mは当時付き合っていた彼氏にこっ酷く振られて感傷旅行に出た。その帰りに乗ったバスの隣の席の男性と意気投合し楽しい時間を過ごした。彼は超絶イケメン、長身で俳優をしている。まだ売れていないがそれはそれでそこそこそれで収入があるらしい。実際、彼女の知っているドラマにもチョイ役で出演していたようだ。結構いいムードになってその男性が彼女の肩に手を回してきた。その途端、
たやすく触るんじゃねえ!
バシーン!
彼女は彼にビンタを喰らわした。
凍る彼と周りの乗客。
バスの乗り換えの時間だ。Mは今度はあの馴れ馴れしい男から離れたところに座った。何事もなく無事時間が過ぎた。
バスを降りると地下鉄に乗り換える。後をつけられたらやだなと一瞬頭をよぎる。少し離れたところを歩いているソイツより早くスーツケースを掴んで足早に地下鉄に乗り込んだ。よかった、奴は乗ってこない。
後にMは肩を抱いてきたキモい超絶イケメンが自分の友人の友人であることを知った。
何がどうなったのかさっぱりわからないが、それから暫くしてMは彼と付き合いだした。その彼との出会いのエピソードに、みんな口々に「思いっきり引っ叩いて欲しかった場所を直撃してやったから惚れたんだよ、アイツ絶対マゾ」とからかっていた。
Mとは休憩時間が同じだったので彼との間に起こったことであれこれ相談に乗ってやった。Mは気が強そうだけど意外にも繊細で気を許した人には色々な表情を見せてくれた。デューンは芯が通っているけれど柔らかな花、フルーツ、樹木、樹脂の香りが突然浮き上がってきてドキッとする。そんな気まぐれなところもMに似てる。
Mはついに彼と結婚して遠いところに引っ越した。それ以来私はMとコンタクトはほとんど取らなくなり、Mと彼とのことも忘れかけていた。
クリスマスの少し前に一枚のカードが職場に送られてきた。グレイヘアの優しそうな母親がとろけそうなほど幸せな笑顔で、2人の男の子供と幸せ太りで顔の輪郭が丸くなった旦那さんと写っている。
え、マジ?これMとビンタ喰らわされた彼氏じゃん。
まるでデューンのラストノートの大自然に抱きしめられているような甘味な世界がそこにあった。全ての大切なものが彼女の周りに初めからあったかのような優しい安心感と一緒に。
トップノート: ブラジリアンローズウッド、アルデハイド、マンダリンオレンジ、ベルガモット、ピオニー
ミドルノート: リリー、イランイラン、ウォールフラワー、ジャスミン、ローズ
ラストノート: サンダルウッド、 アンバー、ベンゾイン、オークモス、バニラ、パチュリ、ムスク
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