小町紅 / 季ゐろ 口コミ

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6

2011/2/20 14:09:43

※つづきです

紅は他にも
魔よけとして用いられたり、温めるとして
着物に興味のある方はご存知の通り、
胴裏に使われたりしました。

戦後は白い表地が流行ったこともあり、裏地が透ける。
紅色の胴裏は「古い」とばかりに
白の胴裏に席巻されてしまいましたが、
わたしは紅絹が好きで、いまだに古い紅絹を使って仕立てます。

もちろん、本来そうであったであろう紅花の
紅絹裏ではありません。形骸化した戦前の新しい廉価な染料でしょう。
でも紅に惹かれる気持ちは、本来のものと変わりません。

うちにいくつか伊勢半の紅があったので
写真をアプします。
ひとつは祖母の遺品。他は10代のころ買ったものと、比較的最近買ったもの。
微妙にどれも違うんですよね。


ちなみに、「京紅」と呼ばれてデパートや民芸品屋さんにある貝合わせのタイプは
片方赤で、片方黒いのですが、この黒のほうに紅花がほんの少し使われているっぽい?
かすかに玉虫色です。でもおそらく成分は食紅のようです。
あれ、『今も舞妓はんが使うてはるお紅です』がウリ文句なので
真赤に出ると思ってがっかりする方が多いようです。

『お座敷用に使ってる』のではなく『ふだんにたまに使ってる』のかもしれませんけど
表記がまぎらわしいですね。
口コミ前篇(笑)で書いた通り、
現在は全員ふつうのケミだそうです。
資生堂の「棒紅」とかかな。カネボウとかいろいろ舞台用の
日本古来風の化粧品出しています。

食紅の京紅も、
ほんとうの紅花の京紅も、オイルの上にのった質感とは根本的にちがう
しみこむような色づきです。
油彩絵の具と水彩絵の具の違いというと想像しやすいかもしれません。


本紅ですが、保管は日光をさけないと退色激しいようです。
江戸期の版画で、紅をつかったものがあるそうですが、
退色して黒くなっていました。びっくり。
資料が残っていて、再現したら紅赤だった!と分ったそうです。

わたし同様、
紅や、昔の化粧法に興味のある方は
ポーラ文化研究所からいっぱい資料文献が出ていますので
お勧めします。

伊勢半の紅ミュージアムでは、貴重な板紅を見ることが出来ますが、
残念ながら図版が充実していません。
現代作家さん展の図録の一部に紅の解説がありますが、
表紙いれて10ページ(←いま数えた)に
2000円近い金額は微妙ですよね。買ったけど…。

図書資料も充実していません。弓岡さんや池田重子さんなどの
アンティーク着物関係など、普通に本屋にあるのが数冊程度のつつましさ。

そちらで紹介していただいた
吉岡幸雄氏の「日本の色辞典」
由来や歴史のほか、原材料の写真が豊富。

銀座の資生堂ギャラリーのほうは充実した本棚があり、戦前の
貴重な紙媒体を直接手に取れて感激した記憶があります。

ほかには、京都書院から、当時の衣装や化粧を再現したカラーが出ていました。
学生時代暗記するくらいガン見したのに、すみません、書名がわかりません。

あとは、これが一番面白いのですが、
国会図書館で、名もない文献をあさる。
当時の婦人雑誌の記事や広告は、
当時の息遣いを生々しく伝えてくれます。発見の山。宝箱です。
紙媒体ではなくスライドの文献なので読みづらいのですが、明治の「化粧法」指南の
本(スライド資料)も読めますのでお勧めです。

評価は、現代社会で普段使いにはあまり実用的ではない、
しかし、工芸品としてのすがたの美しさと、
素晴しい品質と文化として、次世代にも残してほしい思いをこめて、
☆6とさせていただきます。

2つに分けての長文失礼いたしました。

  • 2011-02-20 13:58:04 by :*:ステラ.:*:さん
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