ジャンパトー / エンジョイ オードパルファム 口コミ

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doggyhonzawaさん
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5購入品

2018/4/8 01:09:51

ジャン・パトゥのエンジョイは、「香水の女王」と呼ばれたJOY(ジョイ)の現代的なアプロ―チとして、2003年にリリースされたオーデ・パルファムだ。香調はフローラル・アンバリー、あるいはシプレ・フローラル系とされる。軽やかで颯爽とした現代の女性に対して、ジャン・パトゥが新しいメッセージをこめたフレグランス。なはずだった。

そう、過去形。つまりすでに廃盤となっている作品だ。「あのジョイがモダンに生まれ変わった」と、発売当時かなり話題になったものの、2011年にP&G社からSAデザイナーズ・パルファムズにライセンスが譲渡された後、方針変更のため生産中止となった。

銀ボトル、うす紫のジュース、これってまんま、なんちゃらアルページュの二番煎じじゃ?そう思って期待していなかったけれど、出会ってみるとなかなかどうしてこれはおもしろい香り。ではその香りの秘密を見ていくと。

トップ。スプレーした瞬間、スッと鼻をかすめるのは土っぽいパチュリの香り、ただそれは一瞬。その後すぐに、まろやかでやや甘味があるフルーティーな香りが広がってくる。柑橘ではなく、ピーチ系でもない。コクのあるムワリとした香り、何だかわからなくて調べてみたところ、グリーンバナナの香料のようだ。言われてみると確かにうなずける。ただバナナだけでなく少し酸味のあるブラックカラントも出ているし、フローラルも同時に香っているから、全体がバナナの香りということではない。渾然一体となった香料の嵐の中で、特にバナナのこっくりした香りとブラックカラントの甘くて酸味のある香りが主張しているイメージ。これは、あまりないオープニングだ。

やがて5分ほどすると、かぐわしい薔薇の香りとジャスミンの香りが8:2くらいの割合で感じられてくる。薔薇の香りはとてもゴージャスだ。フルーティーでもあり、スッキリした清涼感もあり、軽やか。クレジットには、ブルガリアンローズ、トルコローズアブソリュートの名が挙げられている。どっちもダマスクだから大差ないだろうと思ったけれど、溶剤抽出のアブソリュートの方が水蒸気蒸留では得られない成分まで出るので、ダマスクトルコ系の柔らかいピンクの香りが強く出ているのだろう。

それでも、ミドルのローズになってもクリーミーなバナナ香がまだ残っていて、とても不思議なコントラストだ。青く生っぽいバナナのコクに、スッキリした多弁の薔薇の香りが混じり合い、濃厚に立ちのぼる。このへんは本家のジョイとは全く違っている。本家は薔薇とジャスミンとイランイランの精油をそのままブレンドしたような強烈な花のジュースといった風情だが、こちらはフルーツと柔らかローズという組み合わせ。快活でおいしそうな印象の明るいフローラルだ。

そんなミドルが、かなり長く続く。ミドルだけで6〜8時間。しかも香り立ちが濃厚なタイプなので、これはひざや太もも、腰やウェストあたりに左右1プッシュずつでいい付け方。手首やデコルテ、ましてや首筋などにつけた日には、周囲に香害必至となるのでとても注意。

ラストはかなり低音でウッディな感じになってくる。いい香料を使っているようで、香りの変化が楽しめるタイプ。とはいえ、若い方にはこのラストの土臭いパチュリの香りを敬遠する向きは多いかも知れない。本家ジョイのラストがムスキーな石鹸ぽいのに対し、エンジョイはわずかなヴァニラ以上に墨っぽいパチュリが残るので、このへんが好き嫌いの分かれ道かと。もっとシアーでライトなエンディングなら香水が苦手な方もいけるだろうけど、そうすると香水上級者にはがっかりされるだろうし、痛しかゆしなところ。

それでもエンジョイはとてもフェミニンでいい香りだ。特にミドルのフローラルは、さすがジャン・パトゥと唸るだけの香料は使用していると思う。ライト&カジュアルに徹しきれてないゴージャスさが持ち味。ただ逆に値段も含めてそこが中途半端ではあったかも。現在、ネットで流通しているのはデッドストックのみ。そういう意味では、もう2度と会えないジャン・パトゥの挑戦作に出会えたことには喜びを感じている。

人生の喜び、それは、とりもなおさず出会いにある。すばらしい人や物との出会い。短い人生だからこそ、自分の感性のドアを四方に開き、どんな時も、よいもの、美しいもの、楽しいことが入ってくるようにしておきたい。そのために必要なのは、自分自身の心のバイアスを解き放ち、絶えずニュートラルにしておくことだろう。

「喜び」と「楽しむ」は違う。他者からいつ与えられるか分からないJOY(喜び)を待っているのではなく、人生をより主体的、能動的に「楽しむ」ことが大切だと、この香りは語っている。ジャン・パトゥのエンジョイは、そんな明るさと希望に満ちたフレグランスだ。

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