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クチコミ
アーネスト・ヘミングウェイの「老人と海」を読んだのは、高校2年の夏だった。老漁師が1人で海へ出て、カジキとの死闘を繰り広げ、帰港するまでの孤独な旅を描いた物語。
その「老人と海」の小説の舞台が、キューバの島であったことを思い出す。それは、ゲランのメンズフレグランス、「ゲラン・オム・ロー」について調べているうちに行きあたった事実。
オム・ローは、ゲランの5代目調香師、ティエリー・ワッサーの作品。彼は、初めてゲラン一族以外から選ばれた調香師としても有名だが、2008年、メゾン・ゲラン誕生180周年という節目を託された男としても注目された。その年に発表された記念すべき現代版メンズフレグランスが、「ゲラン・オム」。さらに2年後の2010年。ゲラン・オムに新しいアプローチを加えて作られたのがこの、ゲラン・オム・ローだ。
この2つのフレグランスは、「モヒート」というロングカクテルがモチーフになっている。モヒートは、タンブラーにミントの葉、ライム、砂糖を加え、バースプーンなどで潰す。そこにラムとソーダ水を注ぎ、氷を入れる。これは、最も有名なキューバのカクテルの1つだ。
老人と海、モヒート。この2つがキューバでつながる。オム・ローの液体色は淡いライトブルーで、キューバの海岸リゾート、バラデロビーチの美しい海を思わせる。
トップ。軽やかな柑橘ミックスとほんのりミントの清涼感が心地いい。同じゲランのハーバフレスカに比べるとミントは弱め。柑橘にクレジットされているのは、ライム、ベルガモット、グレープフルーツ。感じられる強さも、自分にはこの順。ライム&ベルガモットのキリッとした酸味と苦みをグレープフルーツの柔らかな甘さが支えている感じ。そこにホワイトラムのテイストが混じるようだけど、俺にはホワイトラムなんてわからない。ダークラムならカラメルっぽい甘い匂いがするけど、ホワイトラムは甘いカクテルのベースになってるくらいで、単品で味わったことないかも。ただ若干のロウみたいな香りやえぐみみたいなものはトップから出ている。これかな。あるいは甘さと感じた部分が、ラム原料のさとうきびの感じかも。
ミドル。
5〜10分ほどでシトラスミックスの下から、ハーバルな香りが出てくる。買ったばかりの頃、クレジットも見ずに、「ああ、これはゲランお得意のハーブだな。セージとかタイムとかいろいろミックスしてそう」と感じていて、「これは『ロー(水)』というより、『ハーブウォーター』だな」と思ったほど、グリーンな香りに変わっていく。欧米では、ハーブの香りを表現する際、「ハーバル」よりも「アロマティック」という言葉を使うことが多いようだ。でも、不思議に、ハーブ系素材はクレジットされていない。ミドルやラストに名前が挙げられているのはゼラニウムだけ。ん?それはおかしい。確かに冷たい感じのフローラルもあるかなと思うけど、ミドルから先はもう少し重たいベースが入ってる気がする。
そしてラスト。
思っていたよりも少し重たげな印象。おそらく、うっすらとベチバーやシダー(オムのベース素材)も入っているんだろうなと。実際、オムの方はモヒートぽいのは最初の5分だけで、その後は下からアイリスなどの暗い香りが漂い始め、「これってロリータレンピカそっくりじゃん」という感じになっていく。そういう意味では、オムを出したときに、モヒートの香りがすぐに変化することから「全然イメージと違う」「暗くて重たい」といった感想が多数寄せられたのではないだろうか(予想)。そう考えれば、比較的粘度のあっさりしたトップ系素材だけで構成されたオム・ローは、「はいよ、これこそ夏向けスッキリ!モヒートに近いでしょ?」というワッサーなりの返答なのではないか?←適当なこと言うなよ
季節なら初夏から夏。時間帯ならデイタイム。ほんのり汗ばむ季節にも、柔らかなハーブウォーター系の香りがきちんと香る。ただ、ゲラン・オムをアイシー&フレッシュに再構成した感じはあるものの、ラストにいくにしたがって、ボトルや液体色の見た目以上に重く感じられるかも。男女問わずおすすめしたいところだけど、ラストのうっすらベチバー&ウッディは、女性にしてみれば「男っぽい」と思う方も。要オン・ユア・スキン。
夏向けのさっぱりしたフレグランスをお探しの方、あまり主張しないおだやかな香りを探している方におすすめ。ただ、すでにゲランカウンターに取り扱いはなく、廃盤のよう。ネットではまだ購入可能。
アーネスト・ヘミングウェイの大好物は、モヒートだったそうだ。彼は、ミントの葉を多めにし、乳鉢ですりつぶして混ぜて飲むのが好みだったらしい。これで全てつながった。
それでこそ「“ロー”人と海」の作者だな。←最後それかよ
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