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トレゾアの誕生はそれ自体が神話のような超越性を保有している。
調香師ソフィア・グロスマンは自分用に創ったプライベートな
フレグランスを持っていた。コードナンバー2933。グロスマンが
付けると誰もがその香りの虜になり「どこの、何と言う香水ですか?」と
尋ねたそうだ。
ある日ニューヨークの百貨店でランコムのミューズであった
イザベラ・ロッセリーニのポスターを見、ショックを受けた。
そして彼女の付ける香水はどんな物だろうと自分に問いかけた。
答えは自然に出た。いつも付けているあの2933。だが、自分は
ランコムと仕事をする機会が無い、あり得ないと。
(グロスマンはニューヨークを拠点に、ランコムはパリの
調香師に依頼するのが常だったからだ。)
そんな時、ランコム12年ぶりの香水がイザベラ・ロッセリーニを
象徴する事になるだろうと耳にした。
グロスマンは啓示を受けたかのように行動を起こした。2933を
ベースに試行錯誤を繰り返し、完成した見本をランコム社に
持って行った。それが今日我々が手にする事が出来る『トレゾア』だった。
トレゾアの香りの素晴らしさ、香りの移り変わりの絶妙さ。
最初はアプリコットやローズの甘い蜜の香り。その甘い蜜の香りから
徐々にアイリスやヘリオトロープ、ピーチのパウダリーな香りが
現れ、二つの異なるアコードが見事に重なり合い、えも言われぬ
芳しさを放つ。
トップが終わり、ミドルのパウダリーな花の香りからバニラ、ムスク、
白檀のラストノートへと移行する時の滑らかな心地よさ。
花とバニラの妙味。まさに蘭麝。
ボトルもこの香水に似つかわしい。逆ピラミッド型の厚手のガラスが
しっかりしていて、中に入った香水の何とも言えぬ美しい色。
オレンジともピンクとも、はっきり言い切る事が難しい薔薇色。
香りを体現しような耀き。
それにしてもソフィア・グロスマンとはなんという傑物だろう。
普通の調香師ならこのトレゾア1つで香水の歴史に名を刻むだろうに、
ソフィア・グロスマンは他にも『パリ』『イヴレス』『ビューティフル』
『ケーレックス』『エタニティ』『ジャイプール』等の名作を世に送り出した。
天賦の才であろうが、素晴らしい嗅覚、技倆、バランス感覚に改めて
驚かされ、心の底から尊崇する。
トレゾア、素敵な「宝物」をありがとう。
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