ザボディショップ / ポリネシアン アイランド ティアレ オードトワレ 口コミ

ティアレの香りは、一度かいだら心に沁みこんでしまう特別な香りだ。ザ・ボディショップ今夏の新作、ポリネシアン・アイランド・ティアレは、「地上最後の楽園」と呼ばれる南太平洋の島々に咲くティアレの花をイメージした、思いっきり南国風な香りのオードトワレだ。

ティアレといっても、種類はいくつかあるが、一般的なのは、ティアレ・タヒチ（タヒチの花）と呼ばれる、小さな白い花弁を６〜８枚もつ可愛い花だ。ガーデニアの仲間であり、しっとりと湿った花弁からは、甘くふくよかな強い香りがすることで有名だ。

このティアレ・タヒチは、タヒチの人々にとっては、本当に大切な花だという。女性が髪に飾ったり、レイにしたりするだけでなく、ココナッツオイルにティアレのエクストラクトを入れた「モノイ・オイル」を作り、日焼け荒れ防止や全身のマッサージオイルに用い、万能薬のように使ってきた歴史がある。つまり、ティアレ・タヒチの香りは、タヒチの生活そのものの香りと言える。

そんなティアレの花をイメージして作られたポリネシアン・アイランド・ティアレの香り。それは一体どんな香りだろうか？

このオードトワレのトップは、付けたてからクリーミーなガーデニア系の香りが広がる。甘くてむわっとする白い花の香り。まろやかで、ちょっとねばりつくほどに。南国の強い日差しのもと、咲き乱れる肉厚の白い花弁、その奥の蜜の味といった雰囲気。そして同時に、ほんのりとココナッツの青臭さみたいな香りもしている。まさにモノイ・オイル。ただ、モノイ・オイルはもっとココナッツが強く、全体に濃厚なので、それよりはいくぶんスッキリしている印象。それもザ・ボディ・ショップがこだわって使用しているサトウキビ由来のアルコールのよさだろうか。鼻にもつんとせず、肌にもさらっとしたつけ心地に感じる。

付けて5分もせずにミドルの香りで安定してくる。すると、今まで元気で明るいティアレの香りしかないと思っていた奥に、中音にプルメリアのかぐわしさ、低音にイランイランの妖しいシェードが、フローラルの和音になって流れていることが分かる。きちんとした香水の構成が感じられ、モノイ・オイルとの違いが明確な点だ。

やがて３０分ほどすると、蜜の濃厚な甘さにココナッツの生っぽい香りとミルキーさが入り混じり、南国の雰囲気がマックスになる。かつてトロピカルカクテルが大流行した時代があったが、その頃よく飲んだマイタイやチチといったカクテルをビーチで寝そべりながら飲みたい気分。心は一気に南太平洋へ。

そして、そんなココナッツミルクの香りに、ややローストした風味のヴァニラがほんのり混じり、ティアレの清楚な香りを支えながらゆったりと消失していく。だが、付けてから８時間しても、9時間しても、まだ香りが残っている。これには本当に驚いた。夏だと皮膚の表面も少し太陽に焦がされたような熱をもつが、それでもその熱を包むかのようなムンとした濃厚な白いフローラルが10時間ほど漂う。ガーデニア系の香料は合成香料だし、昨今抽出もできるようになったとも聞いているが、どちらかは分からない。付けてから３０分以降は、同じ香りがずっと張り付いているので、人工的な雰囲気はある。ただ、香りの質としてはとてもナチュラルに感じる。どちらにせよ、体温高めの自分の肌で、これだけ香りが持続しているとは、アトリエコロンなみのすごさだ。

ローズやジャスミンに飽きた方、身体がビジーで休みもないけど、心はどこまでもフリーでいたいと思っている方などにおすすめの香りだ。特に、ふだん夏も日焼けも苦手で、海やプールにも行きたくない女性がこの手の香りを漂わせると、かえってアンニュイ＆ミスマッチで好印象だ。ザ・ボディショップは各地にあるので、是非試してみてほしいと思う。

２０１６年８月１１日発売。シンプルながら香りがよく、持続時間が長く、50mlで３７８０円とお値段もお手頃。フレグランスとはこうあるべき。

「一度この香りをかいだものは、必ずこのタヒチに戻ってくる」。ティアレの香りを評してそう言ったのは、波乱万丈の人生を過ごし、タヒチを愛した画家、ゴーギャンだ。フレンチ・ポリネシアのタヒチは、大自然のすばらしさを見せながら、それをほんのりフランス流ホスピタリティで支えているので、ポリネシアの中でも特に観光客に人気が高いリゾートだ。

どこまでも続く白い砂浜。透き通るブルーラグーン。さざ波の音を聞きながら、ゆったりと時を刻む水上バンガロー。珊瑚礁にゆれる光の網。ココヤシの巨大な葉陰。かわいた涼やかな風。

ポリネシアン・アイランド・ティアレは、ゆく夏を惜しむかのように、永遠の夏の楽園へ心をいざなう香り。

使用した商品

• 現品
• 購入品