ルイ・ヴィトン / アポジェ 口コミ

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doggyhonzawaさん
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6購入品

2018/12/8 06:49:33

旅に出よう。自然の中へ。目指す地には何が待っているだろう?モノグラムのスーツケースに最低限の荷物と最高の香りを詰めて。胸いっぱいにワクワクを秘めて。

ルイ・ヴィトンが2016年、満を持して70年ぶりにリリースした「旅」を象徴する美しいフレグランスたち。アポジェはその最初の7本のうちの1つ。旅の始まりが薔薇の羅針盤であるローズデヴァンなら、アポジェはその旅の中で4番目の位置づけ。文字どおり旅の「最高潮(到達点)」を表したであろう香り。それはいったいどんな香りなのか?そこに秘められた調香師ジャック・キャバリエの思いは?アポジェの香りの秘密に勝手にせまる。

シンプルで美しい薬瓶ボトルからアポジェをスプレーする。その瞬間、柔らかくフルーティーな芳香が広がる。甘くて芳醇なお酒のようにクリーミーな香り、これは思いきり洋ナシ系の香りだ。ネット上では誰一人言ってないがそう思う。この洋ナシ系の香りには時々酸味も感じられ、みずみずしいリンゴの果実の香りにも思える瞬間がある。また、わずかながらバナナの香りに感じるような発酵したノートがある。さらにオレンジ系の酸味も感じられるので、洋ナシよりもマルメロの香りに近いかなと思う。

マルメロの近似種はカリンだ。鮮やかな黄色の実をつけ、その甘酸っぱく柔らかな芳香はとてもジューシーで印象的だ。以前、シャネルのチャンスオータンドゥルをレビューしたときに、トップからマルメロのフルーティーさが感じられると書いたけれど、アポジェの場合は洋ナシやマルメロ系そのもののフルーティーな香りが強く主張してくるイメージだ。

10分もすると、フルーティーさはそのままに、下からジャスミンやふんわり軽いローズの気配、マグノリア系のマイルドなファセットが感じられてきて、あ、やっぱりベースはフローラルなんだなとわかる。時折スッキリしたグリーンな感じも見え隠れし、ライトなミュゲだなあと実感することも。とてもしっとりとしてフェミニンな印象のミドルだ。香調全体がスライドするのではなく、さまざまな香料が見え隠れするように現れるのは、ジャック・キャバリエお得意のスパイラル調香の成せる業か。アポジェでメインに据えたのはミュゲ(スズラン)とのことだが、これまでのミュゲの香水に比べてもはるかにライトでフルーティーな印象だ。自分には洋ナシ系の香りがメインとしか思えない。

調香師の大沢さとりさんによると、洋ナシの香りはエチルアセテート、ヘキシルアセテートなどのエステルにムスクを少し入れたフルーティベースを元に、ミュゲ系香料を合わせて創ることができるという。だからアポジェは「ミュゲ香をベースにしつつ洋ナシ様のフルーティーさが強く感じられる香り」という認識もあながち間違っていないだろう。

香りはトップからラストまで大きく変化なく、洋ナシ〜ホワイトフローラルブーケのノートがずっと続いて静かに減衰してゆく。持続時間は自分の場合で4〜5時間ほど。ベース香にジャック・キャバリエお得意の軽いホワイトムスクが配合してあるようで、さすがオゾン系の始祖、どこか水や空気のように澄んだ透明感ある香りのまま柔らかく消えていく。ウッディをほとんど感じないので、他の香水と重ね付けも楽しめるだろう。実際、ヴィトンのフレグランスアドバイザーもそんな話をよくしている。フルーティーフローラル系統といってもいいほど、ライトで透明感ある香りだ。

ではなぜ香りの旅の「最高潮〜クライマックス〜」が、洋ナシやマルメロ系のフルーティーなスズラン香なのか?

一つはスズランがフランス人にとって、大切な人に贈る「幸運の花」であることが考えられる。フランスでは毎年5月1日、街中にミュゲの売り子が現れ、愛する人へ小さな花を贈り合う習慣が続いていることから、とても大切な花としてテーマにしたのでは?ということだ。

また洋ナシやマルメロ香は、どこかギリシャ神話に出てくるヘスペリデスの園の伝説を彷彿させる。ゼウスとヘーラーが結婚したときにガイアから贈られた「黄金の果実」。通常この「不老不死ももたらす」とされる果実はリンゴとする伝承が多いが、黄金色で芳香を放ち、形も似ていることからマルメロだと捉える説も強いようだ。元々フランスやイタリアでは昔からマルメロの生産が盛んで、コンポートやジャムなどの加工食も有名だ。フランスとイタリアをつなぐ香り、いつしかそんな旅のイメージが心によぎる。

旅の最高潮、それは目的地への到着。そこは花々と果樹に囲まれた小さな楽園だった。愛する人に幸運をもたらすというすずなりのミュゲが香り、黄金のマルメロが妙なる芳香を漂わせている。マルメロの花言葉は「魅惑」「幸福」だという。

そこはアポジェ。旅の到達点。幸福の香りに包まれた魂の安息の地。

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