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クチコミ
「あたしがプリンセスになるために隣に王子様はいらない。」とボトルに書いた香水がある。キリアンが2018年にリリースした”My kind of love”シリーズのうちの1本、プリンセスというオーデパルファムだ。
キリアンがセフォラ系列で出したこの新しい「黒いたまボトル」シリーズは、10代〜20代の若い女性をターゲットにした作品群で、これまでのメインシリーズより価格も抑えめになっている。本国では30mlボトルで75ドル。セフォラ系列とドル価格でピンときた方もいると思うが、こちらは現在まだ日本では販売されていないシリーズ商品。もちろんネットでは海外サイト等から普通に買うことができる。
キリアン自身はこの「俺の愛の形」シリーズ(←何だそれは?)リリースに向けて、特徴を次のように挙げている。
1点目は、シンプルで分かりやすいノートを強調した作品群ということ。4作品は「不良少年」と「プライドの高い少女」が出会い、「キス」してベッドで「アダルト」な夜を過ごす、というラノベにありがちなストーリーボードを背景にもっており、それぞれの作品でキーノートがとても明確であること。
2点目は、「真っ黒いでかいたま」ボトルを採用したということ。実はこの新しいたまのボトルは、上の大きなたまの部分がジュースの入ったボトルで、キャップが下の直方体の部分という作りになっている。つまり、スプレー口が逆さまに収まっているボトルデザインだ。ノーズショップにあるハウスオブウードの石ボトルと似た意匠。ここはキリアン氏自身強くこだわったらしく「このボトルはミニ彫刻であり、現代アートにインスパイアされた小さな爆弾だ。重たい球体を上からつかんで伝統をひっくり返し、下の四角い台座をとってスプレーする。」と語っていてかなりご満悦な様子。この「伝統をひっくり返す」とか「小さな爆弾」とか言うあたりに、自分の中にある腐れパンクスな部分が共鳴して困る。もはや彼を「厨二の同志よ」とハグしたいくらいだ。(←蛇とかドクロとか好きだしな)
さて、前置きがトゥーマッチロングになったが(←やめろ)プリンセスの香りはというと。
キリアンの「黒いたまのやつ」。敬意と愛情の全てをこめて自分がそう呼んでいるボトルのたまをつかんで逆さにし(←伝統をくつがえし)、四角い台座キャップをはずす。するとボトルは本当に黒いミニ爆弾のよう。最高。外した四角い台座キャップには、そのままスプレー口を上にしてボトルをのせておくこともできるようになっていて、確かに魅せるデザインとしても秀逸。
そんな「黒いたまのやつ」からスプレーすると、何とも分かりやすい香りに包まれる。とても甘くてクリーミーで、それでいてどこか涼しげにおすまししている香り。プリンセスは、少しくすんだ陰をもつマシュマロクリームの香りがする。
香りの構成にも「ジンジャー、グリーンティー、マシュマロ」としかのせていないプリンセス。ただ結構ベースはしっかりしていて、ウーマンインゴールドのベース香を流用したんじゃないかと思うほど、アニス香が出てスーッと清涼感を漂わせている。甘さは綿あめライクなエチルマルトール系にピーチやアップルなどを少し効かせて、マイルドフルーティー方向に振っている模様。こっくりと甘くて、その下からロースティーなヴァニラとベンゾインの樹脂っぽさ、ジンジャーのじんわりした温かみも感じられ、そこはかとなく煽情的。あー、これはロリータレンピカをマイルドにして甘さを強調した感じだなという印象。夜遊びの闇の姫様。
香り変化はほぼなくてシングルノートのよう。マシュマロの香りと言い切っていいくらい、このキーノートは突出している。ただわずかに漢方薬っぽいスパイシーも下からのぞいていて、さながら「甘い蜜は出してるけど、あんたのためじゃないから。それ以上近寄ったら刺すわよ」というような陰がある。それは気に入らないものは本気で刺す蜂の雰囲気に近い。若さゆえの辛辣さと真剣さ。
少女は心の中に小さな透明なたまを抱えている。そこに映る街の風景や人の姿、それらは美しいだろうか?汚れてないだろうか?人生は甘くない。王子様なんていつまで待ってたって来やしない。チャンスは自ら作るものだし、自分の手でつかむもの。たまは鈍く光りはじめている。
だから。
「そばに王子様なんていらない」その真意は、男なんかいらないという意味じゃない。真の成功を勝ち取るためには男の力なんて借りない、自分の力でプリンセスになる。そういう意味なのだろう。
胸のすくメッセージだ。もしも己の汚れた欲望を満たすために貴女方に札束をちらつかせてくる親父どもがいたら、女性たちよ、どうか笑いながら蹴っ飛ばしてやってほしい。
やつらの黒いたまを。
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