bdk parfums / ブーケドゥオングリー 口コミ

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doggyhonzawaさん
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4購入品

2020/1/18 14:16:20

アパルトマンの窓枠から明るい日射しが斜めに切り込んでいる。昨夜はカーテンを開けたまま眠ってしまった。まばゆい朝の光がベッドサイドのテーブルを光らせている。彼女はぼんやりとした意識の中で目覚ましを手に取り、あわてて飛び起きる。今日は大事なデートの日だ。

「彼女はベッドからおりて身支度をはじめる。裸足で小躍りするようにお気に入りの化粧台へ。薄手のドレスを取り出して、4階の部屋から眺めるパレ・ロワイヤル庭園。空は抜けるように青い。」(「」内bdkパルファム紹介文より)

ストーリーを語るパリの香水メゾン、bdkパルファム。若き創業者デヴィッド・ベネデックは、内なる女性キャラクターをパリのいたる所に置いて、そこから生まれた物語を香りに投影するドラマティックな調香師でもある。休日の朝だろう。何かうれしいことがあってベッドから飛び起きたマドモアゼルは、美しい方形のパレ・ロワイヤル庭園の緑に目を細め、「きっと今日はいい日になる」そんな思いを抱いている。これがブーケ・ドゥ・オングリーという香水に添えられたイメージボードだ。

ブーケドゥオングリー。「ハンガリーの花束」の意。生粋のパリジャンであり、店舗も由緒あるパレ・ロワイヤル地区に構えるデヴィッドは、なぜこの作品に「ハンガリーの花束」と名付けたのだろう?そしてこの美しい透明ピンクジュースの香りとは?

ブーケドゥオングリーをプッシュする。はじめに感じられるのは、フルーティーなペアーの香りだ。酸味のない洋ナシ独特のふくよかな香り。はっきりとシャネルのチャンス・オータンドゥル(ピンクのチャンス)を彷彿させるイントロだ。

2分ほどでそのぺアーの香りの下から、ブラックカラントの熟した甘さ、ストロベリーのわずかな風味が感じられ、トップからフルーティーさ全開だ。だがシトラスではない。

あまりにピンクチャンスと似てるので、つけ比べしてみた。ピンクチャンスはトップで一瞬、青リンゴをかじったときのようなシトラス系の酸味があり、そのあと次第にまろやかなマルメロの香り(カリンにも似た)に推移する。対してハンガリーの花束は最初から低くしっとりと甘い感じだ。これが最後まで続く微妙な違い。

つけて5分もすると、スッキリしたピンク色のローズ香が明確になってくる。出力はそれほど強くない。洋ナシのコクとベリー系のほんのりした甘さの中から軽いローズ香が出てくるといった風合い。そしてそれらのアコードを包んでいるのが透明感あるムスク。そんな構成が感じられてくるミドル。ペアーのみずみずしさ、ベリー系のわずかな甘さ、それらを柔らかなムスクで包んで輝かせるように香り始める。

ラストは、ミドルから大きく変わらずに減衰してゆく。特筆すべきは、ペアーの香りが最後までピンクローズのふんわり感と相まって消えてゆくところだろう。ムスクもフローラル系のムスクのように感じる。パウダリーでもソーピーでもない。じんわりとした甘いフローラル香を持続させながら6〜7時間でフェイドアウト。

まとめると、おそらく名香ピンクチャンスの調香をベースに組み立てられた作品のように思える香水。ピンクチャンスに似た香りを探していて、一段階低くて甘いフルーティーさを求めている方にはおすすめだ。ただ、せっかくbdkをつけていても「ピンクチャンス?」と言われることはあるかも知れない。そこだ。

ハンガリーのブーケ、それは洋ナシの香りがきいたフルーティーでライトなローズムスク。そんな印象。では、なぜハンガリーのブーケと名付けたのだろう?

ハンガリーとブーケで真っ先に思い浮かぶのは、19世紀以来、世界中の人を魅了している磁器、ヘレンド社のヴィクトリア・ブーケ・シリーズだ。かつて大英帝国ヴィクトリア女王が見初めて王室御用達にしたとされる美しい器の数々。白い器に金縁が映える繊細な造型、蝶や牡丹をあしらったシノワズリ(中国風味)は優雅さを醸しだし、今なお世界中のコレクター垂涎の的となっている。もしかしたらこれかもしれない。

手早く身支度を済ませた彼女は、フランス窓を開いて外の空気を胸いっぱいに吸った。鳥のさえずりが聞こえる。王宮の上に太陽が白く輝いている。今日は特別な日になる。そう予感した彼女は白いカップボードの奥からとっておきのコーヒーセットを取り出してテーブルに置いた。ヘレンドのヴィクトリア・ブーケのコーヒーセット。キッチンからシューシューとお湯の沸いた音が聞こえる。

最高のカップに最高のコーヒーを注ぐ。香ばしい湯気が立ちのぼる。デートまであと1時間。このコーヒーを楽しんだら、お気に入りのアクセをつけて、あの香水を纏って出かけよう。

香りはブーケドゥオングリー。新しい朝、新しいときめきを連れて。

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