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クチコミ
私にとって、ゲランのドゥーブルヴァニーユ(2007年)は究極のバニラの香りだ。
芳醇なバニラの甘さに酔いしれつつも、フレッシュ、アロマティック、華やか、大人らしいビターな味わいなど、様々な表情を見せてくれる。飽きることのないまさに究極のバニラ。
トップはスパイシー・アロマティック。フルーティなベルガモットと、ピリッとしたピンクペッパーが弾け、背後からはとてもアロマティックなバニラが甘さを添えることで、洋酒を思わせるフレッシュな香り立ちに。
ミドルはウッディ・フローラル。表面ではピンクペッパーを効かせたフレッシュなバニラが、艶のあるイランイラン、そして華やかなローズに深みのある甘さを与えた香り。その奥から、ドライなセダーウッド、スモーキーなインセンスと合わさった大人っぽいビターなバニラが香る。
ベースはバルサミック・アンバー。軽やかなバニラとベンゾインのビターな甘さが合わさることで、まさにラムのような芳醇な甘さ。やがてベンゾインが減退してくると、濃厚なバニラとドライアンバーの香りがずっと続いていく。
トップからミドル中盤までの軽やかなバニラが2時間くらい、そこから甘さや深みが加わりながら、8時間以上持続する。
ドゥーブルヴァニーユの最初から最後まで、骨格となっているバニラの香りは、通常のバニラとはまったく異なると感じる。
特にトップからミドルにかけては、軽やかでフレッシュ、アロマティックで透明感のある、とても芳醇なバニラの香りだ。スパイシーやフローラルがこのバニラ素材の特徴をうまく引き出している。なかでも、スパイシーなバニラから、フローラルなバニラへ移ろう瞬間、その意外性あふれるバニラの香りに浸り、そして酔いしれる。
そしてミドル中盤からはなじみ深いバニラの甘さ。しかしながら、重厚で深みのあるウッディバニラ、さらにはアンバーバニラへと変わる一歩手前のラム酒のようなアクセントが心憎い。
軽やかなバニラとビターなバニラの二重奏。まさにDOUBLE VANILLEの名前にふさわしい香りで、もっとも新しいジャン-ポール ゲランの傑作だと思う。
さらに、このドーブルヴァニーユは、ゲランのエクスクルーシブフレグランスのラール エ ラ マティエールのなかで、唯一重ね付けを推奨している香り。
個人的にはローズバルバルと合わせて、ビターな甘さが加わることで、ローズバルバルの粗を整え、もうワンランク上の香りに仕上げてくれる。
次はどの香りに合わせてみようか。楽しみは尽きない。
乾燥の厳しい冬に、究極のバニラの甘さを楽しみつつも、世界に一つしかない香りを作ってみるのはいかがだろうか。
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