
ハイヒールが好きです。
今ではすっかり見かけなくなりましたが、20数年前のある時期、温泉宿や観光地のお土産コーナーにはハイヒールのモチーフのキーホルダーが必ず売ってありました。
くるくる回るネットに鈴なりにぶら下がった色とりどりの小さなハイヒールは幼いわたしにフェティッシュな衝撃と高揚を与え、見つけるたびにねだって買ってもらっていたので、わたしの通園バッグには大中小のハイヒールがひしめいていました。
そして時々暇を見つけては、その履き口に水を溜めてうっとりしたりしていました。
幼稚園の絵本作りで描いたイラストも、ハイヒールでした。
ハイヒールと口紅を描きました。
ストーリーは覚えていません。
高校2年のとき、貰ったお年玉で初めてハイヒールを買いました。近所の靴屋に売っている、合皮のテラテラした安っぽい赤のハイヒールです。
赤いハイヒールに似合う洋服もコーディネイトのセンスも相応しい態度も持っていなかったわたしは、ただ時々取り出して、部屋で履いて、鏡に映った、芽吹き前の色気が揺曳するいびつな自分の姿にどきどきしました。足を滑り込ませたとたん、全身のシルエットがぐっと「女」に近づく感じが魔法のようで、その密やかな遊びを何度も何度も繰り返しました。
全然スタイルに自信の無かったわたしですが、脚の形だけは割りに良いことをそのときに発見しました。
初めて外に履いて出られるハイヒールを買ったのは、二十歳の頃です。
思いっきり背伸びをして、ヴィヴィアンウエストウッドの深い緑色をしたハラコのハイヒールパンプスを買いました。
足の痛みも冷たさも我慢して、大学に履いて行きました。
そのハイヒールほど優雅な曲線を持つ靴を、わたしは未だに見つけることができません。
最近はめっきり出番も少なくなりましたが、結婚を機に10足以上の靴を処分した昨年も、捨てずに引っ越しの荷に入れました。
30歳を過ぎて、ミスマッチじゃない成熟度を身につけることができたら、ルブタンが欲しいなと、今は思っています。
思い返せば、ハイヒールとの歩みは、わたしの自己愛の歴史そのものと言えるかもしれません。
きれいなもの、純粋なもの、過剰なものが好きで、そこに投影させてきた自分とのドラマチックな対話の歴史であるように思います。
けれど純なハイヒールというのは長時間履いて歩くのが難しく、日常使いに取り入れるには少々難易度が高め。(普通にはきこなせる人が羨ましい!)
このところめっきり実用性重視のスニーカーやバレエシューズにその地位を奪われて長らく購入していませんでしたが、久々にハイヒールが持つフェティシズムを思い出させてくれる靴を購入しました。
カスタネールです。
http://www.castaner.jp/
おそらく昨年のコレクションだったと思うのですが、たまたま某店で見つけて即購入。
「赤いハイヒール」が持つ色気と奔放さをカジュアルに表現した粋な作りがとても気に入りました。素材はキャンバス地でウエッジソールになっているので歩きやすそうです。
もう少し暖かくなったら、カレントエリオットなどのルーズなシルエットのボーイフレンドデニムをロールアップにして履きたい所です。
ワンピースなら、パリっとした浅いマリン色のプリーツの入ったシャツワンピなど。
じつは昨年の春夏コレクションにはブランド問わず未だに未練を残しているものが数点あるので、そのうちの1点を見つけることができて嬉しい収穫でした。
(全体にナルシスティックな記事を終わります)
写真2枚目はおまけ。
春に向けて購入したプチプライスなアクセたち。

毒蝮ハナコさん
chocofucさん
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