1985年の誕生以来、キャンメイクは遊び心あふれるコスメを追求してきました。33年の歴史とともに、今も色あせない初期のKAWAIIコスメをご紹介します。
キャンメイクのルーツにあたる「井田両国堂」は、大正7年創業という、長い歴史を持つ会社。化粧品をメーカーからお店に卸す、問屋業を営んでいます。「長年たくさんの化粧品をお客様へと橋渡しするなかで、“自社ブランドを立ち上げたい”という思いがあったんですね」(井田ラボラトリーズ 常務取締役 瀬川義則さん)
(井田ラボラトリーズ 常務取締役の瀬川義則さん)
そんななか、1963年に先代の社長が欧米を視察に訪れ、目にしたのはスーパーマーケットなどで4〜5ドルのセルフコスメが販売されている様子。「日本のコスメは高すぎるのでは?」という思いを抱いたそうです。
「当時日本は対面販売が中心でしたが、海外には“お手頃な価格”で“自分で選べる”コスメがたくさんあった。日本でも500円〜1,000円くらいで、気軽に選べるコスメを作りたいと決意します」(瀬川さん)。こうして設立したのが、井田ラボラトリーズでした。
井田ラボラトリーズ初のメイクブランドが、1985年に誕生した“キャンメイク”です。
「名前の由来は「You Can Make It」。“あなたはきっと○○できる”という意味ですが、“なりたい自分になれますように”という願いを込めて名づけました」(瀬川さん)。
本社に保存されている初期のコスメを特別に見せて頂いたのですが…か、かわいい!
(1980年代のリップスティック(左)とスライドリップ(右))
「キャンメイクの開発にあたり、まず重視したのが“ご自身で選びやすいこと”です。中身のカラーが見えるように、透明ケースを採用しました」(瀬川さん)。
(1980年代のアイシャドウ(右)と1990年代のカラーマスカラ(左))
「アイテムやカラーも“今までにないものを作りたい”と。パール入りのカラーマスカラは当時まだ珍しく、特にブルーは人気でした」(瀬川さん)
(手前は1990年代の初代、奥は2000年代の二代目)
「初期のキャンメイクの中で、最も人気だったアイテムがネイルです。400円で、とにかくカラーバリエーション豊富だった。他ブランドにはない色も充実し、何色もそろえてくださる方も多かったですね」(瀬川さん)
こんなにかわいい製品が充実していたとはいえ、当時はデパートコスメが主流の時代。「お手頃価格のコスメは“安かろう悪かろう”の印象が先行し、ブランドイメージの確立には本当に苦労しました」と、瀬川さん。転機となったのは1998年誕生の“カラースティック”。著名なヘアメイクアーティストの愛用品として、美容専門誌に紹介されます。
(カラースティックのイエロー。現在は廃番で「カラースティック モイストラスティングカバー」としてリニューアル発売中)
「特にイエローは“日本人の肌に最適な色とカバー力で、伸びが良くフィット感も優秀”という風にご紹介いただいて。キャンメイクというブランドと、その品質を広く知っていただくきっかけになったと思います」(瀬川さん)
その後2000年代になって、“プチプラコスメ”のブームが到来。SNSが浸透したこともあり、クチコミ効果でキャンメイクは着実にファンを増やしていきます。
「コストをかければ、良いものは作れます。でも“中身の品質にこだわりながら、手に取りやすいプライスを実現する”こと。そして“ワクワクするような製品”を作ること。これこそが、社員全員に共有されている“キャンメイクの使命”です」と、瀬川さん。
現在では全国約5,000店舗で展開しているというキャンメイク。次の章では、製品づくりの現場に潜入します!