Japanese Beauty第12回は、映画やテレビなどの映像業界を支え続ける化粧品メーカー「江原道(Koh Gen Do)」のファンデーションの秘密に迫ります。
映像業界に携わるプロのヘアメイクアップアーティストたちが「肌づくりをするならこのブランド」と口をそろえて言うブランドがある。1986年に創業した「江原道」だ。プロたちのニーズに完璧に応えることを使命とし、映画やテレビなどの映像業界を支え続ける化粧品メーカー。「江原道のファンデーションで肌づくりをすると、テレビ映りが良い」「撮影時間が長くても崩れない」など、それの評判は国内にとどまらず、海外にまで波及する。今回はプロ中のプロが絶賛する、江原道のファンデーションの秘密に迫っていきます。
「江原道のファンデーションを知らない人は映画界にはいませんよ」と語るのは、映画、テレビなどの第一線で活躍するヘアメイクアップアーティスト・酒井夢月さん。昨年、8本の映画のヘアメイクを担当したという売れっ子アーティストだ。
「1本の撮影期間は1ヵ月〜1ヵ月半くらいなのですが、撮影に入る前に時代背景や役柄の特徴を掴むための下準備をするため、何だかんだいって3ヵ月くらいは携わっていることになります」と酒井さん。映画監督や主演女優・俳優からのオファーも多い。
映画やテレビをはじめとする“映像”のメイクの特徴について聞いてみると、「たとえばロケの場合、お天気の変化でもメイクは変わります。曇り空だと顔がくすんで見えてしまうんです。室内から外に出るシーンでも顔色が全く違って見えるし。カメラを通すと、口紅やアイシャドウなどのメイクアイテムは濃い目に映ってしまう。ちょっとしたことですが、“自然に見える”ためのメイクの足し算、引き算はつねに考えています」と酒井さん。
テレビや映画界は今、映像技術の進化により、カメラ機能が格段に上がっている。その一方で、出演する女優、俳優らのメイクの仕上がりは「より自然に」「よりツヤ肌」が求められ、ハイビジョンに対応した道具やテクニックが必要とされるのだ。
「デジタルの到来で肌づくりのミッションがものすごく高くなりました。だって、アップになるとシミやくすみ、くま、毛穴まではっきり見えてしまうから(笑)。それに俳優さんは泣いたり、怒ったり、笑ったり…表情がコロコロ変わるでしょ。どのようなシーンでも自然な仕上がりになるよう、完璧な肌を提供するのが私たちヘアメイクの仕事なんです」(酒井さん)
緻密に計算してつくられるメイクは、それだけではない。
「台本を読んでキャラクター像をつくるとき、メイクが邪魔することがあってはならないと感じています。もちろん、時代背景で作り込むメイクもありますが、より“リアル”を追求していくと、自然な肌に見えるのが一番。ですが照明を当て、カメラを通すと、肉眼とは違う映りになることも…なので、カメラテストは大切なんです」(酒井さん)
このカメラテスト、あなどってはいけないらしい。
「江原道のファンデーションだと肌のツヤの質が違うんです。それはカメラテストをおこなった女優さんたちも認めるほどです」(酒井さん)
第71回 カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、日本では6月に公開したばかりの『万引き家族』のメイクも担当している酒井さん。
「安藤サクラさんと松岡茉優さんの場合、シーンによってはメイクをしている感じは見せたくないと是枝監督からのリクエストがありました。サクラさんに関しては、そばかすを生かすようなメイクを心掛けました」(酒井さん)
第71回 カンヌ国際映画祭
最高賞 パルムドール 受賞
「万引き家族」
6月8日(金)〜TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
原案・監督・脚本・編集:是枝裕和
キャスト:リリー・フランキー 安藤サクラ 松岡茉優 / 樹木希林