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doggyhonzawaさん
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4購入品

2018/7/21 00:58:48

白亜のエオリア建築が目にまばゆい。車も通れないほど道路がせまい小さな島、パナレア島。細い坂道を登ってたどり着いたリゾートホテルのエントランスをくぐると、テラスの向こうに紺碧のティレニア海がパーンと広がった。その瞬間、長い船旅の疲れが吹き飛ぶ。まさに絶景。

ディオールが2018年にリリースしたバラッド・ソバージュは、シチリア島北部に点在するエオリア群島の1つ、パナレア島をイメージして作られたオードパルファムだ。この小さな島は知る人ぞ知る隠れたリゾート地で、海外の名だたるセレブが静かにバカンスを過ごすために訪れる島とも言われている。島全体が休火山であり、そのためごつごつした溶岩台地が広がっている。その焦げ茶色の大地を原生植物がおおってダイナミックな景観を呈していることから、世界自然遺産に登録されているという。まさにソバージュ(野生)の名にふさわしい地。

では、そんな野趣あふれる島のイメージから作られたバラッド・ソバージュ、一体どんな香りだろうか?

トップ。パーンと晴れやかなシトラスの風が吹く。ベルガモットの透明感あるフレッシュさ、レモンのさっぱりした酸味が感じられる。すぐさま下から、ややグリーンで湿った土のような香りがたちのぼってくる。そして清涼感。ミントの葉のクールな感じとフィグ(イチジク)の果実の青臭いミルキーなノートだ。

このフィグの生っぽいフルーティーな感じがとても印象的だ。フィグといえば、果実のフルーティーな甘さを表現したタイプがディプティックのフィロシコス、葉や木のグリーンな感じを漂わせるタイプとしてラルチザンのプルミエフィギュエあたりが思い浮かぶ。そのどちらかと言われれば、この作品は果実香寄りだと思う。ただ香りの印象は、エルメスの「地中海の庭」のミント&フィグに近いトップ〜ミドルだ。どこか土っぽさを感じさせる青臭いミルキーなフィグ、そんな香りがミドルの中心となってくる。

ミドルは大体2〜3時間続くが、香り立ちは弱めだ。フィグの樹液を思わせる乳白色の生っぽい香りが好きな人にはおすすめ。「地中海の庭」よりもフェミニンな印象のオードパルファムだ。ミドルはフィグに混じってわずかにフルーティーなミックス、低音な穏やか系フローラルも感じられるが、何の香料と分かるほど明確ではない。またミドル後半では、ソバージュに使われて潮風っぽさを出していたアンブロクサンの香りも感じられる。どこか心をそそられる海の香りの香料だ。

ラストはアンブロクサン&ムスクで、穏やかな消え入り方。フィグのテイストとオゾニックなノートも最後まで残っているので、かなり合成香料の強い展開だ。トップのシトラス以外はずっと合成香料ではないかと思うくらい。作りとしてはそれほど高価な天然香料は使用していない気がするし、そのせいか変化の具合も少なめ。トップ以降はフィグ&フルーティー&アンブロクサンのミックス香がずっと同じ香りで続く柔軟剤的展開。そのまま4時間ほどで静かにフェードアウト。

本作のようにメゾン・クリスチャン・ディオールという新体系になってから加えられた新作は、比較的ライトでシンプルな香調の作品が多いようだ。そういう意味で、高価で稀少な香料を用いて作られていたこれまでのプリヴェのファンだった方々にしてみれば、やや肩透かしを食らったように感じてしまっているのは頷ける話。新展開のこのシリーズは、重ね付けをそれとなく推奨したり、ソープなどのボディケア商品とセットにしたりするなど、ジョー・マローンっぽい展開に走った感は否めない。とはいえ、まだ市場の反応を伺っている感じもあることから、今後どんな方向に舵をきっていくか注目したいところだ。バラッド・ソバージュとは、直訳すれば「野生の乗り物」の意。その芳香性の方向性はいずこへと向かう?

ブーゲンビリアの鮮やかなマゼンタが風に揺れている。海を見下ろすホテルのプールサイドは、だれもがゆったりとした時間を過ごし、食事と会話を楽しんでいる。ここでは誰も何もしない。何もしない贅沢を大自然の景観の前で心ゆくまで味わっている。

給仕がトレーにグラニータをのせて運んでくる。島で採れたイチジクの果肉を凍らせた冷たいデザート。その独特なミルキーな甘さと冷たさが乾いた喉を潤してくれる。

グラニータのシャーベット感を味わったあとは、チェアにゆったり身体を預ける。青い地中海を見下ろすデッキチェアは、総天然色の夢にいざなう心地よい乗り物。

それは、太陽と風と潮の匂いにいだかれたバラッド・ソバージュ。

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