ゲラン / ゲラン オム オーデトワレ 口コミ

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doggyhonzawaさん
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4購入品

2018/3/31 10:13:31

夏。蒸し暑い夜、広口のタンブラーにクラッシュアイスを注ぎ、ミントの葉を10枚以上入れてペストルでガシガシ押しつぶすと、野性味あふれるスッとした青い香りが強烈に鼻に突き刺さる。そこに砂糖とライムを入れ、ラムを注いでステア―。ソーダで軽く割れば、熱帯夜をスッキリ過ごせるカクテル、モヒートのできあがりだ。

ここに、そんなモヒートの香りからイメージして作られた香りがある。「香水界の帝王」として長年君臨し続けてきたゲラン。そのゲランの5代目調香師となったティエリー・ワッサーが、就任して間もない2008年にリリースしたメンズのオード・トワレ、ゲラン・オムだ。

ゲラン・オムのリリースは華々しかった。膨大な広告費を用いて、本物の動物たちが森の泉に集う宣伝用トレーラーを制作し、ボトルデザインはイタリアの高名なデザイナ―、ピニンファリーナに委ねられた。LVMH傘下に入って、新生ゲランとしての旅立ちであったことから、業界内外を問わず、この作品には期待と注目が注がれていた。

それがゲラン・オムの出自。では、肝心の香りはどうかというと。

プラスティックの透明キャップを外してスプレーする。つけたて、爽やかな柑橘の酸味。すぐに下からわずかな甘み、涼しげなハーブの香り。そして透明感があるけれど、かすかに苦みやエグみを感じる香りが同時に広がっていることに気付く。これはホワイトラムを模したのだろうか。ベルガモットやライムの香りはわずかで、このスッキリしたアクのあるハーブの香りが強いオープニングだ。

5分後、香りに大きな変化がない。かすかな清涼感あるアニス調の感じが続いている。わずかなグリーンシトラスの割合が2だとすると、残り8割はスッキリとしてややクリーミーなアルコールっぽい香りという印象。ホワイトラムの酔わせるような、ほんのり甘い香りが一番再現されている気がする。そんな香りがずっと続く。付けてから4〜5時間は穏やかに香り続ける。

ラストも大きな変化はなく、穏やかなグリーンハーブにうっすらとウッディが重なったような香りで消失していく。このウッディはシダーやベチバーというクレジットがあるものの、香料の特徴が分かるほど強くはない。ミドルがゆるやかに減衰していくので、ラストまでクリーミーなハーブ系の香りが続く。

このトワレは一度に全ての香料が香り、そのまま続くというタイプの香り方だとされている。確かに大きな変化がないように思う。それなら柔軟剤と同じではないか?とも思うが、当たらずとも遠からず。ティエリー・ワッサーは、ファインフレグランスの未来について、そうしたトイレタリー製品(シャンプー、洗剤、ボディーソープ等の香り製品群)の充実が不可欠だと考えている一人でもある。狙うのは、柔軟剤の香り以上、香水の複雑な香り以下。そのへんのニッチではなかったろうか。香りがキツイとか、香りがどんどん変わるのがイヤ、と言って香水を敬遠する方は存外多い。自分もかつてはそうだった。だが、シンプルで美しい香りを身に付けることに対しては、敷居は低いはず。ティエリー・ワッサーはこのゲランオムで、「誰もが気軽にカジュアルに楽しめる香り」を提案したようにも思える。

「香りは時代と共に変遷する。現代は、さまざまな趣向の香りを日々楽しむ時代だ。」ティエリー・ワッサーはそうインタビューで答えている。彼は変化する時代の波にゲランを合わせる方向へ舵をきったのだろう。もっと気軽に。もっと軽やかに。ゲラン・オムにはそんなメッセージが託されているように思う。男女を問わず、春から夏にかけて気分を上げていきたいとき、オンオフどちらでも穏やかでグリーンな香りを試したいときに使っていけるフレグランスだと思う。

現在、このトワレは廃盤となっており、オード・パルファムが従来の縦長スクウェアボトルでラインナップされている。アビルージュが好きだった彼らしいボトルの揃え方だ。ロムイデアル系がメンズの中心ラインナップになった感があるが、よりくせのない汎用性を求めるならこちらを試してみるといいだろう。ネットではまだまだ普通に入手可能だ。

暮れゆく亜熱帯の強烈なオレンジの日差し。ラテンの人々の熱気と興奮は、夜になってからも冷めることを知らない。町の至るところからサルサの陽気なリズムが聞こえる。キューバの人々はそこかしこで思い思いに踊り、酒を酌み交わし、夜更けまで語り合い、ゆっくりと人生の時間を楽しむ。グラスが揺れるたび、強烈なミントの青い清涼感と唾液があふれるフレッシュなライムの香りがしている。

ゲラン・オムは、そんなモヒートからイメージした穏やかなマスキュリン。現代をクールに、颯爽と生き抜く者たちに捧げられた、アロマティックな香りのカクテル。

  • 2018-03-31 10:04:43 by doggyhonzawaさん
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