シャネル / ココ パルファム 口コミ

東京でエンゼルフィッシュのようにひらひらと怖いもの知らずにあちこちブラブラしていた頃。
いや、多分グッピーくらいではあったが、渋谷も銀座も新宿も怖がらずに歩いていたのは確かである。
その時、山田詠美の作品が大学生やら高校生の間に流行っており、自分の香りを探すのが流行であった。ミルという香水が取り上げられたりしていたが、わたしはへそ曲がりなのでそれをヨシとしなかった。

そんなわけで大学近くにあった渋谷西武に行き、シャネルのムエットをかいだ。だめだ、臭すぎる！
自らの名誉のためにいえぱ、かなりオリエンタルの香りが好きであり、香りは複雑なものをこのむタチである。
でもだめなんだ。

かと言って当時流行のグリーンティーやらLANVINやらは気に入らない。シャネルのお姉さんは笑ってチャンスを薦めてくるがそれは流行っており、被りたくない。

悩んだわたしは森茉莉の作品にでてきた昔のサンローラン下にあったロジェ・ガレにした。因みに今のロジェ・ガレとは違う、菫の二十の娘さんにぴったりの甘くないフローラルであった。
しかし、廃盤。石鹸は見るのだが香水は消えてしまった。

当時プラネタリウムが入っていた渋谷東急にあるエスカレーター下、ユーハイム前の小さな香水屋さんでムエットを配っていたお姉さんに何故か泣きついた。お姉さんは香水だらけの小さなお店のカウンターでカウンセリングをしてくれた。
その時、「シャネルは年齢がきたとき、人生がふさわしい重みを持ったときに良い香りになるんですよ。今は無理でも大丈夫。いつか凄くしっくりしますよ。ｍａｄａｍ向けのブランドのお洋服と一緒。まずはシングルフローラルからゆっくりとはじめましょう」といわれ、オーローズを暫く使っていた。青い薔薇。

30になり、ジョイを使っていたが、これもまた香りがリニューアル。40にして香りを変えることになった。
そしてシャネル。5番もマドモアゼルもくさくなかった。ルージュもアイシャドーも浮かなくなった、なにより、ココがくさくなかった。

まずは辛い。辛いオリエンタル。なにも甘みはない。お香というより抹香というか。
中盤はフローラルになるが甘くないフローラル。いや、むしろ苦い甘み。パウダリーでさえあるオリエンタルフローラル。

良いじゃない。着物にも甘い服にもモードにもナチュラルにも良いじゃない。
付け方にテクが必要だけど上手く薫らせる方法の一つ二つ、40だもの知っている。

そう。やっと追いついた。
シャネルスーツはまだ買えない。でも。ブラックのワンピースとジャケット、パールのピアスと経験値で戦える。
そんな、大人になった、私の、相棒。

暫く仲良くしてね！

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