FUEGUIA1833 / Muskara Pheroj 口コミ

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LULUSさん
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5購入品リピート

2020/9/23 21:07:37

肌によほど近付かないとキャッチ出来ないくらいの儚い香り。
しかもはっきりとした香りそのものというより、香りの気配と言ったらよいのか、あるかないかの輪郭がぼんやりそこにある…くらいの、柔らかくほのかな存在感。

"使用者の自然な香りと相互作用する能力を持つ「アンチ・パフューム」"
というのが面白く、自分ならいったいどんなふうに香るの?と強く好奇心をそそる。

つけてみると何のことはない、スーッと甘いミント様の穏やかな香りじゃないか。でも同時に、身体に馴染むような温もりを感じる。違和感がない…などと言語化する以前にもう愛着を持ちはじめている。ああこれは自分に向いているな、とすぐ解った。

そもそも何のために香りを纏うのだっけ?と軽く自問しつつ。

それは舶来の美しい下着とか、独自料理とか、ひそかに偏愛する画家だのと同じで、まずは自分がそれと共に心地よく愉快な気分でいられることこそが肝要。もちろん誰かと楽しみを分け合えるのは素敵だし、俯瞰することで熱が冷めたり、成り行きで別の色を帯びていくことも、また一興と思う。
ただこの香りと香り方については、他の誰かを含まない「持ち主だけのため」に在る、とやはり私には感じられる。

香水を着けているというより、体臭をほとんど持たない自分がそれを与えられたかのような香り方。そして思いのほか持続する。朝着けて夜服を脱ぐ時にふわっと香るくらいには。それでいて、身近なひとにもなかなか気付かれないくらいの密やかさ。

太宰治の読者の多くは「ここに描かれているのはまるで自分そのものではないか」という驚きと共にその世界に心酔していく。Muskara Pherojという香りもまた「まさしく自分のための香りではないか」と思わせる魅力を持っている気がする。

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