シャネル / シャネル N°5 オー プルミエール (ヴァポリザター) 口コミ

私事ですが、間もなく30歳になります。
フレグランスとは流行りを追うものではなく、自分の人生に纏うものだと考えている私にとって、この香りに出会ったことで、シャネルフレグランスと共に生きていく自分の姿が描けたと感じています。

メイクを覚え、やがてフレグランを知った10代の頃、ファーストシャネルはアリュールでした。
そんな世代なので、シャネルのナンバーシリーズは私にとって、母のドレッサーに並ぶ「バブルと毛皮とマダムの匂い」という勝手なイメージがありました。

背伸びではなく、等身大にシャネルを纏えるようになってからは、
他愛無い友人との戯れにチャンス、チャンスオーフレッシュを覚え、
ウエストラインに纏わせるエゴイストプラチナムがオフィスで凛と仕事をさせてくれることを覚え、
ジオメ柄のラップワンピでチャーリーズエンジェルを気取ったときには、アリュールオムエディシオンブランシェがより一層クラシカルな雰囲気を引き立ててくれることを覚え。

それなりに、私なりに、シャネルフレグランスを楽しめるようになってきました。
30歳を前に愛する人に出会い、その人が私に選んでくれる香りの幸せと切なさを知ることもできました。

いろいろな場面で、いろいろな人と関わり合うときの、私の香り。私のシャネルがありました。

それでもなんとなく、何か満たされない気持ち、このまま30歳になるのかなーという不安があった頃、この香りを、カウンターでＢＡさんに「付けて行かれませんか？」と言われたときは、正直ギョっとしました。私のなかでは、名前を聞いただけで、昔の、バブルと毛皮とマダムのイメージが蘇えるだけでしたから(笑)
それでもとりあえずムエットをいただいたところ、ハッとするほどの美しい香りに、結局、ボディに直接付けさせてもらうことになったのでした。

冒頭で言った、「シャネルフレグランスと共に生きていく自分が描けた」と気付いたのは、その後、一人夜道を歩いているときでした。
初めて、シャネルのナンバーシリーズに足を踏み入れた私。正直、恐る恐るでしたが、この香りが、本家の「シャネルの５番」を解り易く説いてくれる香りであったため、あまりにも自然に受け入れることができました。10年前に毎日付けていたアリュールを思い出しましたが、それよりずっと大人らしい、でも背伸びもせず老けもしない香りだと感じたのです。
私が、誰かのための私ではなく、私であるための香りだと、思えたのでした。

そのとき、まぶたの裏に、見えたのです。
「それでいいのよ」、とほほ笑む女性が。
その女性は、私よりずっと年上。
40歳、いや、50歳でしょうか。
もちろん、その女性は本家No．5を纏い。
初めて、「シャネルの５番」のレッスンステージに立った私に、
「シャネルと共に歩いていらっしゃい」と、
やさしく、余裕をこめた笑みを浮かべて、
私を眺めていてくれるのです。

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