ボンド・ナンバーナイン / チャイナタウン オードパルファム 口コミ

NYボンドストリートの本店で購入。
ショップ店員はプライベートで何かむかつくことでもあったのか、エア・チャイナのCAもびっくりのひどい接客だった。「どうせ買わないんでしょ？買うなら買うでさっさと決めてよ」といった感じで試香紙に香水を吹きかけては次から次へと渡してくる。鼻がおかしくなるわい。

購入時に率直な印象を記した手元のメモにはこうある、
「桃＋薬局のにおい。混沌としている。アスタープレイスの方がトップの印象は好感が持てる」

ではなぜあえてチャイナタウンを選んだかといえば、たまたま自分が宿泊していたのがロウアー・イーストサイドという、中華街に隣接した、NYきってのアバンギャルドな土地だったからで。
NYの中華街は本場中国もびっくりのさびれっぷりで、道にはごみと浮浪者。壁やら消火栓やらには、狂ったような落書きの群れ。なぜか魚のにおいと油のにおいが漂う通りを、白人と黒人とアジア人が平然と肩を並べて歩いている。夜に歩こうものなら静かに忍び寄る危険を感じるし（ハーレムの治安がこれだけ改善された今もなお、である）、レストランに入れば、手頃な値段で近年めったにお目にかかれない「まずい」料理をいただける。

香水「チャイナタウン」は、私のNY滞在の思い出を見事に的確に表している。
シロップをぶちまけたようなトップノートの強烈な甘さは、ショップ店員の横柄な態度そのものだし、
次いで顔を出すココナツ様の爽やかな香りは、ロックな汚さと近代的センスが混在したロウアーイーストサイドのホテルを思い出させるし、
全体の粗雑なバランスも、「NYのカオス」中華街によく似合う。
そして、なまなかには出会えない（他人とかぶらない）独特の香りであることも間違いない。

今ならば、「NYの香水商」ボンドよりも「ロンドンの香水商」オーモンド・ジェインをためらわず選ぶけれども、
たまにこの可愛らしい星型のボトルを手にとって香りを嗅ぐと、チャイナタウンでのあの混沌とした一日を思い出して、なぜか妙に愉快な気持ちになってしまうのですよ。

　ちなみに周囲の評価は、
「なんかやたらめったら甘いにおいがするんですけど何ですか？？」。

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　これを着けて美容院に行くと、必ず「ココナツお好きですよね？」とココナツの香りのヘアオイルをサービスでつけてくれる。ようわからんけどラッキー。ありがとう担当さん。

使用した商品

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