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Nippon Beauty 再発見 全10回 美容文化研究室 @cosmeとPOLAが美容のルーツに迫ります!
第6回 「いつの時代もお肌の大敵! ニキビ対策の歴史を探る」
ニキビや余分な皮脂がますます気になるこれからの季節。
実は、ニキビで悩んでいたのは昔の女性も同じ。そこで今回はニキビの歴史と、当時の人々がどのようなニキビ対策を行っていたのかを紹介します!
美容の歴史について教えてくれるのは・・・ 日本の美容文化エキスパート ポーラ文化研究所 主任研究員 村田孝子先生 【写真】村田孝子先生
主に日本と西洋の化粧史・結髪史を研究。
セミナー講演、展覧会、著作などで成果を発表。

「ポーラ文化研究所」詳しくはコチラ
「邇岐美」、これって一体なんて読む? 答えはページのどこかに!
【写真】明治時代に発売された化粧水「美人水」のポスター 現 代人の肌悩みの一つ、「ニキビ」。人々はいつ頃から悩んでいたか知っていますか? 昭和? それとも大正や明治から・・・?

文献を探っていくと、なんと平安時代の漢和辞典『和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』にすでに「邇岐美(にきみ)」という記載があるんです!
ずいぶん昔から女性たちはニキビに悩んでいたのだということがわかりますね。

江戸時代の美容のバイブル、『都風俗化粧伝(みやこふうぞくけわいでん)』にはニキビ対策の紹介が多く載っています。例えば、「すべりひゆ 馬歯莧(ばしけん)を水にてせんじ、あらいてよし」とあります。これは馬歯莧という雑草を煎じた水で洗顔するという方法。この草の成分が角質を柔らかくし、清浄する作用があったようですね。

また、小豆が使われていたことも書かれています。小豆と滑石(鉱物の一種)と白檀を細かく砕いたものを絹でこし、洗顔する時に顔にすりこんだというのです。おそらく小豆に含まれる成分、サポニンによってすっきりした効果が得られたのでしょう。そういえば、小豆は現代でもニキビ対策のコスメに使われていますね。

明治時代には「美人水」という、ニキビ対策のコスメが発売されました。
【イラスト】平安時代にもニキビに悩んでいたなんて!
江戸時代のニキビ対策は、パックが人気!?
『錦 嚢智術全書(きんのうちじゅつぜんしょ)』という江戸時代の生活の知恵を集めた本には、「面胞(にきび)を治する伝」として、「密陀僧(みつだそう)を粉にし、女の乳汁にてとき、寝さまに面にぬり、明くる日洗い落とすべし」とあります。一酸化鉛の一種、密陀僧という顔料の粉末を母乳でとかし、寝るときに顔にぬっておく、そう、今でいう「パック」をしていたんですね!

また、『捨玉智慧海(しゅうぎょくちえのうみ)』という本の中では、“金化粧”という治療法も。唐の土に酒と水を混ぜ一夜寝かせてから顔に塗るというもので、こちらも「パック」。お酒を使っていた点がポイントで、現代は日本酒をお風呂に入れて入る人もいるほどお酒は肌の保湿に良いと言われていますし、アルコールだから殺菌効果もあったのでしょうね。

このように昔の人々もニキビに悩み、洗顔やパックをしてケアしていました。しかも小豆や日本酒といった、現代でもコスメとして目にする素材をうまく活かしていたんですね。改めて、先人の知恵と美への探究心には驚かされます。
【写真】江戸時代の生活の知恵を集めた「錦嚢智術全書」

とはいっても、数百年も昔の治療法ですので、みなさんはくれぐれも真似しないでくださいね!
【イラスト】パックとは・・・江戸の人々もなかなかやるわね!
Beauty Column 明治時代のアイブローは「炭」!? 編集部が試してみました。
子どもが生まれると眉をそり落としていた江戸時代。『江戸名所百人美女・芝神明前』(左上)『江戸名所百人美女・小石川牛天神』(右上) 明治を代表する美人芸妓「萬龍」(左下)は、絵はがきが発売されるほど人気だった。明治40年頃に撮影したと思われる女性(右下)も萬龍も、その眉はナチュラルな太眉!
最近では、太い眉がリバイバルの兆し。眉は時代時代でいろいろ変化してきました。例えば、江戸時代は子どもが産まれると眉をそり落とす習慣がありましたが、明治時代になると眉そりが禁止となり、太くて自然な眉が流行しはじめたのです。明治時代の写真を見ると、みんなアメリカの女優ブルック・シールズのような太眉をしています。

実際、どんなもので眉を描いていたのかというと、市販の眉墨のほかに、なんと桐の焼いたものやマッチの軸を眉墨として使っていたとか。そこで、編集部が実際にマッチの軸を眉墨として使用してみたら・・・。時間がかかる上にキレイに描けず、炭がポロポロと顔に落ちてくる始末。現代のアイブロウがいかに素晴らしいかを思い知った結果となってしまいました。

その後、村田先生にこれを報告すると「使い方が違いますよ」とのこと。どうやらマッチの軸は眉尻を少し描き足す程度に使用したということが判明。バッチリ描くのは無理だったんですね!

※炭をアイブロウ代わりに使用するのは危険ですので、絶対に真似しないでください。

参考資料 
『モダン化粧史 粧いの80年』(ポーラ文化研究所)
『ポーラ文化研究所コレクション5 浮世絵美人くらべ』(ポーラ文化研究所)
【イラスト】クイズの答えは「ニキビ」(にきみ)でした!